フランスのカトリック教会、性被害者へ資産売却で補償 責任認め
毎日新聞 2021/11/10(水) 14:36配信
フランスのカトリック教会は8日、聖職者らによる教会内での性的虐待の被害者に対し、教会の不動産や資産を売却して補償に充てることを決めた。1950年以降、被害者が33万人に上ると推計した10月の調査報告を受け、南西部ルルドで開かれた司教協議会で組織としての責任を認めた。
補償費用は当初、信徒からの寄付でまかなう案も検討されたが、教会が捻出し、不足分は金融機関から借り入れる。また、教会側が被害実態を適切に把握しようと努めているかを監査するため、フランシスコ・ローマ教皇に調査団の派遣を要請することも決めた。
独立調査委員会が10月に公表した報告によると、教会内での性的虐待の被害者33万人のうち21万人が聖職者による被害だったとみられる。男性が被害者の8割を占め、大半が10〜13歳の時に被害を受けていた。今後、被害認定と補償費用の確保に当たる独立機関を設けて、被害者の救済を進める。
仏メディアによると、被害者団体共同代表のオリビエ・サビニャク氏は、教会の資産売却による補償を肯定的に受け止めつつ、今回の決定に虐待の予防措置が盛り込まれていない点を問題視し「被害の償いや回復は当然だが、現在と明日の子供たちを守ることも必要だ」と述べた。【パリ久野華代】