高2自殺、県などに賠償命令=いじめ認定、因果関係は否定―神戸地裁

高2自殺、県などに賠償命令=いじめ認定、因果関係は否定―神戸地裁
時事通信 2016年3月30日(水)18時50分配信

 兵庫県川西市で2012年、県立高校2年の男子生徒=当時(17)=が自殺したのはいじめが原因として、両親が県などに約8900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、神戸地裁であった。

 伊良原恵吾裁判長はいじめがあったと認定する一方、自殺との因果関係は認めず、県と同級生3人に慰謝料計210万円の支払いを命じた。

 伊良原裁判長は、同級生のいじめ行為を「執拗(しつよう)で悪質」と批判する一方、「肉体的、精神的に重大な苦痛を与え続けた性質ではない」と述べ、自殺は予見できなかったと指摘。因果関係は否定した。

 県については、学校がいじめ防止策を怠ったことへの責任などを認定。生徒の自殺後、教諭が「遺族は全然理解してくれない」などと発言したことへの賠償も命じた。

 判決によると、男子生徒は12年4月ごろから、「ムシ」と呼ばれたり、椅子の上に死んだガを置かれたりするいじめを受け、同年9月に自宅で首をつり自殺した。記者会見した母親(57)は「自殺まではいかないいじめという判決。息子に報告するのは少しつらい」と話した。 

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「息子にどう報告すれば…」 高2いじめ判決で両親会見
神戸新聞NEXT 2016年3月30日(水)21時59分配信

 兵庫県川西市の県立高校2年の男子生徒=当時(17)=の自殺を巡る30日の神戸地裁判決は、元同級生3人の行為をいじめと認定したが、「いじめの内容は自殺を予測できるほどではなかった」と結論づけた。判決後に記者会見した両親は、全国でいじめによるとみられる自殺が相次いでいることに触れ、「言葉の暴力が人を死に追い詰めることを、もっと考えてほしい」と厳しい表情で訴えた。

 会見で母親(57)は「息子にどう報告すればいいのか…」と戸惑った表情を見せた。

 息子を「ムシ」と呼び続け、「汚い」「エキスが付く」などといじめ続けた元同級生。そして、いじめを把握し、対応できたはずの元担任教諭。監督すべきだった元校長。判決は、彼らのいじめに対する責任を認めた。

 しかし、判決は暴力を伴わないいじめの内容などから、予見可能性は否定。母親は「高校生にもなって、クラスみんなの前で『ムシ』と呼ばれ続けることが、どれだけ傷つくことか」とハンカチで目頭を押さえた。「きっと、殴られたり、お金を取られたりすることよりももっと、精神的に追い詰められただろう」と息子を思いやった。

 息子を亡くしてから3年半。朝は遺影に「おはよう」と声を掛け、夜は晩ご飯を供える。まだ、死を受け入れられない。時折、息子がいじめられている夢を見ることがあるという。

 男子生徒の自殺後、当時の生徒指導部長が「遺族は理解してくれない」と発言するなど、学校側の事後対応にも不信が募った。両親は「学校側が寄り添ってくれていれば、提訴することはなかった」と振り返る。

 父親(64)は今後の対応について、「判決文をしっかりと読んでから考えたい」と、疲れ切った様子で話した。(上田勇紀)

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