奈良教育大教授が全学生に反対呼びかけメール送信 「安保法案の成立許せない」
産経新聞 2015年9月25日 15時52分配信
奈良教育大(奈良市)の教授が、安全保障関連法案に反対する声明への賛同と署名を募るメールを、学内のメールシステムを使って全学生と教職員に一斉送信していたことが25日、関係者への取材で分かった。大学側はシステムの利用規約を逸脱した行為として、教授に口頭注意した。
メールは越野和之教授(50)=障害児教育学=が15日午後10時ごろ、「【賛同・署名のお願い】安全保障関連法案反対声明」とのタイトルで、同大の全職員と学生約1450人に学内のメールシステムから送信した。「奈良教育大教職員有志」名で、呼びかけ人として越野教授ら同大の教職員14人の名前とともに「命を犠牲にし、未来を閉ざす戦争につながる法案の成立を許すことはできない」などとして法案の廃案、撤回を求める声明文への賛同と署名が呼び掛けられていた。
越野教授らは翌16日、この声明文を報道関係者に公表。学内での署名には、約130人が応じたという。
同大総務課によると、学内のメールシステムは利用規約で「本学における教育・研究に関する活動のために利用されなければならない」と規定。同課は「今回のメールは目的に合致せず、大学の規約を逸脱した行為」とし、16日に越野教授に口頭で注意した。
産経新聞の取材に対し、越野教授は「法案の成立が近く、ほかの手段がなかったので学内メールを使った」と説明。「大学の利用目的にのっとっていなかったのは遺憾。今後は気をつけたい」と述べた。
大学側は18日、全職員と学生に対し、「情報モラルに気をつけて他者の迷惑になるような使用は控えてください」と、学内メールの利用に注意を呼びかけるメールを送信。教授らに対する処分は「検討していない」としている。