元教諭の懲戒免職取り消し わいせつ「認定できず」

元教諭の懲戒免職取り消し わいせつ「認定できず」
静岡新聞(2012/3/30 07:39)

 県人事委員会(小川良昭委員長)は29日、定例会を開き、男子生徒にわいせつ行為をしたとして県教委から懲戒免職処分を受け、人事委に不服申し立てをしていた県西部の県立高の元男性教諭(44)の懲戒免職処分を取り消す裁決を出した。
 裁決を受け、元教諭の代理人の佐野雅則弁護士は「学校や県教委が結論ありきで事実関係の調査をしっかりとしなかったのが問題」と指摘。復職などについては明言を避けた。近く記者会見し、教諭の名誉回復などについて説明するという。
 人事委は裁決書で「処分の理由となったわいせつ行為の存在は認定できない」と認めた。わいせつ行為を前提にした処分を違法と判断した。具体的な裁決理由については、「プライバシー保護のため公開できない」としている。定例会は非公開だった。
 元教諭は2010年8月に校内の体育器具庫で、顧問を務める陸上部の男子生徒の身体に触れたなどとして、10月に県教委から懲戒免職処分を受けた。
 人事委の審査では、元教諭の行為に対する認識が争点となった。県教委が「わいせつ目的」と認定した行為について、元教諭は心身カウンセリング指導の一環だったと主張。部員が「本当は嫌だった」と話したことには、「本心ではないと思った」などと述べていた。

「厳粛に受け止め」県教育長
 県人事委員会が29日、元教諭の懲戒免職処分を取り消す裁決を出したことに対し、安倍徹県教育長は「裁決を厳粛に受け止める」とコメントした。
 学校人事課は「元教諭や生徒から聞き取り調査した上での客観的な判断だった」との認識を示した。再審請求も含め、今後の対応を検討する方針という。

【元陸上部顧問教諭の懲戒処分をめぐる経過】
2010年
8月26日 元男性教諭が「競技ケアマッサージ」や保健指導の一環として、男子生徒の体に触れる
10月6日 県教委は記者会見で「極めて不適切で指導範囲を超えている」とし、懲戒免職処分を発表
12月1日 元男性教諭が県人事委に懲戒免職処分の取り消しを求める不服申し立て
11年
9月28日 第1回審査
12年
3月29日 県人事委が懲戒免職処分の取り消しの裁決

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする