青森県立八戸北高生自殺調査 県教委と県で異なる見解 いじめの「質」評価で分かれる

青森県立八戸北高生自殺調査 県教委と県で異なる見解 いじめの「質」評価で分かれる
デーリー東北新聞社 2015年3月9日 9時18分配信

 青森県立八戸北高2年の女子生徒=当時(17)=が死亡し、両親が学校に調査を求めている問題で、「県青少年健全育成審議会いじめ調査部会」は3日、いじめの存在を認めた上で、自殺と一定の因果関係があったと結論付けた。一方、県教委の第3者機関「県いじめ防止対策審議会」は昨年12月、いじめは認めながらも自殺とは直接的な因果関係はないと判断、県と県教委で異なる見解となった。調査の過程をひもとくと、いじめの「質」をめぐる評価が審査結果に影響を与えた可能性が浮かび上がる。県教委は県と両方の結論を踏まえ、スクールカウンセラーの配置拡大など再発防止策を講じる方針だが、実効性が今後の課題だ。

評価基準に違い

 県と県教委の審査で大きく異なったのは、いじめの質の評価だ。

 県教委は、いじめの質が自殺との因果関係を判断する上で重要な要素になると考え、継続性、一方性、加害意図の有無―の3点の評価基準を設定。今回のケースでは、いずれも「顕著な悪質性はなく、集団生活で生じる可能性のあるもの」と判断した。

 一方、県はいじめの有無に主眼を置き、いじめの被害や本質を見誤る可能性があるとして質に関する基準は設けなかった。

 弘前大教育学部の吉中淳准教授=教育心理学=は「あくまでも(被害者側が心身の苦痛を感じているものをいじめと定義する)現行法に照らして評価するのが大原則。質の評価は時代に逆行しており、県教委の結論に納得できない遺族の意見は当然」と指摘。県教委も悪質性の判断基準を今後も設けるかどうかについて再検討する姿勢を示す。

結論に優劣なし

 県いじめ防止基本方針では、児童生徒の生命に重大な被害があった場合、県教委が事実関係などを調査すると記されている。また、教育長から報告を受けた知事が重大事態への対処や再発防止のために必要と判断した場合は、県が再調査できると定めている。

 今回、この方針に従い県と県教委の両機関が調査を実施。県基本方針では、調査結果の優劣には触れておらず、事実上どちらの結論も残ることになる。

“焼き直し”の対策

 県教委は「両方の結果を受け止める」とした上で、▽学校と児童相談所などをつなぐスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの配置拡大▽児童生徒の相談に高度に対応するための養護教諭の研修会実施―などの対策を講じる方針。ただ、これまでの対策の“焼き直し”の印象は否めず効果は未知数だ。

 弘前大ネット&いじめ問題研究会の大谷良光会長は「再発防止のためには、当事者となりうる子どもが取り組める対策が重要。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)使用時のルールを作るといった、具体策も考える必要がある」と強調している。

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