生徒の顔を舐めた変態教師が3か月で職場復帰する「韓国の私立学校」の現状に生徒らが#MeTooで立ち上がる HARBOR BUSINESS Online 2018/6/5(火) 16:00配信 生徒の顔を舐めた変態教師が3か月で職場復帰する「韓国の私立学校」の現状に生徒らが#MeTooで立ち上がる
儒教の強い社会なだけに、男性教師の横暴もエスカレートしやすいのか? 世界を席巻している「♯MeToo」旋風。韓国でも各界を揺るがし、芸能界では告発された俳優が自殺するなど、社会に与えたインパクトは強力であった。 そして今、韓国ではついに現行法をも揺るがし始めている。国すらも黙る「私立学校」という絶対的権威に、「#Me Too」、「#With You」の合言葉で、少女たちが立ち向かっているのだ。 ソウル市蘆原(ノウォン)区にある私立女子高校で、在職中の教員2名が警察に起訴された。容疑は、生徒に対する強制わいせつ容疑。教師二人は生徒たちにセクハラを繰り返していた。 もともと、在学生たちの捜査依頼によって警察が捜査を開始した。これに対して、同校の卒業生が次々とインターネットに証言を暴露。書き込みは増え続け、捜査も拡大された。教員2名のそれぞれの担当科目は国語と体育であることがわかっている。 被害者である同校卒業生のAさん(26)は、「3年生の古典の授業時間に国語教師が古典小説を翻訳しながら、『女は、強姦されるのが好きなものだ』と発言し、指で性行為の場面を再現していた。」と話す。(参照:京郷新聞)) ほかにも、「(容疑者である)国語教師が授業で指名する生徒に近づくと、その子の手や肩、腕、耳たぶなどに触れることで有名だった」との証言もある。(参照:ソウル新聞) また、体育教師に対する証言も殺到している。
卒業生のBさんが体育教師に「舞踊を専攻している」と伝えたところ、「では、足を大きく開けるんだね?」との返答が返ってきた。当時、あまりの恐怖心に「ストレッチのことですよね」と言うのが精一杯だった。 ほかにも、ダンスの授業にジャージ禁止令を出し、スカートで踊るように指示したり、「ダンスの動作指導」とうたいながら腰やお尻、胸を触ったり、どれも意図的だと思えるものばかりだ。 当時の被害生徒たちは、セクハラ被害を担任に直訴。しかし、担任には「あの先生はスキンシップが多いんだよね。多めに見てあげて」とまったく相手にされなかった。中には、学校の公式サイトに匿名で国語教師からのセクハラ被害を告白した被害生徒もいる。しかし、学校側からは何の措置もなく放置された。(参照:Daumニュース) これまで訴えても決して届かなかった被害者の声は、「#MeToo」によってようやく日の目をみる。
5月14日までに韓国教育部(日本でいう文科省)に寄せられた被害者による「性犯罪」被害の通報は、全国の小・中・高・大学合わせて、計79か所にも及ぶ。驚くべきなのは、その数の多さ。この79件の犯人は全員が免許を取得している教員なのだ。 ◆変態教師を裁くことができない身内主義の構造 しかしさらなる問題は、韓国の現行法では、彼らを裁けないというところにある。 教育部当局がいくらこのような性犯罪を摘発し、解任・停職などを要求しても、実際に措置をとるのは学校側。したがって、懲戒の程度を大幅に引き下げたり、むしろ「注意」に止めたり、何の懲戒をも下さないことも可能というわけだ。韓国の現行の私学法に従うと、このように罪を犯した教師でも学校からの許可によって、簡単に教壇に戻れることもある。 被害が減らない本質はここだろう。 現に、2016年に全羅北道淳昌(スンチャン)郡のある私立高校で起きたセクハラ事件。 お酒に酔った教師が女子生徒を相談室に呼び出し、抱きしめて顔をなめるなど、強制わいせつ事件が摘発された。当時全羅北道教育庁は、該当教師の罷免を要求。 しかし、学校側がこの要求を拒否し、実際は停職3か月の処分が下された。当時は3か月後には、このセクハラ教師が再度教師として働き出すことが大きな議論を呼んだが、現行法を見直すきっかけにはならなかった。 全国17の市・道教育庁から提出された「2014〜2016年教育庁の監査結果で摘発された私立学校不正教員の懲戒現状」資料によると、教育庁が罷免・解任・降格・停職など懲戒処分を要求した教員は134人だったが、教育庁の要求どおり、実際に重い懲戒を受けた教員はわずか29人(21.6%)に過ぎなかった。なかでも、最も重い懲戒である「罷免」を受けた教員ははわずか8人で罷免処分を要求された30人の4割にも及ばない。 専門家は現在の私学法に警鐘を鳴らす。
「私立学校内にはびこる『身内びいき』を根絶しない限り、何をしても、『注意』で済んでしまう。教育部と所轄庁の実質的な監督機能が、正常にはたらくような私学法に改正されるべきである」 どこの国でも、一番の犠牲者は若者である。 彼らには、圧に屈さない強い意志と世論の追い風を受けて、光輝く未来を掴んでほしい。
<文・安達 夕 @yuu_adachi>