兵庫・尼崎市立高 複数部活で体罰 隠蔽の疑いも含め調査

兵庫・尼崎市立高 複数部活で体罰 隠蔽の疑いも含め調査
読売テレビ 2019/5/20(月) 19:11配信

 全国大会の常連となっている兵庫・尼崎市の市立尼崎高校の複数の部活で、体罰が行われていたことが分かり、教育委員会が調査している。学校側が、体罰を隠蔽した疑惑もあり、対応のずさんさが浮き彫りとなっている。

 最初に問題が発覚したのは、昨年夏のインターハイで初優勝した強豪・男子バレーボール部だった。

 先月29日、体育館で練習をしていた際、コーチを務める男性臨時講師(28)が、3年生の部員の態度に腹を立て、顔を10回以上平手打ちした。部員は、20分から30分もの間、意識を失い、帰宅後に救急搬送された。

 講師や監督(51)は、学校に報告しておらず、学校が問題を把握したのは、匿名の電話を受けた今月7日だった。体罰が行われた日から8日も経っていた。

 監督が作成したメモをもとに、教頭が「ケガはなかった」とする報告書を作成。校長のチェックを経て、教育委員会に提出し、教委も、この報告書通りに発表した。

 しかし、発表後、報道を見た部員の保護者から学校に連絡があり、ケガがあったことが判明した。

 市立尼崎高校の桑本廣志校長は「体罰を行ったということ。ケガはしていなかったという全くの思い込みの中で、大事なところを見落としたということで、間違った報告を(教委に)あげてしまった」と言う。

 一方、教委職員課の竹原努課長は「ケガや意識を失った点は、学校側も加害教諭のメモを記者発表前に持っていたので、当然認知していた」としている。

 校長も教頭も「そのコーチからあがってきたメモにあったケガ、もしくは意識を失ったということを見落としていたのか」という質問に、桑本校長は「見落としておりました」とし、『隠蔽』といったような意思も「なかった」と主張している。

 実際には、体罰を行った講師のメモが存在し、ケガの事実が書かれていたにもかかわらず、監督のメモには、書かれていなかったために「ケガはなかった」という誤った報告書になったという。

 誤った発表から6日も経った後に、学校側は部員の左耳鼓膜が破れるなど、全治2週間のケガを負った、と訂正した。

 さらに、監督は、体罰が明らかになった後も、教育委員会に対し、学校側が都合が良いように、ウソの説明をしていた疑いがあることも分かった。

 監督は報告をしなかった理由について「保護者から大ごとにしてほしくないと言われた」と学校を通じて、教育委員会に説明していたが、部員の保護者は「そんなことは言っていない」と抗議したという。

 また、体罰の理由についても、当初は「部員にボールの片づけで緩慢な態度があった」としていたが、他の部員は「後輩の指導中でボールに気づいていなかった」と、誤解による体罰だったと証言しているという。

 一方、市立尼崎高校では、別の部活でも体罰が発覚した。先月、硬式野球部の合宿で、コーチを務める男性臨時講師(25)が、あくびをした1年生の部員を叩いたという。

 市教委にはほかにも体罰に関する情報が寄せられているということで、詳しい調査が続いている。

 教育委員会は、経緯などを詳しく調べていて、近く結果を市長に報告する方針だ。

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