25年度、体罰調査 108校公表、悪質30は内容も

25年度、体罰調査 108校公表、悪質30は内容も
産経新聞 2014年5月23日(金)7時55分配信

 都教育委員会が22日に発表した平成25年度の体罰調査では、体罰に及んだ教職員らの全体数は前年度を大きく下回ったものの、小学校では増加傾向にあることが判明。都教委は「全体的に減っても決して楽観はできない。危険な芽は摘んでいかなければならない」と根強く残る学校現場での体罰根絶に向け、さらなる引き締めを図る。

 今回の調査では、体罰が報告された111校のうち、卒業生らが関与したものを除く108校の校名が公表され、うち悪質な30校は内容も明らかになった。体罰を行った教職員は中学、高校で前年度よりも減少傾向にある一方、小学校では前年度を11人上回る42人と増加。都教委は前年度の調査で「先生にやめてほしいことはあるか」などと遠回しな表現で質問したが、今回は「先生にたたかれたことはあるか」などと具体的な質問に変えたことも小学校での体罰の掘り起こしにつながったとみる。

 悪質な30校のうち10校が小学校。江戸川区立一之江第二小学校では、遅刻などをした児童3人に、髪の毛をつかんでいすから立たせるなどしたほか、「外に投げてあげる」などと児童を抱きかかえて窓際まで運ぶ不適切な指導も判明した。

 また、世田谷区立尾山台小では、児童の授業中の言動を注意した際、体を押し倒して馬乗りになり、ほおをたたくなどした。

 体罰の認識について「体罰と思っていなかった」と答えた教員が中高では減少傾向にある一方、小学校では前年度の6人を上回る10人に増加。都教委は4月から各校に、どういう行為が体罰に当たるかが一目で分かる指導用DVDを配布しているが、さらに今後は感情をコントロールする研修なども検討するという。

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 ■都教委が悪質と判断した30校と体罰内容

▽【都立】

 ○総合工科高 野球部活動中に宿題、態度について指導し、生徒の足を蹴る、胸へ張り手をするなどの体罰を20回程度行い、胸と両足に打撲傷を負わせた。

 ○南平高 遅刻した生徒の胸を右手で押し、背中を後方の棚にぶつけ、むちうちの傷害を負わせた。

 ○小平高 バレーボール部の活動中、態度について指導し、生徒の髪をつかんで立ち上がらせた。また部員3人の頭を殴り、1人にこぶができる傷害を負わせた。

 ○東村山高 携帯電話を見ていた生徒のあごを下からたたき、くちびるを切った。

 ○府中東高 ふざけていた野球部員5人に対し、拳でみぞおちを小突く、膝で左右の太ももを交互に小突く、手のひらで左右の頬を交互にたたく、足の裏で左胸を蹴る、手で頭や頬をたたくなどの体罰を3カ月間に12回以上行った。

 ○青鳥特別支援学校 始業あいさつについて高等部生徒を指導、床に座り込んだが生徒のジャージの肩をつかんで廊下に引きずり出し、ジャージが擦れて首にあざができた。

 ▽【区市町村立】

 ○江東区立第二亀戸小 プリントを丸めて投げた児童の胸に手首から肘を当てて、ロッカーに押しつけて首を捻挫させた。

 ○世田谷区立尾山台小 児童に足をかけ腕をつかんであおむけに倒し、尻を蹴り、またがって頬や頭をたたいた。さらに立たせた後、両肩を押さえてあおむけにしてまたがり、足で尻を蹴った。

 ○板橋区立蓮根小 授業中、児童の左ふくらはぎをつねり、あざができる傷害を負わせた。

 ○同区立緑小 授業中、左手を児童の頬にあて顔を下と横から突き、あざができる傷害を負わせた。別の教員は、児童4人の胸ぐらをつかむ、頬をたたくなどの体罰を半年間に13回行った。

 ○練馬区立光が丘夏の雲小 椅子を蹴り倒した児童から椅子を取り上げ、4日間、中腰や膝立ちの状態で授業を受けさせた。

 ○葛飾区立細田小 他の児童を蹴った児童の目をたたき、足を蹴って転倒させ、眼球打撲、まぶたの皮下出血、太もも打撲の傷害を負わせた。

 ○江戸川区立春江小 児童7人のほおを両手ではさむようにたたき、硬貨が入った集金袋で頭をたたくなどの体罰を約10カ月間に21回行った。

 ○同区立一之江第二小 遅刻などを指導した児童3人に対し、ランドセルを後ろからつかんで児童の体を机に押しつけたり、足を蹴る、髪をつかんで立たせる、児童の後ろから腕をまわしあごを圧迫するなどの体罰を半年間に10回行うとともに、児童を抱きかかえて「外に投げてあげる」と言って窓際に運ぶなど不適切な言動を行った。

 ○府中市立府中第六小 児童の腕をつかみほうり出すように手を離して転ばせ、あごやひじにけがをさせた。別の日にも児童の腕をつかみ、転ばせ軽い脳しんとうと左肩、左足にけがを負わせた。

 ○清瀬市立清瀬第八小 児童間のもめごとを指導中、足で児童の太ももを蹴り、あざができる傷害を負わせた。

 ○中央区立銀座中 外部指導員が剣道部の活動中、竹刀で防具の上から部員の左横面をたたき、突発性難聴の傷害を負わせた。

 ○港区立高松中 理科の実験終了後、マッチを擦っていた生徒の頭を右拳でなぐり、こぶができる傷害を負わせた。

 ○台東区立桜橋中 外部指導員はソフトテニス部員の顔を手や拳で殴り鼻やくちびるから出血させ、ラケットで頭をたたき、首を押えて太ももを蹴った。

 ○目黒区立第三中、同第四中 外部指導員は2校合同の野球部活動中、準備運動をしていなかった生徒のほおをたたき太ももを蹴った。また、別の2人のほおをたたき、最初の生徒の足を蹴り、生徒のかばんを投げ散らかした。かばんを拾う生徒の尻を左右1回ずつけり、足で腹を押した。

 ○板橋区立板橋第一中 授業中、態度を指導し、右手で生徒の胸を押して床に倒し、首を捻挫させた。

 ○同区立桜川中 校長はサッカー部員に下校指導中、頭を拳でたたき、こぶができる傷害を負わせた。

 ○練馬区立上石神井中 生徒が他の生徒に嫌がらせをしたと思い込み、胸ぐらをつかみ、拳で左腰を殴り、あざができる傷害を負わせた。

 ○足立区立第九中 外部指導員は、野球部員の尻をバットでたたく体罰を16日間41回行い、22人中15人にあざができる傷害を負わせた。

 ○葛飾区立金町中 バレーボール部員の頭を履いていたサンダルでたたき、金具で頭にけがをさせた。

 ○同区立水元中 他の生徒に乗りかかっていた生徒3人の頬をたたく、右足で肩を蹴るなどして鼻から出血させた。

 ○江戸川区立松江第二中 バレーボール部員5人の頬をたたいたり、ふくらはぎを蹴る体罰を1カ月に32回行い、「死ね」「殺すぞ」「お前なんて人間じゃない」など不適切な発言を繰り返し、3人の胸ぐらをつかんだり、2人の顔面近くにボールを投げた。

 ○同区立篠崎第二中 借りた物を返さなかった生徒のふくらはぎや太ももを蹴り、股関節捻挫の傷害を負わせた。

 ○同区立小岩第五中 ベルトで他の生徒をたたいていた生徒の髪をつかんで教室の掲示板に後頭部をぶつけ、こぶができる傷害を負わせた。髪をつかんで後退し、転倒した生徒の左すねを蹴った。

 ○羽村市立羽村第一中 自分を蹴った生徒を指導中、胸元をつかんで黒板に押しつけたり、教卓に上半身をあおむけに押しつけ、首の捻挫、顔に傷などの傷害を負わせた。

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 ■悪質な30校の他に体罰があった学校

 【都立】千歳丘高、富士高、荒川工高、葛西工高、日野台高、八王子桑志高、小金井北高、田無高、小平西高、田無工高、若葉総合高、南多摩中等教育学校(前期課程)、三鷹中等教育学校(後期課程)、町田の丘学園、武蔵台学園

 【区市町村立】港区立御田小、同区立神応小、文京区立千駄木小、墨田区立八広小、目黒区立原町小、世田谷区立八幡小、杉並区立杉並第九小、北区立王子小、荒川区立第五峡田小、板橋区立紅梅小、練馬区立仲町小、同区立関町北小、足立区立島根小、江戸川区立西一之江小、同区立第二松江小、同区立大杉第二小、同区立大杉東小、同区立二之江第二小、同区立第二葛西小、同区立第五葛西小、同区立南葛西第二小、同区立南葛西第三小、同区立本一色小、同区立篠崎第四小、同区立鎌田小、八王子市立下柚木小、日野市立平山小、国立市立国立第六小、西東京市立東伏見小、文京区立茗台中、同区立音羽中、墨田区立両国中、同区立竪川中、同区立錦糸中、江東区立深川第六中、同区立亀戸中、同区立第二大島中、品川区立荏原平塚学園(荏原平塚中学校)、同区立品川学園(城南中学校)、同区立荏原第一中、中野区立第八中、同区立中野中、北区立王子桜中、北区立桐ケ丘中、同区立神谷中、同区立浮間中、同区立滝野川紅葉中、板橋区立板橋第二中、同区立上板橋第二中、練馬区立田柄中、足立区立東綾瀬中、江戸川区立小松川第一中、同区立葛西中、同区立葛西第二中、同区立瑞江第三中、八王子市立椚田中、府中市立府中第六中、小平市立小平第四中、日野市立七生中、東村山市立東村山第二中、武蔵村山市適応指導教室(武蔵村山市立第一中)、西東京市立田無第一中、同市立青嵐中

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