「ズボンを脱げ」「局部を握れ」中学でいじめ 審議会が4件中1件認定 熊本県阿蘇市
西日本新聞 2019/3/8(金) 12:10配信
熊本県阿蘇市のいじめ防止対策審議会は7日、同市の中学校で2016年12月、当時2年生の男子生徒(16)が同級生に性的嫌がらせを受けたとする事案について、「いじめ」と認定する答申を阿南誠一郎教育長に提出した。男子生徒は事案発生後から不登校がちになり、入退院を繰り返して高校にも通えない状態という。
第三者の専門家でつくる審議会によると、男子生徒は16年12月中旬、同級生から校内のトイレに連れて行かれ「ズボンを脱げ」「局部を握れ」などと強要され、翌17年1月末から不登校がちになったという。別の同級生の保護者が担任に連絡して発覚した。市教育委員会の諮問を受け、同年7月に設置された審議会は、学校関係者や加害側とされる生徒、男子生徒の両親ら計25人から聞き取り調査を実施。男子生徒からは直接事情は聞けなかった。
答申では、訴えがあった事案4件のうち、トイレでの1件のみを「心身の苦痛を感じるもの」としていじめと認定。ほか3件は「事実として認められなかった」とし、いじめと不登校との因果関係は分からないと結論付けた。
生徒の両親は、いじめの範囲を狭く捉えようとする学校側の対応や審議会の在り方に疑念を抱き、昨年11月に県弁護士会に人権救済の申し立てをしている。答申後に会見した両親は「息子の主張は一貫しており、学校には裏切られたという気持ちが強い。審議会の中立性も疑問だ。息子は心がズタズタになっており、抱き締めてあげることしかできない。悔しくて、悲しい」と話した。