中2いじめ自殺 自殺直前のいじめ「けんかと判断」校長、会見で謝罪
産経新聞 2012年7月15日(日)2時15分配信
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、担任教諭が自殺の6日前に校内で確認した同級生による男子生徒への暴力について、学校側が「けんか」と当時認識していたことが14日、わかった。校長が同日一連の問題発覚後、初めて会見し明らかにした。校長は「当時いじめの認識はなく、けんかと判断したが、学校の対応は不十分だったと認めざるを得ない」と謝罪した。
校長によると、男子生徒が自殺する6日前の昨年10月5日、担任は校内のトイレで男子生徒が同級生に暴力を振るわれているのを確認し、放課後、学年主任を含む教諭数人と校内で対応を協議。「生徒らを気をつけてみていく必要がある」「2人の力には差がある。けんかはいじめにつながる可能性もある」との意見があったものの、「いじめではなく、けんか」として意見をまとめ、校長に報告した。協議は約15分だった。
暴行があったトイレにはほかにも数人の生徒がいたが、担任は事情を聴かず、「いじめや」と知らせてきた生徒にも改めて話を聞くことはなかったという。担任は昨年9月、男子生徒が同級生から首を絞められるなどしていたことも把握していた。
大津市役所で会見した校長は「もっと踏み込んだ対応をすべきだった。当時いじめの認識はなく、いじめがあったことは申し訳ない」と謝罪。市教委は男子生徒の自殺後の昨年11月、生徒アンケートをもとにいじめの存在を認めた。アンケートでいじめを示す回答がありながら対応が遅れたことについては、「聞き取りも十分ではなく、大きな見落としがあると感じる」と述べ、学校が滋賀県警による捜索を受けたことなどには「学校全体を混乱させたことに十分責任を感じている」と話した。
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中2いじめ自殺 自殺6日前、いじめ可能性を協議 担任ら複数の教諭
産経新聞 2012年7月15日(日)2時18分配信
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、担任教諭が自殺の6日前、当時の同級生らによる男子生徒への暴力があったことを確認し、同日中に担任を含む同校の複数の教諭が、いじめの可能性があるとして対応を協議していたことが14日、市教委への取材で分かった。生徒と加害者の保護者にも連絡したといい、市教委は「当時、教諭らにいじめの認識があったかどうかを改めて調べたい」としている。
市教委によると、担任は昨年9月、男子生徒が同級生から首を絞められるなどしていたことを把握。さらに自殺6日前の10月5日、生徒が発したとみられる「いじめや」という声を聞きつけてトイレに駆け付けたところ、同級生からの暴力があったことを確認した。
担任が「大丈夫か」と確認したところ、生徒は「大丈夫」と答えたといい、担任は仲直りをさせ、生徒と加害者の保護者にも事実を伝えた。
市教委の担当者は、この日の放課後に、担任を含む数人の教諭が、いじめの可能性があるとして校内で対応を協議していたことを認め、「教諭からは『生徒らを気をつけて見ていく必要がある。翌週から人間関係を把握していこう』という意見も出た」と説明した。
生徒は10月11日朝、自宅マンションから飛び降り、死亡しているのが見つかった。
自殺後に学校が実施した生徒アンケートをもとに、市教委は昨年11月、男子生徒へのいじめの存在を認めたが、自殺前は、生徒への行為について「いじめという認識はなかった」としていた。
大津市は生徒の遺族との訴訟で、いじめと自殺との因果関係を認める方向で調整している。
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大津いじめ自殺、県警捜査員40人体制へ
産経新聞 2012年7月15日(日)7時55分配信
大津市立中学2年の男子生徒が飛び降り自殺した問題で、県警は15日から、現在25人の専従捜査班に加え、県内各署から15人の捜査員を招集し、計40人体制で事情聴取を進める。県警によると、14日も複数の教諭から聴取が行われた。生徒への聴取は、同校の終業式以降、アンケートに記名で目撃情報を記入した生徒を中心に行われる見通し。
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中2自殺、校長「いじめ認識せず」市教委とズレ
読売新聞 2012年7月15日(日)8時2分配信
大津市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が昨年10月、いじめを苦に自殺したとされる問題で、中学の校長が14日午後、全校アンケートの非公表問題が発覚後、初めて記者会見した。
担任ら複数の教諭が、男子生徒がいじめられているとの情報を受けていたことを認め、「同級生とのけんかと判断した。いじめを把握する機会があったのに見逃していたと言われれば、その通りだ」と陳謝した。しかし、「担任らは、この段階で確実にいじめだという認識はなかった」と説明、市教委が14日午前に「自殺前に担任らがいじめの可能性を疑っていた」とした説明とは違う見解を示した。
「(生徒の自殺まで)いじめというはっきりした認識はなかった。疑っていなかったというより、気付かなかった」。沢村憲次・市教育長とともに大津市役所で記者会見に臨んだ校長は、言葉を選ぶように釈明した。
一連の問題発覚後、これまで会見に応じなかった理由については、「生徒たちの心の安定を考えて避けていた」とし、「強制捜査などで学校全体が混乱する事態になり、十分責任を感じている」と話した。
校長は、男子生徒が昨年10月11日に自殺する前に2度、いじめに遭っているという情報が寄せられていたと説明。「教諭らから、生徒は同級生と力の差があり、けんかで負けることが多いと聞いていた」とも話した。
自殺6日前の同5日に、男子生徒と加害者とされる同級生がトラブルになった際には、担任ら5、6人で対応を協議したものの、双方の生徒がいじめを否定し、「大丈夫」と言っていたため、「これはけんかだ」と結論づけた、とした。
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校長「気づかなかった」大津いじめで210分釈明
スポーツ報知 2012年7月15日(日)8時3分配信
大津市の中2男子自殺で、この生徒が通っていた中学校の校長が14日、一連の問題の発覚後、初めて記者会見し、いじめの事実について「認識がなかったというより、気付かなかった」と述べた。また、男子生徒が自殺する6日前にいじめの可能性もあるとして、教員らが話し合いの場を持っていたこともこの日判明。教員らの話し合いについて校長は報告を受けていたが、それでも「いじめとは疑わなかった」と釈明した。
校長の会見は滋賀県警による11日の家宅捜索後で初めて。一連の問題発覚後、ようやく行われた記者会見で、男子生徒が自殺する前から学校がいじめの事実を把握していたかどうかについて「認識がなかったというより、気付かなかった。いじめがあったのか、ということについては今となっては気付いていなかったのが正確なところです」と否定した。
一方、同市教育委員会はこの日、男子生徒が自殺する6日前にいじめの可能性もあるとして、教員らが話し合いの場を持っていたことを明らかにした。市教委によると、自殺6日前の昨年10月5日、別の生徒が担任に「(男子生徒が)トイレでいじめられている」と報告。担任が駆け付けると、男子生徒と加害者とされる生徒は何事もなかったようにしていたという。
担任が男子生徒に「大丈夫か」と尋ねると、生徒は「大丈夫」と返答した。2人はケンカであると主張し、教員の間での報告会でも「ケンカ」という結論に達したが、担任を含む教員らが男子生徒について話し合い「いじめの可能性もあり、注意して見守っていく」という意見でまとまった。
この話し合いについて校長は「報告は受けていた」と説明。にもかかわらず、教員らが「いじめの可能性」の認識を共有したことを、一般論が話し合われただけと軽く受けとめてしまったため「いじめとは疑わなかった」という。
さらには昨年9月29日、生徒らが男子生徒の両手を鉢巻きで縛り、口に粘着テープを貼ったとして滋賀県警が暴行容疑で捜査中の体育大会についても、校長は「アンケート回答があって初めて知った」と、当時の暴行の認識を否定。また、男子生徒については、昨年9月30日にも「いじめられているのでは」との声が寄せられた。この際も担任は話を聞いたが、男子生徒は「大丈夫」と答えたため、具体的な対応はしなかったという。
約50人の報道陣が詰め掛けた会見は約2時間でいったん打ち切られ、午後7時から再開。計約3時間半の長い会見となった。いじめを認識する機会を漫然と見逃し続ける形となった校長は、「聞き取りが不十分で大きな見落としであると感じている。子供を見る目や対応の仕方がまずかった」と対応の不備を認めた。
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いじめ自殺、校長「けんかだと…判断甘かった」
読売新聞 2012年7月15日(日)9時17分配信
大津市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が昨年10月、いじめを苦に自殺したとされる問題で、中学の校長が14日午後に行った記者会見での主なやり取りは次の通り。
――男子生徒がいじめを受けていたという認識は。
校長「(5日は)いじめという通報で始まったので、確認しているはず。ただ、(男子生徒と同級生に)確認したら、双方が手を出したけんかということだった。その段階で、いじめだという確実な認識はなかった」
――いじめがあったと全く疑わなかったのか。
校長「疑っていなかったというより、気付いていなかった。認識がなかった」
――協議で、いじめという言葉は出なかったのか。
校長「もちろん出ている。本人たちから事実確認して、『これはけんかだ』という話になった」
――いじめの可能性を切り捨てたのではないか。
校長「切り捨てていない。捨てていたら調査しない」
――自殺当日、校長は記者会見で「いじめはなかった」と断定した。なぜか。
校長「断定していない。いじめがあったとも、なかったともわからない、調査したいと(言った)」
――10月5日のトラブルは市教委に報告したのか。
校長「その時点では報告していない。指導の不十分さ、判断の甘さがあったと言わざるを得ない」
――けんかがあり、いじめの可能性を疑わなかったことについてどう思うか。
校長「生徒からもっと聞き取り、早期に調査すれば迅速な対応ができた。通報があったのに本人から事情を聞かず、それまでの情報で判断してしまった」
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大津中2自殺 全国から集中批判受け いじめ対策「救急着手」
京都新聞 2012年7月15日(日)23時39分配信
大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒が自殺、いじめとの関連が指摘されている問題で、大津市や滋賀県など関係機関が対応に追われている。現段階では具体的な効果が見えにくい取り組みもあるが自殺を防げなかったことに全国的な批判が集中する中で、まずは着手を優先する格好となった。
滋賀県教委が11日に設置した二つの緊急対策会議は、県にも多くの批判が寄せられたのを受け、嘉田由紀子知事の強い意向で素早く設置が決まった。
だが、開催予定は7月中の2回だけで、初回は30分足らずで終了。「子どもの命を守ることを主眼とする」など、いじめ対策の基本となる趣旨の確認にとどまった。これに対し、県教育委員からは「命を守るのは当たり前。今までの取り組みを検証すべき」との指摘もあった。
各市町教委の意見をまとめる県教委は「まず県内で情報を共有し、具体策は今回の対策会議とは別の新たな体制で考えたい」とするが、具体的な論議が始まるには、しばらく時間がかかる見込みだ。
大津市議会が制定を目指す「市いじめ防止条例(仮称)」も同様だ。滋賀県警が11日に中学校と市教委を強制捜査したのを受け、2日後の13日には条例制定を目指すと合意した。
条例は再発防止やいじめ根絶を進めるのが狙いで、条例の中身を協議する政策検討会議の設置までは決まった。
ところが、会派間の事前調整が十分でなく、「12月定例議会での提案を目指す」とした目標について、この日は足並みがそろわなかった。
一方、大津市の越直美市長も12日、文部科学省に職員派遣を要請。その翌13日には平野博文文科相が「先行して1人はきょうにも送りたい」と意欲をのぞかせた。派遣された職員は、市の外部調査委員会の立ち上げなどのサポートが期待される。だが、結果的に派遣は翌週17日にずれ込んだ。市、国とも態勢固めより、取り組むスピードを優先したためとみられる。
その余波で、派遣要請は市教委にまったく知らされず、「新聞報道で知った」という市教委幹部も。そのことを記者会見で問われた澤村憲次教育長は、「教育委員会の所管内容についての派遣だとは思っていない」と答えた。