教員の無許可兼業 校長ら反発「責任転嫁」 沖縄県教委が実態調査

教員の無許可兼業 校長ら反発「責任転嫁」 沖縄県教委が実態調査
産経新聞 2012年9月23日(日)7時55分配信

 沖縄県の県立高校で、教員が届け出をせずに保護者から報酬を得て早朝授業を行う「無許可兼業」が横行していた問題で、県教育委員会が8月、処分を前提に、全県立学校の校長に対し、過去10年間に無許可兼業を実施したかを確認する調査を実施していたことが22日、分かった。県教委は平成11年にこの形態が兼業には当たらないとの見解を示し、事実上、各学校に「届け出不要」のお墨付きを与えてきた経緯があり、校長からは「今頃になって現場に責任を押しつけるのか」などと批判の声が出ている。

 調査は8月30日、全県立学校76校の校長を対象にアンケート方式で実施。調査趣旨について「昨年度まで違法状態が続いたことに対し、県教委が関係者の責任の所在について調査・検討するため」とし、過去10年間の歴任校で、兼業届を出さずに「ゼロ校時」と呼ばれる早朝授業を実施したかどうかを尋ねた。

 現場の校長を処分対象に含めることについて、県立学校教育課は「慣例で長年続いてきたこととはいえ、学校が兼業届を出さなかったのは事実。問題の大きさから、行政側、学校現場の双方に責任があると判断した」と説明。10月に処分の指針を示す方針という。

 しかし県教委は11年に「会計監査資料 ゼロ校時に関する対応 県立学校教育課の基本的な考え方」と題した資料を作成。「同一職場での兼業はあり得ない」などとして、ゼロ校時が兼業には当たらないとの見解を示していた。

 違法行為が横行した背景には、この県教委の考え方があったとみられ、いわば県教委自身が各学校に「届け出不要」のお墨付きを与えていた形だ。

 ある県立高校の校長は「県教委が兼業に当たらないと判断したからこそ、学校は届けなかった。県教委の責任を現場に押し付けるもので不当だ」と憤る。別の校長は「そもそもゼロ校時は県教委が主導し、10年前には多くの高校で導入されていた。今になって処分対象にされるのは納得がいかない。処分されるべきは教育長以下、県教委の幹部ではないか」と批判した。

【用語解説】ゼロ校時

 1時限目が始まる前の早朝に行う進学指導。沖縄県内では昭和50年代以降、保護者の要望から始まったとされ、進学校を中心に広がり、平成23年度は全県立高校60校のうち45校で実施された。教員は保護者から1コマ2千〜3千円の報酬を受けていた。文部科学省は今年5月、勤務中の職務と誤解を招きかねないことなどから不適切との見解を全国の教育委員会に通知した。

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