大津いじめ自殺 「息子は悪くない」加害者の母が撒いたビラ
女性自身 2012年7月17日(火)9時35分配信
昨年10月、滋賀県大津市で市立中学2年の少年が自殺した事件に、日本中が心を痛めている。生前、少年の必死の訴えは教師は届かず、死後、事件が公になると責任逃れの発言を続ける学校側の対応に、7月11日、滋賀県警はいじめの加害者3人の暴行容疑で中学を家宅捜査する異例の事態となった。
そんななか、加害者の一人であるAの母親が、信じがたい行動に出ていたことが複数の生徒たちの証言でわかった。Aは、主犯格とされる一人。少年とは同じクラスで、父親は京都市内でデザイン会社を経営。母親は当時PTAの会長だった。
「昨年秋に開かれた緊急保護者会の前に、A君の母親が校門前でビラを配ったそうです。仲のいい何人かの親と一緒だったと聞きました」と保護者の一人がいう、そのビラの内容について社会部記者はこう話す。
「そこには『息子の痛みをわかってやれなかったのはそちら(少年の両親)のはず。うちの子が悪いというのは責任転嫁です』といったことが書かれていたそうです」
Aの母親は昨秋の緊急保護者会でもマイクを握り「うちの子は仲よくプロレスごっこをしていただけなのに、犯人扱いされて学校に行けなくなった。うちの子が自殺したら、ここにいる保護者や先生の責任だ」と言い放ったと報じられている。
Aの家は、大津市内でも高級住宅街とされる一角にある。12日、外出から帰宅したAの母親を直撃した。
ーー 以前、学校でビラなどを配布されたと聞きましたが。
「今は裁判中なので、裁判の中で明らかにしていきますので。すみませーん」
挑みかかるような口調で答えると家に入っていく。この日は、家宅捜査後の臨時保護者会の日だった。
ーー 今日、保護者会がありますが、行かないのですか?
「もう、私たちはあの学校と関係ないんでね」
たしかにAは事件後、京都市内の学校に転校している。だが、Aはこの事件の説明会”に関係ない”とは、とても言えないはずなのだがーー。
(週刊FLASH 7月31日号)
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大津市長「裁判延期を」 中2自殺、第三者委調査で方針
京都新聞 2012年7月17日(火)9時49分配信
大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺し、いじめとの関連が指摘されている問題で、越直美市長(37)は近く、いじめと自殺の因果関係などを再調査するため、有識者による第三者委員会を設置する。越市長は16日までに、京都新聞社の取材に応じ、「第三者委の調査期間中は訴訟の裁判期日の延期を求める。延期が無理な場合、結果が出るまで市は積極的な主張はしない」と今後の方針を語った。
越市長は、滋賀県警に一連の資料が押収されたため、第三者委への時間的影響は避けられないとした。市教育委員会の澤村憲次教育長が「自殺の要因に家庭内のこともある」と言及したことについては「訴訟で原告と被告の関係にある。そういう中で、家庭のことを第三者委で調査するのは難しい」と述べ、あくまで学校で起こった真実を明らかにする考えを示した。
一方、事実の解明には、いじめたとされる生徒への聞き取りも必要となるが、越市長は「それはできないと思う。警察のように強制力はない」と調査の限界を認めた。
その上で、「調査資料を再度整理することで新事実が出るはず。アンケートに記名回答した生徒への聞き取りができていなかったので、そういう部分を再調査する。結果に期待している」とし、「事実をうやむやにして、和解するということではない」と強調した。
越市長は市教育委員会の調査を不十分として、6日に第三者委による再調査の方針を表明。17日には文部科学省の職員3人が市に派遣され、第三者委の立ち上げ準備などの支援にあたる。
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文科省、大津に職員3人を派遣…市教委に助言
読売新聞 2012年7月17日(火)11時34分配信
大津市の中2自殺問題で、文部科学省は17日、児童生徒課の郷治知道(ごうじともみち)・生徒指導室長ら職員3人を同市に派遣した。
越直美市長が調査のために設置を表明している外部委員会の発足や市教委への助言などの業務を、約2週間支援する。
郷治室長は「痛ましい事案で、重く受け止めている。外部委員会の委員の人選や進め方について、過去の事例を生かして適切な支援をしたい」と話した。
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<大津・中2自殺>市が和解の意向示す いじめ認める可能性
毎日新聞 2012年7月17日(火)11時50分配信
大津市で昨年10月、同級生からいじめを受けた市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が飛び降り自殺し、両親が市や加害者とされる同級生3人らを相手取り約7720万円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が17日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であった。市側は「現時点では、いじめと自殺の因果関係を認める可能性が高い。和解の意思表示をすることになる」とし、和解の意向を訴訟で初めて示した。
市側は5月の第1回口頭弁論では「いじめと自殺の因果関係があったとは断じられない」と主張していた。しかし、男子生徒が自殺した後のアンケートに複数の生徒が「自殺の練習をさせられていた」と寄せ、その回答を市教委が非公表としていたことが今月判明。越直美市長は10日、いじめと自殺の因果関係を認めて和解を目指す意向を表明していたが、沢村憲次教育長は13日、「訴訟は継続すべきだ」と述べていた。
市側代理人は「市としてはいじめと自殺の因果関係について認める可能性が高く、和解協議させていただきたい。ただし、最終的には第三者委員会の調査結果と県警の捜査を踏まえたい」とし、訴訟での市の主張を約4カ月留保したいとして次回期日の延期を申し立てた。
原告側代理人は「再調査に4カ月かかるという根拠がわからない」などと反対。「自殺は、毎日のように練習させられていたことと無関係ではない」と主張し、男子生徒の担任の日誌など資料の提出を市側に求めたほか、「学校の過失については主張していく」と述べた。長谷部裁判長は双方の主張を基に次回期日を9月18日に指定した。
一方、5月の第1回弁論でいじめの認否を保留していた同級生の1人も意見陳述し、「遊びであり、いじめではなかった」と主張。他の2人と同様、いじめを否定した。
越市長は、口頭弁論後、報道陣に「学校と市教委の調査がずさんだったことが分かり、今まで事実と思っていた訴訟遂行はそのままできない。不十分な調査について亡くなった生徒と遺族におわびする」とし、「まずは外部調査を最優先させ、和解は調査結果を待って最終的に判断したい」と述べた。【加藤明子、千葉紀和、村瀬優子、村山豪】
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いじめ根絶のために… 自殺中2生 父親の思い
産経新聞 2012年7月17日(火)12時0分配信
「裁判で事実をはっきりさせたい」。当時、大津支局長として、いじめを受けていて自殺した大津市立中学2年の男子生徒=当時(13)=の父親(47)と会ったのは1月18日だった。昨年10月11日、男子生徒が自宅マンションから飛び降りた日から100日目。駆け出しだった警察担当の女性記者とともに自宅を訪ねた。
「いじめ自殺」と父親は確信していたが、大津市教委と中学校は「因果関係は不明」「学校側の調査には限界がある」と自殺から23日目に調査を終了していた。滋賀県警大津署にも被害届の受理を3度拒まれ、父親は民事裁判に活路を見いだそうと考えていた。「『いじめをなくしてほしい』という気持ちで自殺した息子の気持ちに報いたい」とも話し、いじめ根絶につなげたいとも考えていた。
時折涙ぐむ父親からは息子への申し訳なさが痛いほど感じられた。息子の自殺を知ったときは「訳がわからなかった」。まったく心当たりがなかった。だが、翌日以降、同級生の保護者などからいじめの存在を次々と知らされた。中学校に求めた全校生徒へのアンケートではさらに陰湿ないじめが判明した。昨年暮れには同級生に集まってもらい、直接いじめの話を聞いた。どれも知らなかった。
「このままうやむやになって、風化していくことは息子のためにも避けたい」。忙しい仕事の合間を縫って訴訟準備を急いだ。年度をまたぐと教育長や中学校の校長、教諭が訴訟の当事者になる前に辞任、異動してしまうと考えたからだ。そして2月24日、妻とともに加害生徒3人とその保護者、さらに大津市を相手取って約7720万円の損害賠償を求める訴訟を大津地裁に起こした。
今月になって中学校が調査終了後に2回目のアンケートを在校生に実施していたことがわかり、その回答に「自殺の練習といって首を絞める」「葬式ごっこ」といった記述があったことが明らかになった。事態は一変し、大津市の越直美市長(37)は「いじめがあったからこそ男子生徒が亡くなった」「市教委の調査はずさん」「責任をとって和解したい」と法廷外ですでに白旗を上げた。そして、滋賀県警はいじめ事件では異例の強制捜査に踏み切った。
悩みに悩んだ訴訟だったが、父親は当初の目的を遂げつつあるのは確かだ。ただ、最も難しい問題は残ったままだ。いじめの根絶。これは、父親だけの思いではなく、われわれの思いでもある。(大阪総局長 野瀬吉信)
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大津市、いじめと自殺の関係認める可能性
日本テレビ系(NNN) 2012年7月17日(火)12時31分配信
滋賀・大津市で、いじめを苦に自殺したとされる中学2年の男子生徒の遺族が損害賠償を求めている裁判が17日、大津地裁で開かれ、市側は、前回「断定できない」としていたいじめと自殺の因果関係について、一転して「認める可能性が高い」と述べ、裁判の日程の延期を求めた。
裁判は17日午前10時から始まり、約20分で終了した。一連の報道を受け、これまでとは180度近く変わった市側の姿勢に、遺族は時折、首をかしげ、にらむようにして話を聴いていた。
この裁判は、自殺した男子生徒の遺族が、「自殺はいじめが原因だった」として、加害者とされる同級生3人と市などを相手取り、約7700万円の損害賠償を求めているもの。これまで市側は、いじめがあったことを認めたが、「自殺との因果関係は不明」として争う姿勢を示していた。
17日の第2回口頭弁論で、市側は「因果関係を認める可能性が高く、再調査の結果や警察の捜査を待ちたい」と述べ、次回の期日を約4か月先延ばしするよう求めた。遺族側はこの要望を受け入れたが、学校がいじめを認識しつつも見逃した可能性について、市側の見解を早期に示すよう求めた。
原告側弁護士が読んだ男子生徒の父親のコメント「息子が自殺しなければならなかった程のいじめとは、どのようなことがあったのか。二度とこのような悲劇が繰り返されないために、安全な学校を実現するにはどうすればいいのかというのを問うために裁判を起こした。学校ならびに大津市教育委員会の記者会見を見ていると、もしかしたら息子は学校に見殺しにされたのでは、という気がする」
遺族側は18日にも、加害者とされる同級生ら3人を暴行の疑いなどで刑事告訴する方針。
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大津市側「いじめと自殺に因果関係」和解意向を表明 中2いじめ自殺
産経新聞 2012年7月17日(火)12時59分配信
大津市のマンションで昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺したのはいじめが原因として、男子生徒の両親が、市やいじめ行為をしたとされる元同級生3人、保護者に計約7720万円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が17日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であった。市側は「いじめと自殺の因果関係を今後認める可能性が高く、和解協議をさせてもらいたい」とし、裁判で初めて和解に向けた意向を明らかにした。
市側はこの日、市が今後設置するいじめの外部調査委員会と滋賀県警による捜査の結果を踏まえるため、第3回以降の裁判期日を「4カ月ほど延ばしてほしい」と要望したが、原告側は「調査委員会とは関係なく裁判を続けてほしい」と反対。長谷部裁判長は次回期日を9月18日と決めた。
また、市側は法廷で調査委の人選について「遺族の意見をうかがい、決定したい」と述べた。
閉廷後、市側の代理人弁護士は「学校と市教委の調査が不十分だったため、遺族や、絶望のふちにあって死を選ばなければならなかったご本人にご迷惑をお掛けしたことをおわびする。申し訳ありませんでした」と謝罪した。
市側は5月に開かれた第1回口頭弁論で「いじめと自殺の因果関係は不明で、市に過失責任はない」と主張。今月に入り、学校が実施した生徒アンケートで「(男子生徒が)自殺の練習をさせられていた」など、いじめとの関連を示す回答を市教委が公表していなかったことが判明した。その後、越直美市長が一転して「学校と市教委の調査はずさん」として今後、外部調査委員会を組織し、いじめについて再調査したうえで遺族との和解を目指す意向を示していた。
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加害同級生側はいじめ否認…大津中2自殺口頭弁論
テレビ朝日系(ANN) 2012年7月17日(火)14時28分配信
大津市の中学2年の男子生徒がいじめを受けて自殺し、遺族が損害賠償を求めた裁判で、被告の大津市側は「これまでの調査が不十分だった」と認め、第三者委員会の調査結果が出るまで裁判の延期を求めました。
これまで「いじめが自殺の原因とは断定できない」としていた大津市ですが、一転して「いじめを受けていた可能性はある」としたうえで、和解したいとの意向を示しました。自殺した男子生徒の両親は、「学校側はいじめを知りながら適切に対応しなかった」として、大津市や同級生らに約7700万円の損害賠償を求めています。初弁論で争う姿勢を示していた大津市は17日、アンケート調査が不十分だったと認めました。そのうえで、第三者委員会の再調査や警察の捜査の結果が出るまで裁判を延期するよう求めました。文部科学省は17日朝、その第三者委員会立ち上げの助言などをするため、職員を大津市教委に派遣しました。一方、加害生徒とされる同級生3人は、「遊びの範囲内で、いじめではない」と争う姿勢を示しています。男子生徒の父親は、「一人でも多くのいじめに悩む生徒さんを救えることを望みます」とコメントしています。また、市側の弁護士は「遺族や、絶望の淵(ふち)にあって自ら命を絶った生徒におわびする」と話しています。
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大津市一転、いじめ原因認める姿勢 中2自殺口頭弁論
京都新聞 2012年7月17日(火)14時49分配信
大津市のマンションで昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、男子生徒の両親が市や同級生らに損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が17日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であった。市側が「いじめと自殺との因果関係は不明」としていた従来の主張を一転し、「因果関係について認める可能性が高い」とする姿勢を見せた。遺族側は男子生徒が「自殺の練習」などを繰り返しさせられたため、自殺に追いやられたとする書面を提出した。
市側の代理人は「大津市としては、いじめと自殺との因果関係について、今後認める可能性が高く、和解協議させていただきたい」と述べた。一方、正式な認定は市の調査委員会や滋賀県警の捜査の結果を踏まえるとした。
また、市の調査委員会の結果が出るまで4カ月程度、市の主張を留保したいと述べ、次回以降の期日を先送りするよう裁判所に申し出た。遺族側は継続して審理を求め、市の過失について補充の主張をするとした。次回の期日は9月18日に指定された。同級生3人のうち、これまで態度を明確にしていなかった1人がいじめを否認し、3人とも争う姿勢を見せた。
市は5月の第1回口頭弁論で提出した答弁書で、男子生徒に対し、暴力や蜂を食べさせるなどのいじめがあったことを認めた上で「自殺の原因とは断定できない」と主張。市の過失責任や因果関係について争う姿勢を見せていた。遺族側の「教員らがいじめを見逃した」とする主張については、いじめの日時や場所を特定するよう要求していた。遺族側は、学校が行った全校生徒へのアンケートに記載があった回答を基に、同級生らは男子生徒に自殺の練習を繰り返し指示したと主張。男子生徒はいじめから逃れるために自殺を決意したとの意見を書面で提出した。市の過失については「いじめられているのを見ても見ぬふりをしていた」とのアンケートの回答を基に、教職員がいじめを知りつつ放置した、などとしている。
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大津・中2自殺訴訟 自殺生徒の父 「不信ぬぐうことできぬ」
産経新聞 2012年7月17日(火)14時53分配信
大津地裁での第2回口頭弁論を終え、男子生徒の父親(47)は、大津市が今後設置する外部調査委員会に対し「不信をぬぐえない」などとする談話を発表した。代理人弁護士が報道陣に書面を読み上げた。
父親は談話の中で「市教委と越直美市長の意見が食い違っている中で、市長が(いじめと自殺との)因果関係を認めた点は評価している」とした。
一方で「市教委が『家庭に問題があった』としている点については憤りを感じている」とし、「越市長が設立する調査委員会については不信をぬぐうことができない。委員会が大津市の最終判断に委ねられているという点についても、若干の不信感を抱いている」と不満をみせた。
また、父親は弁論前に準備した談話も発表。「大津市に対しては『もしかしたら息子は学校に見殺しにされたのではないか』との気がしてならない。一日も早く事実が解明され、原因が究明され、真に有効な対策が講じられ、一人でも多くのいじめに悩む生徒さんを救えることを望む」とした。
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傍聴に340人列…大津いじめ訴訟、父はメモ
読売新聞 2012年7月17日(火)14時58分配信
「人ごととは思えない」「自分の目と耳で確かめたい」。
大津市立中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺したとして、両親が市などに損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が開かれた17日、大津地裁前に約340人が傍聴券を求め、列をつくり、関心の高さをうかがわせた。市教委や学校のずさんな対応が次々と明らかになる中、傍聴者からは法廷での真相解明を期待する声があがった。
「今後の審理の進行について相談したい。いじめと自殺の関係について認める可能性が高い」
市側の弁護士の弁論を、男子生徒の父親(47)はメモをとりながら、じっと聞き入った。学生服姿で笑顔の遺影を抱えた遺族らも、傍聴席で耳を傾けた。
30度を超える暑さの中、36席の一般傍聴席を求め、地裁前に列を作った約340人の中には、父親と同じ思いを持つ人もいた。
滋賀県守山市の飲食店経営、小林恵さん(45)は、中学2年生だった3年前に飛び降り自殺した長女・愛由(あゆ)さん(当時13歳)の遺影を手に傍聴した。愛由さんの自殺原因は不明だが、「子どもを亡くした親同士。役立ちたい」といい、「突然、我が子がいなくなるつらさは想像を絶する。学校はきちんと対応できなかったのか」と怒りをにじませた。
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<大津いじめ自殺>「学校が見殺しに」生徒の父、不信感
毎日新聞 2012年7月17日(火)16時1分配信
「いじめと自殺の因果関係を認める可能性が高い」。大津市の市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、遺族が市と加害者とされる同級生3人らに損害賠償を求めた大津地裁での訴訟で、市側は17日の第2回口頭弁論で「いじめを苦にしての自殺と断じることはできない」としたこれまでの主張を一変させた。男子生徒の父親(47)は閉廷後、代理人を通じて「息子は学校に見殺しにされた気がしてならない」と改めて学校側を批判した。
この日の法廷には父親も出廷。淡々と市の主張を読み上げる市側代理人の話を熱心に書き留めていた。
遺族の「教員はいじめを現認していた」との主張に対し、市側はこれまで教諭の認識について「具体的な事実の摘示(提示)がない。誰がいじめの事実を目撃したのか明らかにされたい(してほしい)」などの主張を繰り返していた。しかしこの日、市側は「法廷に積極的に資料を出し、真相解明のため丁寧に調査したい」とし、外部調査委員会の調査や情報開示にも誠実に対応する姿勢を示した。
父親は閉廷後、「越直美市長の因果関係を認める発言は評価する」とコメントしたが、沢村憲次教育長が訴訟継続の意向を示しているため、「市長と教育長の発言に相違があり、信じていいのか」と不信感を示した。
市側代理人は「学校、市教委の調査、公表が不十分だったため、ご遺族様や、絶望のふちにあって死を選ばざるを得なかったご本人様に大変ご迷惑をおかけした。市長に代わって深くおわび申し上げます」とのメモを報道陣に読み上げた。
大津地裁では341人が傍聴券を求めて列を作り、いじめの被害者や子供を失ったことのある父親の姿もあった。
09年5月に長女を自殺で亡くした滋賀県守山市の小林恵さん(45)は、「親は子を失って自分を責めているのに、周囲から『なんで異変に気付かない』と言われるとつらい」と遺族の心情をおもんぱかった。また、いじめ問題に取り組む市民団体「全国学校事故・事件を語る会」のメンバーで、いじめを受けたことのある小西史晃さん(36)=兵庫県姫路市=は「裁判で市教委や学校のいじめに対する認識の甘さを明らかにしてほしい」と話した。【加藤明子、村瀬優子、前本麻有、石川勝義】