司法試験漏洩 元明大教授を在宅起訴「かわいがっていた教え子なので…」 東京地検
産経新聞 2015年10月7日 15時56分配信
明治大法科大学院の元教授による司法試験問題漏洩(ろうえい)事件で、東京地検特捜部は7日、問題を漏洩した青柳幸一元教授(67)=懲戒免職=を国家公務員法(守秘義務)違反罪で在宅起訴した。司法試験問題の漏洩をめぐり、刑事責任が問われるのは初めて。青柳元教授はこれまでの調べに対し漏洩を認め、「かわいがっていた教え子なのでなんとか合格させてやりたかった」と説明している。
起訴状によると、青柳被告は司法試験の出題や採点を行う考査委員を務めていた今年2月上旬から5月上旬にかけて数回にわたり、大学院の研究室などで教え子の20代の女性に対し、自身の作成したマークシートで解答する短答式の憲法分野の問題を教えた。さらに、3月上旬から下旬にかけて憲法分野の論文式試験の出題内容などを教え、漏洩したとしている。
関係者によると、女性の答案は憲法分野で完成度が極めて高く、短答式や論文式試験でほぼ満点を獲得していたとされる。青柳被告は複数回にわたって解答を添削するなど女性が高得点を取れるよう便宜を図っていたといい、女性は解答例を暗記して試験に臨んだとみられる。
女性は法務省の調査に、「ある程度の点を取れる解答を教えてもらったと思っていた」と話したという。
青柳被告が作成した論文試験の採点基準とほぼ同じ表現が女性の答案に複数箇所記されており、特捜部は漏洩の重要な根拠とみているもようだが、女性側から漏洩を持ちかけた事実はなく、特捜部は女性の立件は見送った。
採点の際、女性の答案で憲法分野の点数が著しく高かったため、法務省が調査を実施。法務省は青柳被告を考査委員から解任し、同法違反罪で東京地検に刑事告発していた。