教頭が免許外授業 生徒「分かりにくい」
河北新報 2015年8月19日 10時5分配信
仙台市内の中学校6校で2014年度、各教頭が免許を持たない教科の授業をしていたことが18日、河北新報社の調べで分かった。中学、高校などでは専門教科以外を教える免許外教科担任が例外的に認められているものの、教頭には適用されない。生徒からは「授業が分かりにくい」との声も上がっていた。
市教委によると、ある中学校では、当時の校長=退職=の判断で、保健体育を専門とする教頭が2年生2クラスの理科を1年間担当。特定の教諭に業務が集中しないよう、校長が誤って教頭に免許外の授業を任せていた。
保護者の一人は「子どもが『先生に質問しても教科書に書いてある答えしか返って来ず、分かりにくい』と言っていた。普段、学力向上を図ると言っているのにあり得ない」と話す。
別の保護者の指摘でことし2月に発覚。校長と教頭は3月、生徒や保護者に今後は理科専門の先生が授業を受け持つと伝える一方、履修のやり直しはしないと説明した。
文部科学省教職員課は「免許外教科担任はあくまで特例中の特例。通常授業をしている先生が受け持つ必要がある」として、教頭への適用を認めていない。
市教委は4月の合同校長会で注意を呼び掛け、本年度は教頭の免許外教科担任は解消した。今後は、免許外に関する各校の申請内容や各教諭の授業の持ち時間数を確認し、再発を防ぐという。
本年度、免許外担任制度に基づいて授業をしているのは市内の中学校全63校のうち20校で、教諭は延べ39人に上る。市教委教職員課の佐藤正幸課長は「各校長が工夫して担当教科を決めている。教員定数が増えないので減らすのは難しい」と言う。
<行政は制度解消を/宮城県教職員組合の阿部広力書記長の話>
教頭が免許外教科担任をしていたのは初めて聞いた。免許外制度自体に問題があり、教員は生徒への罪悪感を抱えながら無理に引き受けているのが実情。行政は制度解消に努めるべきだ。
[免許外教科担任]教育職員免許法付則で特例として認められている制度。中学校や高校などである教科の免許を持つ教員を採用できない場合、1年以内に限り、校内の他教科の免許を持つ主幹教諭や教諭が代わりに担任できる。都道府県教委に申請し、許可を得ることが必要。