<川口いじめ>僕と同じくらい苦しんで 不登校の生徒側、市を提訴へ「学校、市教委がいじめた」
埼玉新聞 2018/3/22(木) 22:45配信
埼玉県川口市立中学校で3年の男子生徒(15)が部活動のサッカー部員からのいじめや顧問教諭からの体罰で不登校になった問題で、男子生徒の母親が22日、県庁で記者会見し、「心が壊れるまでいじめたのは学校と市教委だ」と訴え、代理人の岡本卓大弁護士は「いじめについて学校が適切に対応せず、男子生徒がさらに傷つくという二次被害を起こした。学校の異常、違法な対応について、相応の責任を求めていく」とし、川口市を相手取り損害賠償請求訴訟をさいたま地裁に起こすことを明らかにした。
母親は記者会見で「市の謝罪は受け入れ難い。息子はいじめそのものよりも、校長や教頭、市教委の人たちがうそを言い、だまされたことの方がつらいと言っている。心が壊れるまでいじめたのは学校と市教委。息子は校長、教頭は僕と同じくらいに苦しんでほしいと言っている」と改めて学校、市教委を批判した。
岡本弁護士も「本件は、加害者が誰かと言うことよりも、(子どもを守るべき)学校そのものがいじめたと思える」と述べた。
市教委の第三者調査委員会は、いじめが不登校の原因になったと認定する調査報告書をまとめている。市教委は16日に報告書を公表し、母親にも手渡された。男子生徒は15日に卒業。報告書が出来上がったのはその前日だった。
男子生徒がいじめだとして改善を訴えた8項目のいじめ行為について、報告書は部活の練習中に肘で顔をはたかれるなどした暴力行為以外の7項目だけをいじめ行為と認定した。
岡本弁護士は「肘ではたいた暴力について保護者は被害当時から学校に訴えていたのに、調査報告は『確認できなかった』とした。発生当時に学校が調査をしていないのであれば、あえて放置したことになる」と述べた。
学校の対応についての記述では、指導を全くしていないのに「指導した」など「多数の虚偽の事実が含まれている」と指摘。市教委が2月に保護者に報告書原案を示し意見を求めた際に「事実と違う」と指摘し、指摘した事実を記載するよう求めたが、報告書に反映されなかったという。
岡本弁護士は「本件ではいじめ行為自体の問題以上に、学校と市教委の対応が問題。そもそも調査委員会に調査に必要な事実や資料が伝えられないまま調査が行われたのではないかという疑念を感じる」と話した。
さらに「被害者は中学3年間の学校生活をいじめと、学校の対応によって奪われた。校長が約束した支援体制は何ら実施されないどころか、現場の教師にすら情報が伝わっていなかった。本件での学校の対応は極めて異常だ」と批判した。