桜井の中2いじめ:学校対応に不備 被害届後、桜井市教委に報告−−県教委の検証チームまとめ /奈良

桜井の中2いじめ:学校対応に不備 被害届後、桜井市教委に報告−−県教委の検証チームまとめ /奈良
毎日新聞 2012年10月10日(水)16時6分配信

 桜井市の市立中学2年の女子生徒が同級生6人からいじめを受けた問題で、県教委の検証チームは検証リポートをまとめ、9日、荒井正吾知事に手渡した。検証チームは、被害生徒が昨年5月からいじめを訴えていながら、学校側が市教委に報告するなどの適切な対応を怠ったため、解決できなかったと結論付けた。【伊澤拓也】
. 検証チームは有識者や県教委、市教委の担当者で今年8月に発足。市教委の資料を基に、被害生徒の保護者や教諭らから聞き取り調査を進めていた。
 リポートによると、被害生徒は1年生だった昨年5月に加害生徒にたたかれ、いじめ被害を訴えたものの、担任教諭が加害生徒と被害生徒、被害生徒の保護者への事実確認ですませ、その後も断続的に起きていたけんかなどの生徒間トラブルも担任のみで対応していた。今年6月に被害生徒がけられ、病院に行くまで、学校側はいじめという認識がなく、市教委への報告は保護者が同月、警察に被害届を出した後だった。
 検証チームは「被害生徒から相談があったものの、いじめという視点からの情報収集が不十分だったことが事象の重大化につながった」と指摘。その後のやり取りについても担任が個人的なメモを断片的に残していただけで、正確な記録がないことも問題視しており、「ささいなトラブルの段階から記録し、組織で情報を共有すべき」としている。また、加害生徒に対し出席停止も含めた毅然(きぜん)とした措置をとる必要があるとも記した。
 座長を務めた森田洋司・大阪市立大名誉教授は「今回の検証で浮かび上がった対応策を、今後に役立ててもらいたい」と話した。
 県教委は、このリポートを基に、教員向けの「いじめ早期発見・対応マニュアル」の策定を進める。リポートは県のホームページで公開する方針。
10月10日朝刊

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