児童福祉法違反の“無届保育園”を退職した保育士が涙の内部告発
文春オンライン 2018/12/19(水) 16:00配信
東京・世田谷区にある「icon千歳船橋園」と「icon喜多見園」で11月16日、保育士7人、職員7人の計14人が一斉退職したが、うち6人が「週刊文春デジタル」の取材に応じ、園児が置かれている危険な保育環境を告発した。
「保護者たちは『企業主導型』だと思って、子供を預けています。本当は『認可外保育園』の登録申請すらしていない。ただ、子供や保育士たちが勝手に集まっているだけの施設だったのです」(当該施設を退職した保育士のAさん)
問題の2園を運営するのは「株式会社icon」。この2園は助成が決定していない段階で、“企業主導型”を標榜し園児や保育士らの募集を開始。それぞれ今年5月と7月に開園した。
しかし10月末、児童育成協会から“助成不採択”の電話が入った。それで保育士らにも事実が露呈。11月初旬、社長と園長は開き直ったかのように助成金が下りなかったことを理由に、2園のアルバイト11人全員を退職させ、24人の園児を社員6人でみる方針を職員に伝えたが、それでは安全な保育が確保できないと社員全員が退職を決意。アルバイト3人が残る結果となった。
「どうシフトを組んでも、12人の園児を社員1人でみる時間帯が出来てしまう。私たちも怖かった」(保育士のCさん)
さらに同園は認可外保育園としての行政登録も行っておらず“児童福祉法違反状態”だった。東京永田町法律事務所の服部梢弁護士が解説する。
「都道府県知事に対して認可外保育の届出もしていないとなれば、児童福祉法59条の2第1項の届出義務に違反し、同法62条の4により、50万円以下の過料に処せられる可能性があります。
“企業主導型”として保育士を募集したことに関しては、いわゆる『求人詐欺』に当たるケースと考えられ、職業安定法65条8号により、6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金に処される可能性があります。また、園児の募集については刑法246条1項の詐欺罪にあたり、10年以下の懲役に処される可能性があります」
「株式会社icon」に確認を求めたところ、事実関係を認めた上で、こう答えた。
「助成不採択の決定後、児童育成協会から『企業主導型保育園(申請中)』と表記する方法が適切だと連絡を受けました。速やかにホームページの記載を削除し、協会にも報告済みです。保護者には11月中旬から個別に説明をしており、他園への転園のお手伝いもしています。認可外の設置届については、適切な時期に申請をおこなっていないことが判明したため、至急、届出をしました」
待機児童対策の切り札として安倍政権が2016年にスタートさせた「企業主導型保育事業」だが、今年10月末には東京・世田谷区の企業主導型保育園「こどもの杜」でも保育士ら計18人が一斉に退職したニュースに衝撃が走った( 「週刊文春」11月22日号でも報道 )。
今回はまた別の問題点が浮き彫りとなった。「 週刊文春デジタル 」では「icon」を退職した保育士らの悲痛な肉声を録音した 関連動画 と、 オリジナル記事 を公開している。