<医師法違反>元医学部助教授と妻逮捕 未承認薬の販売も
毎日新聞 2014年2月3日(月)20時36分配信
医師免許がないのにがんの未承認薬を販売・投与したとして、警視庁生活環境課は3日、元杏林大医学部助教授で会社役員、高山精次容疑者(74)=東京都八王子市=を医師法違反(無資格医業)と薬事法違反(未承認医薬品の製造、販売)容疑で逮捕した。共謀して未承認薬を販売したとして妻の諒子容疑者(73)も薬事法違反容疑で逮捕した。昨年7月までの約3年間で少なくとも約90人に販売・投与し、計3000万円以上を得たとみている。
高山容疑者の逮捕容疑は、2011年4月〜昨年7月ごろ、都内に住む肺がんの男性患者(当時79歳)ら8人に対し、自分で製造した「免疫抗がん剤カルチノン」という名前の注射剤277本を販売したり、52回にわたって注射したりし、計約562万円を受け取ったとしている。2人は容疑を認めているという。
同課によると、高山容疑者は医学博士の学位は取得していたが、医師免許は持っていなかった。杏林大在籍時にがん治療の研究を始め、05年に退職後、医師の息子が都内で開設した診療所を拠点にカルチノンを提供していたとみられる。
会社のホームページで「副作用がないがん治療薬」などと宣伝して口コミで患者を増やしたが、製薬会社は効果がないとして開発に協力しなかった。投与を受けた後に死亡した患者もいたが因果関係は不明といい、警視庁は健康被害の報告はないとしている。
高山容疑者は今月1日、毎日新聞の取材に「未承認なのは事実だが、毒を投与したわけではない。素晴らしい薬で、がんが治った人は何人もいる」などと主張していた。【林奈緒美】
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