<ノバルティス社>研究に社員関与謝罪 再発防止策にも違反
毎日新聞 2014年1月23日(木)20時49分配信
製薬会社ノバルティスファーマの社員が自社の白血病治療薬の臨床試験に関与していた問題で、同社が23日東京都内で記者会見を開き、降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の疑惑を巡って自ら定めた再発防止策に違反したことを謝罪した。二之宮義泰社長は「再びこのような事態を招いたことは言い訳のしようがない」と述べ、外部専門家らの調査委員会を設置すると明らかにした。
白血病治療薬の臨床試験は、東大病院の黒川峰夫教授が責任者を務め、22医療機関が参加して2012年5月に始まった。患者が服用する薬をノ社の新薬に替え、副作用の違いを患者へのアンケートなどから調べている。
ノ社によると、営業社員8人が本来は医師間で行うべき患者アンケートの受け渡しを代行。アンケートを多く回収したグループがコーヒー店の金券や会食代など計3万4000円分をもらえるというルールを作って13年6月まで競い、部長級の上司も承知していた。また、試験の研究者の会議場所として営業所の部屋を提供していた。
ただ関与が組織ぐるみだったかなどの詳細については「調査結果を待ちたい」などと繰り返した。
ノ社はバルサルタンの疑惑への批判から「研究者が実施すべき業務に社員は関与しない」との再発防止策を昨年7月に示したが、社員によるアンケートの回収は同12月まで続いていた可能性があるという。
問題の発覚後、東大病院はデータを確認しているが、今のところ改ざんなどは見つかっていない。ノ社は12年度、黒川教授の研究室と参加7医療機関に計1100万円の奨学寄付金を提供していたが、ノ社と東大病院は「寄付は臨床試験とは直接関係しない」と説明している。【八田浩輔、河内敏康】