<大阪府議会>「教育」「職員」条例成立 性犯罪者「住所届け出」も
毎日新聞 2012年3月24日(土)15時42分配信
教育行政への政治関与を強化する大阪府の「教育行政基本条例案」「府立学校条例案」と、職員の処分を厳格化する「職員基本条例案」が23日、府議会本会議で賛成多数で可決、成立した。大阪維新の会、公明、自民が賛成、民主、共産は反対した。いずれも施行は4月1日。また、子どもへの性犯罪の前歴者に居住地の届け出を義務づける全国初の「子どもを性犯罪から守る条例案」も賛成多数で可決、成立した。10月1日に施行される。
教育行政基本条例は、知事が府教委と協議して教育目標を設定できると規定。知事による教育委員の罷免権も明記した。府立学校条例は、14年度の府立高校の学区撤廃▽3年連続定員割れの府立高校の再編・整備▽校長の公募と権限強化などを盛り込んだ。
また、教員評価に生徒や保護者の意見を反映させる仕組みを導入。不適格教員について保護者の申し立て権を明記し、研修を受けても改善しなければ、免職対象にできるとした。
職員基本条例は、教職員の君が代起立斉唱を念頭に「同一の職務命令に3回違反すれば分限免職の対象とする」と規定。
教職員以外の職員には5段階の相対評価を導入し、2年連続最低評価で「勤務実績が良くない」と判断された職員は指導・研修の対象とし、改善が見込めない場合は分限免職・降格できると定めた。
子どもを性犯罪から守る条例は、18歳未満の子どもへの強制わいせつや強姦(ごうかん)などの前歴があり、府内に住む場合は出所後5年間、氏名、住所、生年月日、連絡先、罪名、出所年月日を府に届け出るよう義務付けた。違反すれば5万円以下の過料を科す。また、犯罪にならない13歳未満の子どもにつきまとったり、着衣を引っ張ったりする行為や、甘い言葉での誘惑など不安を与えるような行為も禁止する。
一方、府は前歴者の居場所を把握し、カウンセリングなどを通して社会復帰を支援。支援対象者の情報が周囲に知られないよう配慮する。
また、大阪都構想の制度設計をする「大都市制度推進協議会」設置条例案も賛成多数で可決し、閉会した。【田中博子、堀文彦】
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◆府立学校条例骨子◆
・志願者が3年連続定員割れし、改善の見込みがない高校は再編整備の対象
・14年4月1日から高校の通学区域を府内全域とする
・校長の採用は原則公募
・教員の評定は生徒や保護者の授業評価を踏まえ校長の評価に基づき行う
・校長は保護者の意見を踏まえ、不適格教員に必要な措置を講じるよう、府教委に申し立てることができる
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◆教育行政基本条例骨子◆
・知事は府教委と協議して教育振興基本計画を作成
・教育委員は目標達成に向けた取り組みについて、自ら点検・評価。知事はその結果に基づき罷免事由にあたるかを判断
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◆職員基本条例骨子◆
・任期付き職員(公募職員)を積極的に採用する
・部長その他任命権者が定める職は公募で採用
・人事評価は5段階の相対評価。分布割合は上から順に5%▽20%▽60%▽10%▽5%
・職務命令に違反した職員は戒告。違反の累計が5回(同一の職務命令は3回)の場合は免職とする
・懲戒処分を受けた職員に指導、研修など必要な措置を講じる
以下、大阪で住所届け出が必要な事件
女子生徒の足を繰り返し触ったとして府立高の男性教諭(29)を減給6カ月(10分の1)
高校教諭は今年3月の卒業式後、3年生の女子生徒を大阪城公園に連れて行き、手を握ったとされる。「女子生徒が恋愛感情を持っていると思った」と話しているという。
市教委によると、教諭は昨年12月から今年5月までの間、部活動中に腕立て伏せの姿勢をさせた部員7人の下半身を触ったほか、教官室で部員2人の下着の中に手を入れるなどしたという。