<大津いじめ自殺>21日にも生徒らから聴取 滋賀県警
毎日新聞 2012年7月19日(木)1時12分配信
大津市の男子中学生が自殺した問題で、滋賀県警は中学の在校生や卒業生らの聴取を早ければ21日にも始めることが18日、分かった。いじめの加害者とされる同級生ら3人からは最後に聴く方針。
県警は11日夜、同級生3人が男子生徒に暴行した疑いがあるとして、市教委と中学校を家宅捜索。男子生徒の自殺に関する市教委側の調査資料や教諭の日誌を押収、校長をはじめ教諭らの聴取を順次進めている。
一方、県警は40人態勢の捜査班を作り、20日の終業式の翌日からの夏休みを利用し、数百人に及ぶ生徒や卒業生から集中的に事情を聴く方針だ。男子生徒の自殺後に行われた全校アンケートに「自殺の練習をさせられていた」などの記述があり、県警は記述した生徒ら約300人を中心に順に聴取するという。捜査関係者は「あらゆる事実を調べる方針」としている。
一方、男子生徒の父親(47)は、加害者とされる同級生3人を暴行や恐喝、強要など六つの容疑で滋賀県警大津署に告訴し受理された。
告訴に際し父親は容疑を暴行に絞らず、県警担当者に口頭で被害の内容を伝える形で「告訴調書」を作成。その際、昨年12月の被害届は事実上告訴にあたると主張し、告訴期間の過ぎている容疑も含めて告訴したという。
対応した県警の担当者は「歴史の転換点となる大きな事件に携わっている。この機会をとらえ、二度といじめで自殺する被害者を出さないようにしたい」と応じたという。父親は「このことを息子に報告します。事実が解明され、加害少年たちが罰を受け、謝罪し、更生してくれることを望みます」とのコメントを出した。加害者とされる同級生の代理人の一人は「(本人にも)いろいろな思いはあるが、代理人としてはコメントを差し控えたい」と話した。【村瀬優子、加藤明子、村山豪】
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<大津いじめ自殺>市長、遺族と月内にも面会
毎日新聞 2012年7月19日(木)2時32分配信
大津市で市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、越直美市長が月内にも男子生徒の遺族と初めて面会することが分かった。男子生徒へのいじめの実態を調べるため、近く設置する外部調査委員会の調査目的や委員の人選について直接協議する。いじめの調査を巡り、遺族と首長が協議するのは極めて異例。遺族側は市全体に不信感を募らせており、市はトップ自ら遺族の意向を確認し、本格的な真相究明に着手する必要があると判断した。
外部調査委は、市教委と学校によるこれまでの調査が不十分だったとして越市長が設置を表明。外部有識者4、5人で構成する方針だ。生徒の両親が市などを訴えた損害賠償請求訴訟で、市側は調査委の結論を踏まえて和解を探る方針を示している。【千葉紀和、加藤明子】
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大津いじめ 遺族側が尾木ママら推薦へ 大津市の外部調査委員
産経新聞 2012年7月19日(木)8時59分配信
自殺した男子生徒へのいじめの実態を調べるため、越直美大津市長が近く設置する外部調査委員会の委員として、生徒の両親が18日、「尾木ママ」の愛称で知られる教育評論家の尾木直樹法政大教授(臨床教育学)と、元教員でいじめ問題に詳しい松浦善満和歌山大教授(臨床教育社会学)を市に推薦した。両親はさらに弁護士ら2人を推薦するという。
尾木氏は滋賀県米原市出身。臨床教育研究所「虹」を主宰し、子育てや教育問題などに関する調査・研究に取り組んでいる。
文部科学省は、児童・生徒が自殺した場合、遺族が望めば中立的な第三者調査機関を設置できるとし、遺族の意向に配慮することも求めている。市はこの方向に沿って両親の意向を尊重する方針を示した。
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いじめ防止、文書配布へ 堺市教委 全保護者と児童生徒に
産経新聞 2012年7月19日(木)7時55分配信
大津市の中学2年の男子生徒が自殺した問題を受けて堺市教委は18日、いじめを許さない態勢づくりに取り組むよう市立の幼稚園、小中学校、高校、支援学校の校園長に通知する一方、すべての保護者や児童生徒にいじめ防止を目的とした文書を配ることを明らかにした。
校園長向けの文書は「いじめを絶対に許さない指導体制づくりに向けて」の表題で、各学校園での指導態勢を再点検し、教職員全体のチーム力を生かして徹底して取り組むよう求めた。
また、保護者には、いじめに関する子供のサインを見逃さないことを要請し、児童生徒には、いじめをしてはいけないことやいじめを受けたり見たりした場合に周囲の大人に相談するよう呼びかけている。保護者や児童生徒への各文書では、24時間の相談窓口(こころホーン(電)072・270・5561)も載せた。各文書はそれぞれ19日にも配布する。
竹山修身市長は記者会見で「子供がどう感じているかを鋭敏に察知することが大切。教育委員会が主体的にやるが、市長部局としても連携を取って積極的に関与したい」と述べた。
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二度と自殺者出ないよう…父、同級生3人を告訴
読売新聞 2012年7月19日(木)9時29分配信
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)がいじめを苦に自殺したとされる問題で、男子生徒の父親(47)が18日、加害者とされる同級生3人について暴行、恐喝、脅迫など六つの容疑で滋賀県警大津署に告訴、受理された。
県警は今後、同校の生徒や卒業生らの聞き取りなど捜査を進め、同級生3人からも事情を聞く方針。父親は弁護士を通じて「二度と同じような自殺者が出ないよう全容を解明してほしい」との談話を発表した。
弁護士によると、ほかの3容疑は強要と窃盗、器物損壊。告訴については「息子のためにできることをしたいという父親の強い意志だ」としている。
この日、同署を訪れた父親は午後4時半頃から約1時間半にわたり、男子生徒が3人から受けたとされるいじめの行為を説明。県警少年課の捜査班長が告訴調書を作成し、「捜査に全力を尽くす」と話したという。席上、父親は暴行容疑に限らず、男子生徒の自殺後に、市教委が実施した全校アンケートの回答にある行為すべてについて捜査をするよう求めた。
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鈍感な教師「怒らないから、なめられていた」 大津いじめ
産経新聞 2012年7月19日(木)12時34分配信
自殺した男子生徒が通っていた中学と市教委に滋賀県警の家宅捜索が入って18日で1週間。いじめのSOSを受け止められない学校に、いじめをなくすことなどできない。教育行政や学校現場に突きつけられた現実をみつめてみたい。
大津市の琵琶湖畔に立つマンション最上階の14階。100メートル先には自身が通う市立中学校が見渡せる。中層階に住む2年の男子生徒=当時(13)=は3連休明けの昨年10月11日午前8時過ぎ、通路の手すりを乗り越えて身を投げた。
遺書はなかった。2日前、姉に「学校に行きたくない」という趣旨の話をしたが、直前まで小学生時代から大好きな卓球の部活動に打ち込んでいた。なぜ自ら命を絶ったのか。
生徒が自殺するなど不測の事態が起きた場合、文部科学省の通知で、学校は在校生らにアンケートや作文など、思い当たることを書かせ、原因の把握に努める決まりになっている。
学校側は自殺があった6日後、全校生徒を対象にアンケートを実施。結果を受けて、大津市教育委員会は11月に数人の同級生らによるいじめが確認されたと発表し、具体例を列挙した。
「教室やトイレで繰り返し殴られていた」「ズボンをずらされていた」「昼食のパンを食べられていた」「ハチの死骸を食べさせられそうになっていた」「成績カードを破られていた」…。これだけの目撃情報があったのに、市教委は「いじめと自殺との因果関係は判断できない」として調査を打ち切った。原因究明の「決まり」は形骸化されていた様子が浮かぶ。
▼事を荒立てない
学校側は“予兆”を把握していた。9月、担任の男性教諭はプロレス技をかけられ、半泣きになっている男子生徒を見かけ、同級生に「やりすぎるな」「やめとけ」と声をかけた。同じころ、男子生徒の父親(47)は2度、生徒の金遣いの荒さを担任に相談していた。
女子生徒からの報告もあった。「いじめられているのでは」との指摘を受け、担任が男子生徒に確認すると「大丈夫」と返答。自殺6日前の10月5日にはトイレで同級生とトラブルになっている現場に割って入り、男子生徒から事情を聴いたが、やはり「大丈夫。これからも友達でいたい」と答えたという。
放課後、担任や学年主任らが対応を協議したことは学校側が予兆に気づいていたことを示している。席上、「力の差が出ている」という指摘も出たが、結論は「けんか」となった。
「やられている側が『大丈夫』といっているのだから…」。学校側は、事を荒立てない方が得策と判断したにほかならない。
「けんかといじめの違いは力の差。互角の場合はけんかで、一方的な場合はいじめととらえて対応しなければならない」。元中学教員で長年生徒指導を担当した鳴門教育大大学院の阪根健二教授は学校側の対応に疑問を投げかける。
▼「我慢していた」
担任の聞き取りに2度、「大丈夫」と答えた男子生徒。ある生徒は全校アンケートに記名で「いじめられているのを隠すかのようにつらそうな笑顔をしているのを何度も見かけた」と記した。「弱そうに見えて根が強く、我慢強いやつだから我慢していた」と話す生徒もいた。
立命館大の広井亮一教授(非行臨床学)は「いじめられている子は、いじめの事実を明かさないばかりか、逆に隠そうとする。表面的な対応しかしない教諭が関わると、いじめがさらに過激になる」と指摘し続けた。「無条件に寄り添うことで、徐々に話せるようになる」
男子生徒と同学年の生徒は「担任は怒らないから、なめられていた」と証言する。男子生徒の自殺後、担任は全校集会で憔悴しきった様子でこう話した。「本気でいじめられているとは思わなかった。助けられなくてごめん」
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大津いじめ 生徒600人分の感想「必要ない」 学校が大津市教委に提出せず
産経新聞 2012年7月19日(木)12時45分配信
大津市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、学校が、生徒に実施した1回目のアンケート結果のうち、感想を記した部分(約600人分)を、市教委に提出していなかったことが19日、市教委への取材で分かった。男子生徒の死に対し、悲しみや自責の念など在校生の思いがつづられており、市教委は「必要な書類」としているが、学校側は「記されているのは生徒の思いで、結果の提出までは必要ないと判断した」などと説明したという。
アンケートは、生徒の自殺を受け、市教委が学校側に指示して実施。自殺直後の10月17〜19日に全校生徒859人にアンケートを行った。アンケートは、生徒にいじめの具体例を聞いたものと、生徒の感想を聞いたものの2種類があり、重複回答者を含めそれぞれ約300人分、約600人分あった。
感想の回答には「何故こんな若さで尊い命を失わなければならなかったのか」「命を落としたと考えるだけで胸が苦しくなる」など、自殺した男子生徒への悲しみや自責の念がつづられていた。
アンケート結果のうち、学校側はいじめの具体例について市教委に提出したものの、感想については提出しなかった。代わりに感想は、一部回答内容を抜粋した報告書を市教委に複数回出していたが、すべては伝わっていない。
13日の市議会委員会では市教委が、昨年10月のアンケートと、補足調査で同11月に実施したアンケートを議員だけでなく、傍聴者にも配布。内部資料を市民らにも公開する異例の措置をとったが、10月の内容に抜け落ち部分があった。
未提出の感想アンケートを見た市教委幹部は「こんなものがあったのか」と驚き「必要な書類。まとめているのなら学校側には提出してもらいたかった」と不満をもらしている。
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大津いじめ 大津市の越市長、月内にも遺族と面会
産経新聞 2012年7月19日(木)14時28分配信
大津市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、同市の越直美市長が月内にも男子の遺族と初めて面会する方針を固めた。市が早ければ今月中の立ち上げを目指すいじめの実態を調べる外部調査委員会について、調査目的を説明したうえで、委員の人選について直接協議する。越市長は、委員の人選では遺族の意見を最大限尊重する意向を明言している。
一方、遺族側は18日に委員として「尾木ママ」の愛称で知られる教育評論家の尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)ら2人を市に推薦した。
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大津・中2自殺:文科相談話、各校に通知−−県教委 /香川
毎日新聞 2012年7月19日(木)15時45分配信
大津市立中学で2年の男子生徒が自殺した問題を受け、県教委は18日、いじめを把握した時は、学校と各教委が連携して迅速に対応するよう求めるとする平野博文文科相の談話を、市町教委と各小中高校長に通知した。
談話は13日に発表され、17日に文科省が県教委に通知。談話で平野大臣は、いじめは「どの学校でも起こりうるもので、兆候をいち早く把握し、迅速に対応しなければならない」とし、学校には「把握した時は抱え込まずに速やかに教委に報告」することを、教委には「責任をもって学校と迅速かつ適切に対応」することをそれぞれ求めている。【久保聡】
7月19日朝刊
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大津・中2自殺:「いじめ」アンケ、中高184校に協力依頼 防止や早期発見−−県教委 /奈良
毎日新聞 2012年7月19日(木)15時47分配信
大津市で市立中学2年の男子生徒が自殺した問題を受け、県教委がいじめの防止や早期発見を目的とした取り組みを強化している。中高生を対象にしたアンケートもその一環で、県内の中学・高校全184校約8万2000人に協力を依頼する。大津市で起きた悲劇を教訓に、生徒が抱える問題を迅速に把握できるようにする考えだ。【伊澤拓也】
県教委がいじめに関して統一的な調査を実施するのは06年以来6年ぶり。文部科学省によると、県内のいじめの認知件数は10年度に335件で、全国で13番目に少ないが、県教委生徒指導支援室は「いじめは潜在化してしまうのが最も怖い。アンケートで生徒の悩みを引き出せれば」と話す。
アンケートはいじめの有無を問う内容になる予定だが、細部は決まっていない。公表の基準や、生徒の回答が直接、県教委に届くのか、学校や市町村教委を経由するのかも未定だ。今後、県中学校長会や県高校長協会と連携し、運用方法を決めるという。
一方、県教委は18日付で「いじめの問題への取組の徹底について」と題した文書を、県内の全小中高校と市町村教委に通知。教職員への注意喚起やいじめ対策の点検を促し、外部の相談窓口を列記した文書を児童・生徒と保護者に配布するよう要請した。
7月19日朝刊
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大津・中2自殺:アンケートも検討 石井町、いじめ対策で緊急会議 /徳島
毎日新聞 2012年7月19日(木)16時29分配信
大津市でいじめを受けていたとされる中学生が自殺した問題を受け、石井町は17日夜、いじめに関する緊急の会議を同町内で開き、市教委や学校関係者が意見を交わした。今後の対策として生徒へのアンケートや電話での相談窓口の設置などの実施を検討した。
会議では、町内の幼稚園・小中学校の園長や校長が集まり、実際のいじめの事例も含めて現状を報告した。その後、意見交換があり、「いじめは許されないことを徹底して教えるべき」などの意見が出された。河野俊明町長は「いじめは小さなことから始まり、どこでも起きている。一歩踏み込んだ対応を」と述べた。【大原一城】
7月19日朝刊
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中2自殺で大津市長「無責任な教育委員会不要」
読売新聞 2012年7月19日(木)17時25分配信
いじめを受けていた大津市立中2年の男子生徒が自殺した問題を巡り、同市の越直美市長が読売新聞のインタビューに応じた。
「学校で何があったのか、なぜ不十分な調査になったのかを明らかにしたい」と述べ、市が設ける外部委員会での真相解明に意欲を見せた。
この問題では、全校アンケート結果の大半を市教委が公表していなかったことが、今月4日に発覚。越市長は「非公表のものがあるとの報告を市教委から受けておらず、報道で知った」と弁明した。
越市長は、自身も小学校と高校でいじめに遭ったことを明かしている。市教委から、まとめ資料ではなく、詳細なアンケート回答を取り寄せて読んだ。男子生徒が同級生から受けた被害がいくつも記されており、「いじめが自殺の原因だと確信した」という。
一方、市教委は男子生徒の自殺後、「全校アンケートは不確かな情報が多く、いじめとの因果関係は断定できない」と主張していた。
越市長は「市教委の説明を受け入れてきたけれど、前提となる事実の確認がいいかげんで信用できないとわかった。裏切られたように感じた」。アンケート結果の全面公表をしぶる市教委に対し、「事実はあなたたちが言ってきたことと違う。これは出すべきです」と押し切り、10日以降の公表につながったという。
さらに、越市長はこれまでの市教委の対応のまずさを改めて認めた上で、その遠因に教育委員会制度の矛盾があると指摘。「市民に選ばれたわけではない教育委員が教育行政を担い、市長でさえ教職員人事などにかかわれない。民意を直接反映しない無責任な制度はいらない」と述べ、国に制度改革を求める意向を示した。
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教育委員は何をしていたのか 中2自殺で機能せずと批判の声
J-CASTニュース 2012年7月19日(木)19時52分配信
中2男子生徒の自殺を巡り、滋賀県大津市教委の教育委員が、市民の目で学校側の報告を十分にチェックしていなかったのでは、と批判が出ている。
「いじめとの因果関係は分からない」。沢村憲次教育長がこう繰り返すと、学校側の隠ぺいに加担しているのでは、といぶかられた。沢村教育長が教師出身で、しかも自殺生徒の学校で校長をしていたこともあるからだ。
■教育委員長らはやっとコメント出す
本来なら、同じような疑問を持ち、学校側の姿勢をただすのが教育委員の務めだ。ところが、会見には沢村教育長だけが出て、岡田隆彦教育委員長らほかの4人は、意見すらも分からない状態だった。そして、2012年7月18日になってやっと、チェックが不十分なことへの「反省」などを示す公式コメントをそれぞれ出した。
これは、朝日新聞がこの日、自殺を巡る学校対応について、月1回の定例会で教育委員からの意見や質問がゼロだったと報じたことが大きいらしい。記事によると、11年12月15日の定例会では、自殺生徒の同級生が担任に「トイレでいじめてる」と伝えたことを学校側は「けんか」として処理したと沢村教育長が報告しても、ほかの教育委員からの反応はなくそのまま閉会していた。
実際は、個人情報を扱う関係上、会議後の非公開協議で話し合われたという。とはいえ、外部へのメッセージはこれまで皆無だったのも事実だ。
教育長以外の委員が出てこないのは、制度自体にも問題があるからのようだ。
教育委員会は、戦時下の軍国主義教育を繰り返さないよう求めるGHQの要請で、政治権力から独立した組織として1948年に誕生した。当初は、市民の目で教育現場を指導・監督するためとして公選制が採られたが、56年の法改正で、首長が任命するものになった。
ところが、教育委員は、次第に変質してしまった。
■越直美市長「教育委員会制度は不要」
そのことを、教育評論家の尾木直樹さんも言っている。12年7月19日放送のTBS系「朝ズバッ!」で、「全国的に教育委員会は形骸化してお飾りになってしまっている」と指摘したのだ。
委員も、教育長以外は非常勤で、会社役員や医師など教育の素人が多い。いわば、名誉職化してしまっているわけだ。尾木さんは、「教育のプロの教育長の説明に、委員は何を質問していいかも分からず、追認するだけ」としている。
今回の場合も、岡田隆彦教育委員長は、会社員をしていて忙しく、しかも大津市PTA連合会長の経歴から学校側と同じ立場に立つ可能性があった。
教育への政治介入を強める条例改正をした橋下徹大阪市長は、教育委員会の制度自体を問題視し、「なぜ教育委員が前面に出ないのか」と批判した。また、いじめとの因果関係を認める方針を示した大津市の越直美市長に読売新聞がインタビューしたところ、越市長は、事実確認がいいかげんで教育委員会には裏切られたと明かした。さらに、「民意を直接反映しない無責任な制度はいらない」とまで言い切ったという。
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教委設置判断 自治体で 大津中2自殺で嘉田知事が見解
京都新聞 2012年7月19日(木)22時59分配信
大津市のマンションで昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、市教委の対応が注目を集める中、滋賀県の嘉田由紀子知事は19日、教育委員会制度について、「自治体で作るか作らないかを選べるようにしてほしい」と述べ、制度を見直すべきとの認識を示した。
高松市内で開かれた全国知事会議の終了後、報道陣に答えた。嘉田知事は「子どもの命を守ることを考えると教委だけでは荷が重い。福祉や医療、警察と総合政策の中で守る新たな仕組みが必要」と説明。教委制度の独立性や継続性は認めた上で、「即不要ではないが形骸化もしており、反省の時期にきている」と述べた。
また大津市の越直美市長が不要論を打ち上げたことについては、「情報は来ず批判を受けて失望している中で、叫びに似た方針だろう。温かく見守っていきたい」と擁護した。
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「仲間の命大切に」大阪市教育委員長が異例のメッセージ
産経新聞 2012年7月19日(木)23時8分配信
大津市の中学2年の男子生徒が自殺した問題に関連し、大阪市教委の矢野裕俊委員長は19日、大阪市立の小中高校や特別支援学校(計約460校)の児童・生徒に向けて「あなたの命、仲間の命を大切に」と訴えかけるメッセージを発信した。市教委によると、教育委員長名で子供たちにこうしたメッセージを送るのは異例という。
矢野委員長はメッセージで「問題が起こったとき、誰かに相談することは大切なことで恥ずかしいことではありません」と訴えるとともに、「友達をいじめるのは卑怯(ひきょう)で恥ずかしいこと。いじめを大人に知らせることは、大切な友達を守ることにつながります」と呼びかけた。
大津市の問題では、大津市教委の対応のまずさが浮かび上がっている。橋下徹大阪市長はこれまで、教育行政で最高責任を負う教育委員が前面に出てこないことを問題視し、「教育委員会制度が機能していない象徴例だ」と指摘していた。
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<大津・中2自殺>教育委制度の見直し意見も 全国知事会議
毎日新聞 2012年7月19日(木)23時34分配信
大津市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題が、高松市で19日あった全国知事会議で取り上げられた。学校側のずさんな調査や、市長と市教育長の意見の食い違いなどを挙げ、教育委員会制度の見直しを求める意見が相次いだ。
会議では滋賀県の嘉田由紀子知事が、県、県教委、市、市教委の4者の連携が不十分だったとして「子供にとっての最善の利益を考えて政策を組み立てるべきだ。首長部局と教育委員会の権限配分を見直し、連携を強化する必要がある」と話した。
文部科学省の中央教育審議会委員を務める石井正弘・岡山県知事は「(大津市の問題は)国民的にもおかしいと批判が出ている。自治体と教育委員会の関係は、自治体が選択できるようにすべきだ」と主張。広瀬勝貞・大分県知事も「教育委員会の閉鎖性、事なかれ主義が問題だ。できるだけ外部の空気を入れていくことが大事」と、改革の必要性を訴えた。
平井伸治・鳥取県知事は「教育委員会は文科省直轄の仕組みに成り下がった」と批判した。【平野光芳、馬渕晶子】