富大准教授 派遣登録促す 自ら取締役「単位考える」
中日新聞 2016年7月9日
講義時間中に勧誘
富山大の男性准教授(40)が情報処理の講義時間中、自身が取締役を務める人材派遣業を目的にした会社のホームページ(HP)に個人情報を登録するよう学生に促していたことが分かった。講義を受けた学生らによると、男性准教授は「登録してくれたら単位を考えてもいい」と持ち掛けていた。大学は懲戒規則に触れる恐れがあると問題視し、事実確認を進めている。
大学や学生らによると、男性准教授は六月下旬、経済学部や工学部の一年生が受講する情報処理の講義時間中、会社のHPに個人情報を登録するよう促した。工学部の学生が受けた講義で学生らに一分間に三百文字を打つタイピングテストを行った際、「できなかったら来年も頑張って」などと単位を認めないような発言をした。
その上で、一部の学生に「バイトのHPに登録してくれたら単位を考えてもいい」と持ち掛けた。HPには名前とメールアドレス、電話番号などを書き込む欄があり、複数の学生が登録した。
学生が大学に相談して発覚した。その後、男性准教授の授業は休講になり、別の教員が担当している。大学は会社に登録内容の削除を要請し、数日後に会社から「削除した」との回答があった。大学側の調査に男性准教授は「ブラックバイトがよくあるので、安心な仲介サイトを紹介するのはいいかと思った」と説明しているという。厚生労働省によると、この会社は人材派遣や職業紹介業をするために必要な許可を受けていない。
大学の職員懲戒規則では、職権を乱用した個人情報の目的外収集や漏えいをした場合は処分対象になる。
大学は具体的な事実関係を明らかにしていない。広報課の担当者は取材に「問題が含まれていた可能性があるので調査をしている」と話している。