兵庫県美容院組合 元職員1400万円着服か
神戸新聞NEXT 2017/7/1(土) 8:00配信
兵庫県内の美容院経営者が加盟する「県美容業生活衛生同業組合」(神戸市兵庫区)で事務局員だった50代女性が、県から委託された広報誌の印刷・配布業務などを巡って経理を繰り返し操作し、約7年間にわたり組合費計約1400万円を着服した疑いがあることが30日、関係者らへの取材で分かった。事務局は組合員らに報告したが、一部組合員らが不正の経緯や管理責任が明らかにされていないなどとし、女性と横井孝彦理事長を告訴した。
関係者らによると、事務局には職員が4人おり、女性は二十数年勤めるベテラン職員として出納業務に従事。2009年から16年までの間に1376万〜1448万円を着服したとして、昨年11月までに懲戒解雇処分にされたという。
事務局では組合員からの徴収金を運用するほか、県発行の広報誌「ニューひょうご」を出版元から購入して各地の加盟店向けに配布する県の業務を受託していた。事務局が管理する帳簿には県からの入金記録がなかったり、実態の不明な入出金が記されたりしており、女性が着服をごまかすために経理を細工していた可能性があるという。
告訴した組合員らによると、経理に不審を感じた一部の組合員らが14年、事務局に帳簿の開示を要請。応じられなかったため、他の組合員らに署名を呼び掛ける文書を準備したところ、横井理事長から「組合の秩序を乱した」と厳重注意処分にされたという。
昨年11月、横井理事長は各地区支部長に向けて着服の額や時期を報告したものの「女性に弁済させ、懲戒処分にしたため不問に付したい」と述べ、不正の方法や経緯については明らかにしなかったという。
告訴した組合員らは、横井理事長が事情を知りながら黙認した可能性があるとし、女性による弁済を証明するよう求めている。刑事責任を問える範囲について兵庫署が精査している。
女性は今年5月末、組合本部で開かれた総代会に出席。着服を認めた上で組合員らに謝罪し「親の介護や一部組合員からの嫌がらせでストレスを感じていた」などと話したという。
横井理事長は取材に対し「問題は解決済みなので辞退する」とのコメントを文書で寄せた。
【兵庫県美容業生活衛生同業組合】 今年4月時点で県内の1463店(経営者)が加盟。上部団体は「全日本美容業生活衛生同業組合連合会」(本部・東京)。組合費は事務局員の給与や広報宣伝費などに使う。理事長は慣例として神戸市兵庫区にある「神戸理容美容専門学校」校長も務める。連合会には47都道府県の組合(約6万店)が加盟。美容師の技術向上などを目的に、全国の散髪や着物の着付けなどの技術を競う選手権大会などを主催している。