「ウィッツ青山学園」運営会社社長「校長の裁量でやっていたこと」
フジテレビ 2016年3月2日 20時5分
土産物を買い、お釣りの計算をしたら、「数学」の授業を受けたことに。ある高校のとんでもない実態が明らかになった。
手裏剣を手に、忍者気分を味わう高校生たち。
これが、「遊び」ではなく、「体育」の授業とみなされていた。
三重・伊賀市にある「ウィッツ青山学園高校」。
その通信制課程で、学校での授業とは言いがたい教育が行われていたことが明らかになった。
大阪の超人気テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」。
ウィッツ青山学園高校は、ここに40人余りの生徒たちを連れて行き、土産物などのお釣りの計算をしたことで、「数学」の授業を受けたことにしていた。
また、「英語」の授業について、学校の宣伝ビデオでは、外国人講師による熱心な授業風景をPR。
しかし、移動のバスの中で、外国の映画を見て、「英語」を履修したことにしていた。
「高校生への教育」とは言いがたい授業。
ウィッツ青山学園高校には、全日制と通信制の課程があり、全日制には21人が通い、通信制は、およそ1,200人が受講している。
今回、問題が指摘されているのは、通信制課程で、教員が生徒に面会して指導する、「スクーリング」と呼ばれる授業だった。
通信制の生徒は、通常、自宅や全国にある支援教室で学ぶが、年に2回、伊賀市にある本校で、2〜3日のスクーリングを受ける必要があるとされている。
そのスクーリングの機会に、学校では、「手裏剣投げの体験」が、そのまま、「体育」の履修になっていたという。
伊賀市にある忍者博物館を訪れ、忍者の体験をすることで「体育」。
スマートフォンで忍者の歴史を調べたことで、「社会」と、2つの教科を一度に履修したことにしていた。
さらに、兵庫・神戸の夜景を2時間鑑賞して、「芸術」の授業に。
揚げ句の果てには、レストランで夕食をとっただけで「家庭科」の授業を履修したことにしていた。
なぜ、このような安直すぎるカリキュラムに及んだのか。
手抜きカリキュラムが行われていた背景には、ウィッツ青山学園高校の金銭をめぐる問題がちらついている。
東京地検特捜部は2015年、この学校に対し、国の就学支援金を不正に受給した、詐欺の疑いで強制捜査に入った。
学校側は、本当に必要な授業を行わず、その分のコストを浮かせようとしていたのではないか。
そうも考えられる、ずさんな実態を現役生徒が語った。
ウィッツ青山学園高校の通信制現役生とは、「一度もスクーリングに行かずに、一度も試験もリポートも出さずに、卒業した方もいらっしゃるって聞いた」、「行くことができないって話をしたら、『代わりに誰か行ってもらうから』とか言われたり。いい加減なんです。楽だなと思いましたよね。こんなので高卒の資格もらえるんだったら、すごく気軽で、手軽でいいなと」と語った。
文部科学省は、「学習指導要領から大きく逸脱した授業内容だった」として、2日、指導・監督している伊賀市に対して通知を出し、新入生の募集の見直しなどを求めることを決めた。
文科省の義家副大臣は、「あきれてものが言えません。これが高校だと認識していると、同じように頑張っている広域通信制全体への冒とくであろうとも思う」と述べた。
問題の経緯について、ウィッツ青山学園高校は、「学習意欲が低い生徒も多いため、興味、関心を持たせようとして行っていた」としている。
そのうえで、2日、取材に応じたウィッツ青山学園高校の西尾隆一校長は、「よくないですよね。ルールとして外れてる部分がありますので。早急に改善したいと思います」と語った。
この高校は、教育特区制度を利用して株式会社が作ったが、運営会社の社長は、FNNの取材に、「今回の件は全く知らない。校長の裁量でやっていたことで、細かなことはわからない」とコメントしている。