管理費用は公費負担 学校徴収金の使途公表
紀伊民報 2012年8月30日(木)17時1分配信
一部の和歌山県立高校でPTA会費が非常勤職員の賃金や校舎の修繕に使われていた問題で、県教委は30日、PTA会費など学校徴収金の考え方や使い方についてまとめたガイドラインを公表した。学校の管理運営に必要な経費は公費負担を原則とし、PTA会費についてはPTAの要望に基づき、部活動の充実などに使うものと示した。
県教委は一部の県立高校で、PTA会費が校舎の修繕に使われていたとする県監査委員の指摘を受けて、全日制高校や定時制高校、県立中学校、特別支援学校の県立学校を対象に、PTA会費など学校徴収金の支出内容を調査した。
調査は2010年度決算を基に行った。PTA会費の支出規模は全体で約7億3600万円で、そのうち約3億円が、体育館のランプ交換や教室の修繕など施設設備、事務用文具などの購入といった学校運営・教育環境整備に使われていた。県教委によると、学校運営・教育環境整備に使われた同年度の県費は約23億9千万円だった。
また、生徒1人当たりの年間負担金額は全日制高校で平均約2万3千円。定時制で同約1万円、特別支援学校で同約7千円だった。そのほか全日制高校では入学時の一時金として約2万3千円が徴収されていた。
ガイドラインでは、県立学校の管理運営、教育活動に必要な経費は設置者の県が負担することを原則とし、PTAなど関係団体からの支出を受けないとした。校舎や体育館の改築費、保全管理費、非常勤講師の報酬などの人件費、授業の教材などを公費負担の対象として具体的に位置付けた。
PTAなど学校関係団体から支援を受ける経費として、PTAなどが主催する事業の経費のほか、同団体の要望に基づき、国際交流活動など各校の特色化を図るための教材費や講師への謝礼、部活動を充実させるために実施する強化合宿の経費などを対象とした。
県教委によると、これまでは窓ガラスの破損など修繕を急ぐ場合に、公費よりも手続きが少ないPTA会費など学校徴収金から支出するケースがあったという。今後は公費として支出するよう学校に指導していきたいとしている。
西下博通教育長は「学校の管理運営に必要な費用は県が負担することが原則であり、安易にPTA会費に負担を求めることは適切ではない。補正予算など必要な措置をしていく。子どもたちがよりよい教育環境で勉学に励めるよう努力していく」と話した。