京大iPS研、組み換えマウス不適切管理 山中所長が謝罪
京都新聞 2014年3月1日(土)13時9分配信
京都大iPS細胞研究所(京都市左京区)は1日、実験用の遺伝子組み換えマウスの管理が不適切だとして文部科学省から口頭で注意を受けていたことを明らかにした。実験計画書では研究所2階の飼育室または処置室のみで管理することになっていたが、1階の器具の洗浄室に持ち込まれていた。研究所は「屋外に逃げ出した事実は確認されていない」としている。
所長の山中伸弥教授が同日午前に会見し、「私たちを応援してくれている人たちに大変な心配をかけたことを心よりおわび申し上げます」と謝罪した。
研究所によると、2011年1月から13年5月にかけて計14回、1階の洗浄室で見つかり、死骸を含めて少なくとも21匹に上った。11匹は生きたマウスで、うち5匹は遺伝子組み換えマウスだった。飼育ケースの洗浄の際、マウスを他のケースに移し替えるが、ケース内の紙製チップの中に見逃したマウスが紛れ込んでいた可能性があるという。
遺伝子組み換えマウスは、逃げ出して野生種と交配すると生態系に悪影響を及ぼす可能性があり、国は法律で防止措置を義務付けている。
文科省は昨年12月25日に「計画書に忠実に管理するように」との趣旨で注意し、翌26日に同省の担当者が研究所を点検した。
研究所は、再発防止として、紙製チップへのマウスの紛れを防ぐため、飼育室内でのチェックを2回に増やした。
山中教授は「紛れていたマウスはほとんどが子どものマウスだ。子どものマウス(体長1〜2センチ)は小さく、親が食べたりするので正確な数の把握が難しい。チェック体制を強化し、管理を徹底する」と話した。