<豊橋・会社役員殺害>中京学院大元准教授を送検

<豊橋・会社役員殺害>中京学院大元准教授を送検
毎日新聞 2014年4月9日(水)12時22分配信

 愛知県豊橋市で2012年1月30日、同市の会社役員、小原洋典さん(当時40歳)が殺害された事件で、県警は9日、中京学院大元准教授、久野輝夫容疑者(54)を殺人容疑で名古屋地検に送検した。同日朝、県警中署から車に乗せられ、地検に向かった。

 逮捕容疑は、豊橋市神野新田町に止めたレンタカーの軽乗用車内で硫化水素ガスを発生させ、運転席にいた小原さんを殺害したとされる。

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 久野容疑者は逮捕前から「自殺を手伝っただけ」と主張し、容疑の否認を続けている。県警が殺人容疑での立件に踏み切った判断の分かれ目は「被害者の意思」だったという。

 捜査関係者によると、小原さんには、拘束されたり睡眠薬を飲まされたりした形跡はなかった。運転席にいたことから、久野容疑者が硫化水素ガスを発生させた際、逃げることもできたとみられる。

 しかし、県警は周辺捜査の結果、小原さんは久野容疑者による自殺の強要を拒否できない心理状態に追い込まれていたと判断した。小原さんの残した「自殺に見せかけた他殺」というメモも補強材料になった。

 県警が参考にしたとみられるのは、兵庫県尼崎市の連続変死事件だ。親族男性に命じて崖から飛び降りさせて殺害したとして、角田美代子元被告(自殺、当時64歳)の親族らが殺人罪で起訴された。被害者を飲食させず、長時間の正座を強要するなど、死ぬことを拒めないよう精神的に追い込んだ行為が殺人に当たるとした。

 県警幹部は「久野容疑者は金目当てで被害者を殺す動機があり、被害者には特段自殺する理由が見当たらなかった。自殺の意思がないのに、久野容疑者によって死に追いやられた。外見上は自殺でも事実上の殺人と言える」と話している。【三上剛輝、大野友嘉子】

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元准教授、自殺方法伝える? 書き置き見つかる
中日新聞 2014年4月9日 16時06分

 愛知県豊橋市の経営コンサルタント会社社長小原洋典さん=当時(40)=に自殺するよう仕向けて殺害したとして、中京学院大元准教授の久野輝夫容疑者(54)が殺人容疑で逮捕された事件で、小原さんが生前、久野容疑者から硫化水素を使った自殺の方法を伝えられていた疑いがあることが、県警への取材で分かった。県警捜査本部は、久野容疑者が日ごろから小原さんを精神的に支配し、自殺に追い込んだとみている。

 県警によると、久野容疑者は2012年1月30日、豊橋市神野新田町の路上に止めたレンタカー内で硫化水素を発生させ、運転席にいた小原さんにガスを吸わせて殺害したとされる。久野容疑者は否認している。

 小原さんの自宅からは、「自殺でなく他殺されることが怖い」などと書かれた書き置きが見つかった。捜査本部によると、書き置きには久野容疑者に関する記述のほか、「レンタカーで車を借りて、そこに硫化水素を配合させたものを僕に吸引させ、殺人が成り立つ」などと具体的な自殺の方法が記されていた。

 県警によると、硫化水素を発生させるのに用いた洗剤や入浴剤は久野容疑者が事前に購入。その後、車で現場に向かい、レンタカー内で硫化水素を発生させたという。小原さんに外傷や拘束された形跡はなく、レンタカーも無施錠で、逃げ出せる状態だったが、そのまま死亡したとみられる。バケツや洗剤などの容器は車内で見つかった。レンタカーは前日に小原さんが借りていたが、久野容疑者の指示だったとみられる。

 関係者によると、久野容疑者と小原さんは09年ごろ知り合い、一緒に中国に進出する企業を支援するコンサルタントの仕事を手掛けていた。小原さんは中国事情に詳しい久野容疑者を「先生」と呼び、久野容疑者に従う立場だったという。一方、久野容疑者は、自ら乗り出した日本語学校の経営が軌道に乗らず、7千万円の借金を抱え、資金繰りに窮していた。

 捜査本部は9日、久野容疑者を名古屋地検に送検した。

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