桐生の工事現場事故:中3労災死 建設会社の仕事「校長の裁量で許可」 足利市教委に説明 /群馬
毎日新聞 2012年8月21日(火)12時8分配信
桐生市の工事現場で作業中の栃木県足利市立西中学校3年、石井誠人さん(14)が死亡した事故で、石井さんが太田市内の会社で働くことを学校も認めていたことについて、同校の岩下利宏校長が「本人と保護者の希望があり、学校長の裁量権で許可した。労働基準法違反にあたるという認識はなかった」と説明していることが20日、分かった。足利市教委が同日の会見で明らかにした。会見では同校、市教委ともに熟慮せずに中学生の就労を認めていた実態が浮かび上がった。【角田直哉、松本晃】
市教委によると、岩下校長は、同市が独自に実施している職場体験事業の「マイ・チャレンジ」には当たらないという認識はあったが、賃金をもらわずに仕事を体験するもの全般を「職場体験」と勝手に位置づけていたという。同校から報告を受けていた市教委も「学校の運営は校長がつかさどっている。校長が熟慮した結果」として、校長の裁量権を認め、追認していた。
また、同校は石井さんの同級生が、平日に授業を休んで、石井さんの事故が起きるまで働いていたことについても「職場体験」の「特例」として認めていたという。この点について岩下校長は「原則、就学させなければならないが、職場体験が本人にとっても大切であると考えて了承した」と、話しているという。
一連の対応について、足利市の岩田昭教育長は「労働基準法と就学の義務についての認識が甘かった」と釈明。市教委は会見で、学校の対応について、学校教育法に規定されている校長の裁量権を強調したが、岩下校長は同席しなかった。
また、市教委は学校側への聞き取りで、02年以降、同市内の15人の生徒が石井さんと同じ会社で働いていた可能性があることを明らかにした。いずれも学校に正式な報告はなかったという。
8月21日朝刊