<館山・中2自殺>いじめ再アンケート 小、中同級生らに
毎日新聞 2012年10月26日(金)15時2分配信
千葉県館山市で08年に自殺した中学2年の男子生徒の父親が「いじめが原因」として再調査を求めている問題で、同市教育委員会が、同級生ら対象のアンケートを再実施すると父親に伝えたことが分かった。アンケートは自殺直後に行われたが、保管義務に反して学校側が廃棄していたことが今月明らかになった。いじめ問題でアンケートの再実施は極めて異例だ。【中島章隆、田中裕之】
再アンケートするのは、当時の中学校在校生全員約560人。新たに、男子生徒が小学校6年生だった当時の同級生も対象に加え計約670人に上る。当時の中学在校生へのアンケートは自殺直後に行われたが、昨年3月に中学校長が廃棄を指示。市の文書管理規則では5年間の保管義務があり、市教委は今年1月に校長を厳重注意処分としていたことを今月10日に公表した。
県教委は「遺族の心情への配慮からアンケートの再現が必要と判断した。全国的にも前例がないと思う」と話している。詳細については、26日の市教委臨時委員会で検討する。
市教委や県教委などによると、同級生は現在大半が高校3年だが、上級生だった08年当時の中学3年生はほとんど卒業しており、用紙の配布先の確認なども課題となる。アンケート原案によると、質問は(1)亡くなった生徒にいじめと思われる行為をしたことがあるか(2)この件に関し、いじめと思われる行為を見たり、聞いたことがあるか(3)本件に関し、知っていることや意見があるか−−の3項目で記名式。11月下旬までに集計結果をまとめ、遺族らに文書で報告する方向で調整している。
県教委指導課によると、破棄問題を踏まえて公平性、中立性を保つため、回答の送付先は県教委とする予定。その上で市教委が分析と評価を担当する。
この問題では、事件直後のアンケート結果から中学校と市教委は「からかいなどのいじめにつながる事実はあったが、死と結びつくと思われる要因は分からなかった」と結論づけた。父親は「母が外国人で小学時代からいじめを受け、別の学区の中学に進んでもいじめは続いた」と訴えており、再アンケートについては「とにかく知っていることを書いてほしい」と話している。