ウィッツ青山学園高就学支援金詐欺 法人などと契約結び「運営の一任あり得る」 社長、通信制授業の法令違反も認める /三重

ウィッツ青山学園高就学支援金詐欺
法人などと契約結び「運営の一任あり得る」 社長、通信制授業の法令違反も認める /三重
毎日新聞2016年2月11日 地方版

伊賀市意育教育特区学校審議会

 ウィッツ青山学園高(伊賀市北山)の就学支援金詐欺事件を受けた市意育(いいく)教育特区学校審議会が10日、ハイトピア伊賀(上野丸之内)で開かれた。ウィッツ株式会社の白根孝一社長が出席し、他校の運営会社や学校法人と「セーフティネット契約」(業務提携)を結び、「運営の一任もあり得る」と表明。通信制の授業で法令違反も認めた。このため、単位が未履修となる可能性があり、審議会は改善計画の再提出を求めた。【鶴見泰寿、大西康裕】

 審議会には、白根社長のほか、西尾隆一校長、井上晃・副校長が出席し、冒頭のみ報道陣に公開された。

 白根社長は審議会で説明した後に退室し、記者会見。経営難に備え、通信制を運営する他社や学校法人とセーフティネット契約を結び、「(学園高の)運営を一任することもあり得る」と改善計画書に書いた点は「身売りではないが、学校の業務委託はありえる」と説明した。伊賀市が求める学校法人化については「諦めたわけではないが、教育特区の中では、すぐには認められず、荒唐無稽(むけい)と言われかねない」と当面は困難との見解を示した。同席した西尾校長は「行き場のない生徒の居場所であり続けたい。現場も改善し、より良い教育をしたい」と継続的な運営を強調した。

 一方、株式会社ウィッツは、親会社の東理ホールディングスと「経営コンサルティング契約書」を結び、2012年4月〜昨年12月に毎月100〜700万円を支払っていたことを明らかにした。14年度決算では6000万円に上った。高額な“上納金”について、白根社長は、東理の子会社はウィッツを含め七つあり、「上場会社の必要経費。ウィッツに経理がいないので、経営指導料に充てた。後ろめたいことはしていない」と反論した。

再履修の必要性調査要求

 市教委によると、学園高は特区の伊賀市外で通信制のスクーリングや添削指導を含めた授業はできない。しかし、ウィッツ側が提出した資料では、サポート校「山口LETSキャンパス」で学ぶ学園高の生徒が昨年7月26日、伊賀市にスクーリングに向かう際、バスの車内で邦画を鑑賞したら「国語」、洋画を見たら「英語」と記載。ウィッツ側は審議会でも一部で特区法などの法令に反して市外でスクーリングや添削指導をしたことを認めた。このため、市教委は不適切な授業では単位は与えられないため、対応策を早急にまとめることを求めた。

 審議会後、取材に白根社長は「認識が甘かった」と釈明した。

 学園高の通信制の在校生は約1200人で、ほとんどが全国各地のサポート校にも在籍している。市教委は何人に未履修の可能性があり、再履修が必要になるかなどの調査をウィッツ側に求めた。

サポート校改革

 全国40カ所のサポート校の一部が違法に面接や添削、試験を実施したことについて、白根社長は取材に「ウィッツ側も知りながら改善できなかった」と陳謝。「(サポート校を)精査して、不適切なところは、契約を解除する。各校をエリアごとにまとめて把握できる形態にしたい」と改革案を示した。さらに、学園高の分校と誤解されぬよう、名称を「LETSキャンパス」から改称する。「学習支援ブランチLETS」や「サテライトルームLETS」などが候補だという。

財源の明確化要求

 ウィッツ側は、学園高の教員11人では、通信制の生徒約1200人を管理できないとして、新年度から14人増やし、25人態勢にするとした。これに対し、審議会は「財源の明確化」を求めた。

 また、ウィッツ側は、改善計画書で親会社の東理に対し、学校運営の独立性を認める念書の提出を要求。念書は(1)校長や副校長、教頭が中心の学校運営理事会を組織し、全て一任(2)資金は理事会の決定を追認し、不足したら東理が補填(ほてん)(貸付)(3)学校の教育理念、運営方針は理事会で協議し、東理は尊重する−−の3点。

 学園高では昨年、教員免許を失効したまま授業をした非常勤講師による未履修問題が発覚したうえ、今回新たな未履修の可能性が指摘された。学園高は新年度の生徒を募集しているが、審議会で募集継続について問われると、3人から返答はなかったという。

 新たな未履修問題への対応を含めた改善計画の再提出は2月下旬までとし、次回審議会は3月3日の予定。

〔伊賀版〕

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