<大津いじめ自殺>元同級生2人を保護観察、1人不処分
毎日新聞 2014年3月18日(火)21時24分配信
◇大津家裁、3人の元同級生の9件の非行内容を認定
大津市で2011年、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、大津家裁(丸山徹裁判長)は18日、いじめに関わったとされる3人の元同級生の処分を発表した。当時14歳と13歳だった少年2人を保護観察処分、当時14歳だった1人を不処分とした。決定は14日付。
決定によると、3人は11年9月にあった中学の体育祭の際、男子生徒の手足をはちまきで縛り、口やすねにガムテープを貼り付けたとする暴行など、男子生徒に対する計9件の非行内容が認定された。丸山裁判長は、2人の保護観察理由について「短期間とはいえ、継続的に被害を受けた男子生徒の身体的、精神的苦痛が軽いものであったとは認めがたい」と指摘。その上で「少年院に収容しての教育の必要性までは認められないが、保護観察に付し、内省を深めさせ、社会適応を図っていく必要がある」と判断した。
一方、不処分となった少年については男子生徒との関わりが薄く、継続的に暴行などの行為に及んでいたとまでは認められないとして、「保護処分に付す必要まではない」とした。
問題を巡っては滋賀県警が12年末、3人のうち、いじめがあったとされる時期に14歳だった2人を書類送検し、刑事罰に問えない当時13歳の1人を児童相談所に送致。大津地検と児相が昨年5月までに家裁へ送致し、12月に少年審判が始まった。
少年審判は通常、裁判官1人が担当するケースが多いが今回は異例の合議制で進められた。計7回開かれ、今年1月には男子生徒の父親(48)が「将来のためにも少年院で更生教育をすべきだ」などと述べていた。
処分決定を受け、大津市の越直美市長は「子どもたちの声に最大限耳を傾け、今後ともいじめ対策に全力で取り組む」とのコメントを出した。【村松洋、田中将隆、石川勝義】
◇中2男子生徒の自殺を巡る経緯
2011年
夏休み 同級生数人と遊び仲間になる
9月29日 体育祭で暴行を受けているのを生徒らが目撃
10月 5日 「生徒がトイレでいじめられている」との情報があり、担任らが「けんか」と結論づける
11日 生徒が自宅マンションで転落死
11月 2日 大津市教委が「生徒数人からいじめを受けていた」と発表。自殺との因果関係は認めず
2012年
2月24日 生徒の両親が元同級生らと大津市に損害賠償を求め提訴
7月 3日 「自殺練習をさせられた」とするアンケート回答を市教委が公表していなかったことが発覚
11日 県警が暴行容疑で中学校と市教委を捜索
18日 父親が元同級生3人を暴行など6容疑で告訴
9月 1日 県警が加害者とされる元同級生から聴取開始
12月27日 県警が同級生2人を大津地検に書類送検、1人を児童相談所に送致
2013年
1月31日 大津市の第三者調査委員会が市長に報告書を提出。いじめが自殺の直接的要因になったと明記
3〜5月 元同級生3人を児童相談所、大津地検がそれぞれ家裁に送致
6月21日 いじめ防止対策推進法が国会で成立
10月31日 大津家裁が元同級生3人の少年審判開始を決定
2014年
1月30日 少年審判で生徒の父親が意見陳述
3月18日 家裁が元同級生2人を保護観察処分、1人を不処分