神戸小5いじめ「モンスターペアレントと扱われた」市教委に不信感あらわ

神戸小5いじめ「モンスターペアレントと扱われた」市教委に不信感あらわ
産経新聞 2020/2/13(木) 21:57配信

 「一方的に、モンスターペアレントであるかのように扱われてきた」。平成17年に神戸市立小5年だった男性のいじめ被害を訴え続けてきた父親は、市教委の積年の対応にこう怒りをにじませた。

 父親によると、市教委自体は一度しか男性から聞き取りをしていないが、学校側は複数回の調査を実施。18年2月には5年生の学年集会を行い、保護者らの出席のもとで、同級生によるいやがらせがあったこと、さらに多額の金銭のやり取りがあったことを説明していたという。

 しかし市教委は20年2月に裁判所に提出した文書の中で「必ずしもいじめと断定できない」「必ずしも恐喝と断定できない」と学年集会からトーンを大幅に後退させたうえ、同級生の保護者から聞き取りを拒まれたことを理由に「調査続行が困難」と、早々に見送りを決めこんだ。

 一方、男性が同級生側に起こした民事訴訟では1、2審判決がいずれも明確にいじめを認定。「原告に対する暴行はいじめ行為にあたる」「子供ら同士のふざけあいの類いではなく、いじめと評価すべきだったことは明らか」と判示している。

 父親は市教委のおざなりな対応について「間違った判断をした当時の幹部をかばって、誤りを正そうとしないのでは」と推測。現在の市教委幹部は、男性側から調査への協力が十分に得られなかったとなお釈明しつつも「当時何らかのアクションを起こしてしかるべきだった。丁寧な対応が必要だった」とも述べた。

 神戸市教委では、ことが発覚。でも、市教委が調査委員会に一部資料の提出を忘れるなど不適切な対応が相次いで明らかになっている。

 男性の父親は「不祥事を隠す体質が通底している」と批判し、「やっとスタート地点。市教委は事実を認めて謝罪してほしい」と求めた。(石橋明日佳)

神戸市教育委員会は10日、2005〜06年に市立小学校で男子児童が同級生から暴力を受け、現金を取られるなどした問題で、一貫して「いじめ」と認めてこなかった判断について検証するため、第三者委員会を設置する方向で被害者側と協議していることを明らかにした。被害者側が市議会で陳情を続け、16回目の訴えとなった昨年11月に採択されていた。
 被害者側、市教委の双方が会見した。被害男性は現在25歳で、当時は小学5年生。父親(56)によると、同級生7人に脅し取られた現金は約50万円に上る。07年にはいじめを認めなかった加害側3人に損害賠償を求める訴訟を起こし、神戸地裁判決でも大阪高裁判決でもいじめが認定された。

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