館山の中2自殺:再アンケート 「いじめはなかった」 市教委、依頼文で一転 /千葉
毎日新聞 2012年11月2日(金)10時43分配信
館山市教育委員会(大沢光彦委員長)は1日、08年に自殺した中学2年の男子生徒(13)の自殺の真相を調査するため、当時の同級生らに事情を聞く再アンケート実施を決めたが、4年前のアンケートの結果「いじめにつながる事実はあった」と遺族に説明していた市教委は、今回の再調査の依頼文では一転、「いじめに関する記述はなかった」と異なる説明を記載していた。この依頼文について、遺族側は取材に対し、市教委に撤回を求める意向を示した。自殺から4年。死の背景に迫り、遺族の疑問を解消し、再発防止に生かせるか。市教委の姿勢が問われている。
「犯人捜しではないので、多くの情報を」と無記名式アンケートを求める父親と、正確な情報収集にこだわり、記名式を主張する市教委の対立は、10月中の2度の面会後も平行線のままだった。
再実施を指導した県教委も、その手法まではアドバイスしておらず、市教委が「記名式」で押し切った形だが、1日の市教委の記者会見では担当者が「無記名回答も集計する」と記名式にこだわらない姿勢を見せるなど迷走する場面もあった。
こうした市教委の姿勢に特に父親が憤ったのは、保護者向けの依頼分の中で4年前のアンケートの結果「いじめに関する記述はなかった」とした部分。市教委は遺族に対して「からかいや悪口などのいじめにつながる事実はあった」と説明しており、父親は「市教委はいじめがなかったという前提でアンケートを実施しようとしている。依頼文を撤回してほしい」と話した。
また、再実施の理由について依頼文は「遺族側から調査の要望が出た」と説明。4年前のアンケート原本廃棄の経緯や、破棄した後任校長の処分などを一切説明しない一方で、この日の記者会見で市教委の担当者は「同級生の保護者から(高校3年生で)受験や就職を控え『なぜこの時期に』との声も寄せられている」と述べた。
父親は「子供が命を絶った理由を知ることが悪いことのように聞こえてしまう。そもそも廃棄が原因で再調査が必要になったのではないか」と憤った。【中島章隆】
11月2日朝刊