<桜宮高体罰>自殺から1年 亡き主将と結ぶ心

<桜宮高体罰>自殺から1年 亡き主将と結ぶ心
毎日新聞 2013年12月22日(日)12時0分配信

 大阪市立桜宮高校バスケットボール部の2年男子生徒(当時17歳)が、顧問の男性教諭(懲戒免職、傷害罪などで有罪)の体罰を受けた翌日に自殺し、23日で1年を迎える。男子生徒が練習に励んだ体育館の入り口には献花台が設けられ、教員らが供えた花には「結心(けっしん)」と書かれたカードが添えられた。9月末の文化体育祭のテーマで、「皆で心をつなぎ、乗り越えよう」との造語という。

 「右、右」「ナイスイン」。大阪市都島区の桜宮高体育館では1、2年がシューズ音を響かせながら、試合形式で練習を重ねていた。角芳美教頭(49)によると、男子生徒の同級生だった3年生が9月に引退するまで、チームは背番号4を欠番にした。主将を務めていた男子生徒が着けるはずだったキャプテンナンバーだ。18人登録できる出場メンバーもあえて17人にし、4番のユニホームをベンチにかけて試合に臨んだ。「バスケができたことを感謝しています」。そう言いながら、3年生たちは亡き主将とともに大会を戦っていたという。

 事件後、学校は「選手第一主義」を掲げ、部活の顧問教師たちに研修を実施した。部活の閉鎖性が体罰の温床になったとの指摘もあり、教頭2人が全部活を見て回る。バスケ部は3〜9月、プロチーム「大阪エヴェッサ」のコーチが指導した。

 11月には1、2年生437人に部活満足度や学習への影響などを聞く無記名アンケートを初めて実施した。以前は試合前などに遅くまで練習する部もあったが、今は午後7時半には下校させて勉強時間の確保に努める。

 学科も再編した。従来の体育系2学科に代わり、来春に「人間スポーツ科学科」(定員120人)を新設し、府内全域から生徒を募集している。体育科(80人)とスポーツ健康科学科(40人)は、橋下徹市長の意向を受けた市教委が今春入試での募集を中止し、普通科に定員を振り替えた。新学科には普通科1年からの転科も可能で、科学的なスポーツ理論のカリキュラムなどを充実させる。

 事件を受けて就任した柳本晶一・市教委顧問(前女子バレーボール日本代表監督)は「人生の金メダルを取る人間を育てる」と唱える。角教頭は「五輪で金メダルを取れるのは一握りでしかない。トップアスリートとして敗れたとしても、人生の金メダルを目指して勉強もしっかりしてほしい」と話している。【山下貴史】

 ◇桜宮高校の体罰と自殺

 昨年12月23日朝、大阪市立桜宮高バスケットボール部主将の男子生徒(当時17歳)が自宅で自殺しているのが見つかった。生徒は顧問の男性教諭(懲戒免職)から日常的に体罰を受け、前日にも顔や頭をたたかれて口にけがをしていた。市の外部監察チームの報告によると、顧問は1994年の就任当初から体罰を繰り返していた。また、調査を求める別の教諭の進言や問題を告発する通報にも、学校や市教委は十分に対応していなかった。大阪地裁は今年9月、体罰と自殺の因果関係を認め、顧問に対し、暴行と傷害の罪で懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡し、確定した。遺族は今月、大阪市を相手取り、約1億6510万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

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