大津いじめ 民事訴訟でいじめ実態、明るみ 証拠集め、仕組み作り必要
産経新聞 2012年7月16日(月)7時55分配信
大津市の中学2年の男子生徒が自殺した問題は、両親が市や同級生らを相手取って起こした民事訴訟を契機に、いじめの実態や学校側のずさんな対応が明るみに出た。ただ、こうしたケースはごく一部にすぎず、満足な証拠を得られないまま、訴えが退けられることも少なくない。司法関係者は「証拠を集めやすくする仕組み作りが必要だ」と指摘する。
大津市のケースは今年2月、両親が大津地裁に提訴。市教委はいじめの存在を認めながらも、自殺といじめの因果関係は不明としたが、裁判を通じ「いじめ」の実態に関する全校生徒へのアンケート結果の全容など詳細な証拠が次々と明らかになった。学校の対応に批判が集中すると、市は態度を軟化。市長は非を認めて和解の意向を示し、市議会では一般傍聴人に異例のアンケート公表も行われた。
ただ、こうしたケースはまれだ。埼玉県北本市の中学1年の女子生徒の自殺をめぐり両親が市などに損害賠償を求めた訴訟では今月9日、「自殺原因がいじめとは特定できない」として、東京地裁で訴えが退けられた。
女子生徒は「死んだのはクラスの一部に勉強にテストのせいかも」と記した遺書を残していた。「きもい」と悪口を言われ「靴隠し」などの嫌がらせにもあっていた。だが、市側は「犯人捜しのようなことをすると、人権保護団体からクレームが来る」として詳細な調査を行っておらず、裁判でも最後まで決定的な証拠は得られなかった。
弁護団は判決後、「原因が知りたくて調査を求めたのに」と怒りをあらわにし、女子生徒の父親は「学校に文書の開示を請求しても『シュレッダー処分した』と言われるだけだった」と唇をかんだ。
文部科学省の全国調査によると、学校でのいじめの認知件数は平成22年度で、前年度比6・7%増の7万7630件に及ぶ。
「いじめ自殺」裁判に詳しい市川須美子独協大教授(教育法)は「遺族が求めるのは何よりも真相解明。第三者委員会による調査の定着が一番だが、教師や同級生の証人出廷を実施するなど、裁判所の対応次第で改善できる部分もあるのではないか」と指摘する。(時吉達也)
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大津いじめ 自殺生徒、40万円工面 県警、恐喝容疑も視野
産経新聞 2012年7月16日(月)7時55分配信
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、男子生徒が自殺の約3カ月前から、自分の貯金から引き出したり、親族の店のレジから持ち出したりした現金の総額が約40万円に上ることが15日、関係者への取材で分かった。生徒へのアンケートには、恐喝や金品要求に関する回答が伝聞ながら13人分あり、滋賀県警は、学校などを捜索した暴行容疑のほか、恐喝容疑なども視野に入れて調べている。
関係者によると、男子生徒は昨年7月から8月にかけ、自分の郵便貯金口座から3回にわたり計約12万円を引き出した。使い道については「ゲームソフトやカードゲームを買った」と親に説明。このほか、親族が経営する店のレジや親族の財布などから数回にわたり現金を持ち出していた。
男子生徒の自殺後、学校が全校生徒を対象に実施したアンケートでは、恐喝や金品要求に関する回答が13人分あった。いずれも伝聞だったが、4人は実名で回答しており、「男子生徒のもっていたキャッシュカードの暗証番号を教えろと同級生に言われた」「(万引させられていた)男子生徒が万引をしたくないからお金を渡していたと聞いた」などと記していた。
学校側は、すべて伝聞の回答だったとして事実として認定しなかった。県警は、夏休み中に予定している生徒らへの聴取で、恐喝容疑などでも立件が可能か判断する。
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<大津・中2自殺>3少年全員、民事訴訟でいじめ否認へ
毎日新聞 2012年7月16日(月)9時40分配信
大津市で昨年10月、いじめを受けていた市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、遺族が市と加害者とされる同級生3人らに損害賠償を求めた訴訟は17日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)で第2回口頭弁論が開かれる。この場で、これまで唯一、認否を保留していた同級生側が、他の2人と同じくいじめを否認することが分かった。また、市側は近く設置される外部調査委員会の調査結果を待って対応を決めるため、第3回以降の弁論を調査終了後に先送りするよう要望する。
遺族は今年2月、「自殺はいじめが原因」として市のほか、加害者とされる同級生3人と保護者を相手取り、約7720万円の賠償を求めて提訴した。
5月の第1回口頭弁論で、同級生側のうち2人は「遊びであり、いじめではなかった」との認識を示し、いじめ自体を否定していた。
一方、市側は第1回口頭弁論で男子生徒がいじめを受けていたと認める一方、「いじめを苦にしての自殺と断じることはできない」と主張。いじめと自殺との因果関係や自殺の予見可能性を否定した。
しかし、今月に入って市教委が「自殺の練習をさせられていた」などと記載された全校アンケートの回答を非公表としていたことが判明。批判が相次ぐ中、越直美市長と沢村憲次教育長の見解のずれが表面化した。
越市長は10日、「いじめがあったから亡くなったんだと思う」と因果関係を認め、和解を目指す意向を表明した。一方、沢村教育長は12日午前にいったん「(いじめは自殺の)一つの要因」としながら、同日、「因果関係は断定できない」と発言を修正。13日には「訴訟は続けるべきだと思う」と記者会見で述べた。
市側の代理人弁護士は「調査委の再調査を待って因果関係を認め、和解協議に入りたい」と越市長の見解に沿った対応を検討している。ただ、再調査には最低4カ月かかる見通しで、訴訟が大幅に長引く可能性もある。
外部調査委は越市長の直轄で、メンバーは弁護士、臨床心理士、大学教授ら4、5人を想定。いじめと自殺の因果関係について市教委調査の検証と補足を行う。文部科学省も職員を市に派遣し、設置に向けてサポートする。
遺族側の代理人弁護士は「再調査の中身が分からない以上、訴訟延期に安易には応じられない」と主張していく方針。市側の要望を受け、裁判所は残る当事者の意見を参考に、3回目の口頭弁論の期日を指定する。
また、一連の問題を巡り、学校や市教委などへの抗議行動が過熱しており、インターネットでの裁判に対する抗議デモなどの呼びかけもあることから、滋賀県警は大津地裁周辺の警戒に当たる。【加藤明子、千葉紀和、村山豪】
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「教師がいじめ注意」生徒証言と学校側食い違い
テレビ朝日系(ANN) 2012年7月16日(月)12時35分配信
大津市でいじめを受けた男子中学生が自殺した事件で、教師の一人が体育祭でのいじめを目撃して注意したとする生徒の証言と、学校側の認識が食い違っていることが分かりました。
この男子生徒は自殺直前にあった体育祭で、ほかの生徒から鉢巻きや粘着テープで縛られるいじめ行為を受けていたとされ、滋賀県警が暴行容疑で捜査しています。この時、現場を目撃した女性教師が通りすがりに注意をしていたと一部の生徒が証言しています。
目撃した生徒:「(Q.女の先生は何と言った?)(教師は)『やめとけ』と言いました。『やめとけ』って軽く言っただけです」
一方、14日、中学校の校長はこの女性教師について「詳細を覚えていない」「縛られたところを見ていない」などと生徒の証言と食い違うあいまいな説明をしています。
中学校の校長:「ぐるぐる巻きにされていたのが亡くなった生徒と、(教師が)現認しているかというとそれはない」
警察は生徒の証言を踏まえ、当時の状況をさらに詳細に確認する方針です。
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大津いじめ “自殺を幇助した容疑者”心の叫び届かず…なぜサインは見逃されたのか
産経新聞 2012年7月16日(月)13時19分配信
大津市の中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題は、学校や市教委の「情報隠し」に批判が集まり、教育現場への強制捜査という異例の事態に発展した。学校側は“兆候”を把握しながら「いじめ」ではなく「けんか」と結論づけ、自殺した生徒の心の叫びは最期まで届かなかった。いじめのサインはなぜ見逃されたのか。
■わずか15分で「けんか」と結論
自殺の6日前の昨年10月5日。校内のトイレで男子生徒が同級生に殴られているのを女子生徒が目撃した。女子生徒からの連絡で駆け付けた担任教諭が男子生徒から事情を聴くと、生徒は落ち着きを取り戻し、こう打ち明けたという。「大丈夫。でも今日のは少し嫌やった…」
同日夜には担任や学年主任、生徒指導を担当する教諭ら5、6人が出席し、緊急会議が開かれた。担任の報告などを基に「生徒同士のけんか」との判断に至ったが、結論を出すまでの時間はわずか15分だった。
今月14日に記者会見した校長は「誰一人、いじめとは疑わなかった」と釈明したが、「問題意識が形骸化(けいがいか)していた」と対応の甘さを認めた。
■あきれと憤り
一方、自殺した生徒の父親(47)は「いじめを認識しながら学校側は放置していたのか」と憤り、教育評論家の尾木直樹さんも「教師が『いじめ』を疑わなければ、いじめられた生徒の叫びが届くはずもない。学校側の対応にはほとほとあきれる」と嘆く。
なぜ生徒のSOSは見過ごされたのか。市教委の担当者は「強制力のない独自調査には限界がある」とした上で、「調査には、かかわった生徒すべてへの配慮が必要となり、いじめと認定するには相当の覚悟がいる」と話す。
文部科学省は昨年6月、「児童生徒の自殺が起きたときの背景調査の在り方について」を通知。調査の留意事項として「他の在校生に知られないように」と求めており、教育現場が「萎縮(いしゅく)」し、「調査が中途半端になることも多い」(教育関係者)という。
ただ、今回のケースでは、生徒の自殺後に実施したアンケートで、「自殺の練習をさせられた」などとする記述が昨年11月の公表当初は伏せられ、同月初旬に実施した2回目のアンケートは存在すら明らかにされなかった。
■“自殺を幇助した容疑者”
「情報隠し」とも言える市教委や学校側の対応に批判が集まり、滋賀県警は今月11日、自殺した生徒への暴行容疑で捜索した。捜査を指揮する満重(みつしげ)昭男・生活安全部長は「何があったのか事実や原因を徹底的に究明すべきと考えた」と捜索の理由を述べたが、遺族の被害届を3度受理しなかったことへの批判をかわす狙いも見え隠れする。
別の捜査幹部は言う。「市教委や学校の対応はあまりにずさん。極端な見方かもしれないが、(両者が)自殺を幇助(ほうじょ)した容疑者との見立てもできる」
教育現場への異例の強制捜査。夏休みに入る今週末以降、在校生らへの聞き取りが本格化するが「受験に影響が出る」と不安を口にする保護者も少なくない。
ただ、自殺を防げなかったことを悔やむ声も在校生からは多く聞かれる。自殺した生徒と幼なじみだったという女子生徒は、取材に涙ながらに訴えた。
「不登校でも引きこもりでも、生きてさえくれていれば…」
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学校と市教委、甘い認識=いじめとの因果関係認めず―大津中2自殺
時事通信 2012年7月16日(月)14時38分配信
大津市で昨年10月、いじめを受けていた市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題では、いじめのサインを見逃した学校側の認識の甘さや対応の遅さが指摘されている。先週には滋賀県警が暴行容疑で学校や市教育委員会を家宅捜索する異例の事態に発展。生徒の両親が損害賠償を求め市などを訴えた訴訟の第2回口頭弁論が17日、大津地裁で予定されているが、学校や市教委はいじめと自殺との直接的な因果関係を認めない方針を崩していない。
「自殺の練習をさせられていた」「死んだハチを食わされた」「銀行口座から金を奪われていた」。学校が男子生徒の自殺後に実施した全校生徒対象のアンケート調査では、いじめの事実を物語る具体的な証言が数多く寄せられた。市教委は否定するが、複数の生徒は、男子生徒が担任に泣きながらいじめのつらさを訴えていたと指摘したとされる。
昨年10月5日には別の生徒がいじめの実態を直接、担任に訴えたこともあった。担任が男子生徒らに事情を聴くと「けんか」と答え、学校側は「いじめにつながる可能性がある」としたが、いじめとは判断しなかった。6日後の11日、男子生徒は自宅マンションで飛び降り自殺した。
アンケートによると、男子生徒は自殺直前、いじめに関わっていたとされる同級生3人に対し「死にます」とメールを送信。同級生は「死ねばいい」と返信した。自殺後、同級生が「もう死んだか」と笑っていたとする回答も複数あった。
校長は学校の対応について「不十分だったと認めざるを得ない」としながら、「(当時は)いじめだという認識は持っていなかった」と強調。自殺との因果関係は家庭事情なども含め判断すべきだとの姿勢を変えていない。
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大津・中2自殺事件 「いじめ」加害者少年の母はPTA会長
週刊朝日 2012年7月16日(月)16時8分配信
もはや、「いじめ」という言葉では収まらない事態になってきた。
大津市の市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が昨年10月に自宅マンションから飛び降りて自殺した事件のことだ。
2月に両親が市や加害生徒とその親に損害賠償を求め起こした訴訟で、加害者と名指しされた生徒は3人。今、どんな思いで過ごしているのだろうか。
校内で目立つタイプではなく、生徒間では「陰キャラ」と呼ばれていたという3人。リーダー格とされるAは被害生徒と同じクラスで、部活は水泳部。ガッシリした体格で、身長は170センチ以上ある。事件後、県外に転校したが、当時は母がPTA会長を務めていた。
閑静な住宅街にあるAの自宅を訪ねると、母親がこう応対した。
「今の段階で、私たちは何も話せないので、申し訳ないですが、お引き取りください」
被害生徒が自殺した直後は「うちの子こそ被害者だ」と声を荒らげていたとの情報もあったが、とても丁寧な口調だ。とそのとき、その後ろから、少年の声が聞こえてきた。
「エエよ、もう何も話さんでエエから」
玄関口に出てきて強い口調でそう訴えたのはA本人だった。Tシャツに短パン姿で、いら立った様子を隠そうとしない。Aが母の後ろに立つと、母は何も言わず、ドアを閉めた。
被害生徒と同じクラスだったBの母親もPTAの役員だった。Bは自殺直後に転居し、学校も転校した。
Cは被害生徒と違うクラスで、A、Bよりいじめへの関与は薄かったようで転校はしていない。
家は、れんが造りの豪邸だった。家を見ると、開いた窓からC本人の姿が見えた。頭は丸刈り。メガネをかけ、携帯電話をいじっていた。
――C君だよね。
「はい、そうですけど」
けだるそうな口調だ。
――話を開かせて。
「いや、いいです」
一家と親しい人物に開くと、現状をこう代弁した。
「Cの母は『今回の件に貢任を感じる』と話していた。Cにはネットが見られないようにしているが、それでも事件について耳に入るらしく、動揺するときもあるらしい」
※週刊朝日 2012年7月27日号
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自殺生徒、「40万円」工面の壮絶 いじめアンケ「金銭要求」との関係
J-CASTニュース 2012年7月16日(月)17時52分配信
滋賀県大津市の市立中学校で男子生徒が自殺した問題で、男子生徒は亡くなる数か月前から貯金を崩すなど40万円前後を工面していたことが明らかになった。自殺直後に学校が生徒に行ったアンケートでは、「金銭の要求があった」との伝聞情報が複数寄せられていた。
東京新聞などが2012年7月15日、報じた。さらに16日のテレビ情報番組では、いじめ問題に取り組む関係者が、自殺生徒の父親から聞いた話として、「40万円」を工面した内訳を明かした。
■「ためていた貯金通帳15万円、家のお金を…」
「今回の場合、だんだんと事実がわかってくると10万円単位のお金を引き出したり、用立てたりしてる形跡もあるらしいんですよ」
7月16日の「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS系)で、司会のみの氏はこう指摘した。すると、ゲストのNPO法人「全国いじめ被害者の会」代表の大澤秀明氏は、大津市で自殺した男子生徒の父親と対面した際に、「金銭用立て」関連の話を聞いたと応じた。大澤氏は、いじめが原因の自殺で過去に息子を亡くしている
大澤氏は、「問題がなければ…」と断った上で、みの氏から促され、
「当事者がためていた貯金通帳15万円、家のお金を10万円、親類のところから20万円」
と明かした。
それ以上、金銭に関する詳しい説明やコメントはなかったが、15日の東京新聞報道などによると、男子生徒は、自殺する3か月前から数回にわたり、郵便貯金十数万円を引き出したり、親戚が経営する店のレジから金を取ったりしていた模様だ。親戚の財布や自宅からも金銭を抜き取っていたようだ。
■「お金持ってくるよう脅されていた」の伝聞情報も
もう1人のゲストで、子供のころいじめを受けた経験がある元ボクシング世界王者・内藤大助氏は、今回のいじめ問題について、
「殺人事件だと思っていますよ。勝手に死んだとかいう人がいるけど冗談じゃないですよ」
と厳しい表情で語った。
学校のアンケート調査では、複数の同級生が「お金を持ってくるように脅されていた」といった伝聞情報を回答していたことがすでに分かっており、今回の「金銭工面」証言と合わせ、実態解明に一層注目が集まりそうだ。
16日放送の情報番組「とくダネッ!」(フジテレビ系)は、滋賀県警が「恐喝や強要の疑い」も視野に入れて捜査を進めていると報じた。