<千葉・施設虐待>保護者の県批判省略か 検証委資料

<千葉・施設虐待>保護者の県批判省略か 検証委資料
毎日新聞 2014年2月27日(木)2時31分配信

 千葉県袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」の虐待問題を巡り、県が第三者検証委員会に資料を提供する際、県を批判する保護者の発言を省略した可能性があることが分かった。直前の説明会では県の姿勢を疑問視する保護者が複数いたが、資料には運営を委託されている社会福祉法人を問題視する声ばかりが記されていた。検証委が県の責任に着目するのを避けようとしたとも受け取れるため、保護者は不信感を募らせている。【黒川晋史、山縣章子】

 センターを運営する法人は今年1月26日に利用者の保護者を集め、各施設ごとに説明会を開催。県OBの法人理事長や園長のほか、県障害福祉課長と意見交換するなどした。

 法人が作成した議事録などによると、職員の暴行を受けた後で入所者の少年(当時19歳)が死亡した「養育園」の説明会では、保護者が「県の施設を県が調査し、事件の背景が明らかにできるのか。隠蔽(いんぺい)されないよう、外部の人を入れて調査してほしい」と注文を付けた。

 また、別の保護者は園の実情に対する県の無理解を指摘し「県の人も現場を体験してほしい」と発言。障害福祉課長は「県職員が現場を全て分かっていないのはご指摘の通り」と回答したとされる。

 だが、「養育園保護者説明会(県障害福祉課同席)における主な意見」と題され、同月31日の検証委の第2回会議で委員に配られた資料からは、「県」や「県職員」を名指しして批判した保護者の発言が消えていた。一方で「勤務体制に問題はなかったか」「支援員の質が落ちたのではないか」などと運営法人の責任を問う意見が箇条書きで列挙された。

 昨年11月に養育園で少年が死亡した後、センターの関連施設では暴行や性的虐待などが次々発覚している。ある保護者は「県に都合の悪いこと、耳の痛いことが落ちている。県はうみを出し切って園を良くしようという思いがあるのか。亡くなった少年が浮かばれない」と訴える。

 これに対し、県障害福祉課は「資料には『外部の第三者も入れて調査してほしい』という保護者の意見を記述した。そこに県への批判も盛り込まれている」として、恣意(しい)的な省略ではなく「要約」だったと説明。「県のチェック体制のあり方も検証の論点に挙がっており、県の問題点が委員から指摘されれば受け止めたい」としている。

 情報開示制度に詳しい独協大法科大学院の右崎正博教授(憲法学)の話 指定管理者を選び、運営を委託する県の監督責任が問われているということを、県が十分認識していない可能性がある。(検証委に)必要な情報が提供されないと、十分な事実に基づいた検証ができず、検証の意味が大きく損なわれてしまう。

 ◇保護者の意見(運営法人作成の議事録より)

 ・県の施設だったところを県が調査している状況で、事件の背景が明らかにできるのか、隠蔽(いんぺい)されるのではないかと危惧している。ぜひ外部の人を入れて調査してほしい。3月以降の職員配置がどうなるか、あいまいな回答しかもらえず心配。それなりのスキルのある経験者を配置してほしいことが親の希望。外部の検証委員には率直な意見を言ってもらいたい。あいまいなままにせず、県も本気で取り組んでほしい。

 ・(県は)具体的に何を改善していくか、保護者に的確に知らせてほしい。ニュースで知るのはおかしい。世の中の人も(運営法人は)変われるのか?と見ている中なので、情報を公開してほしい。

◇検証委に示された保護者説明会の「主な意見」のうち、県が「県への批判として盛り込んだ」と言う部分

 ・事業団(運営法人)の体制の特質、事件の背景が明らかになるように外部の第三者も入れて調査をしてほしい。その都度、保護者に開示してほしい。

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