元理事長が土地売却を巡り逮捕 明浄学院(大阪)が民事再生

元理事長が土地売却を巡り逮捕 明浄学院(大阪)が民事再生
帝国データバンク 2020/3/16(月) 19:13配信

「大阪観光大学」と「明浄学院高等学校」を運営

学校法人明浄学院(TDB企業コード:580703891、資産の総額51億3828万3900円、泉南郡熊取町大久保南5-3-1、理事長奥田貴美子氏(2月時点))は、3月16日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全管理命令を受けた。

 申請代理人は杉山栄理弁護士(大阪市北区西天満4-8-17宇治電ビルディング11階、はばたき綜合法律事務所、電話06-6363-7800)。保全管理人には中井康之弁護士(大阪市中央区北浜2-3-9入商八木ビル2階、堂島法律事務所、電話06-6201-4456)が選任されている。

 当法人は、1921年(大正10年)2月創業、45年(昭和20年)6月に法人改組した「大阪観光大学」と「明浄学院高等学校」を運営する学校法人。大阪観光大学は、観光学部と国際交流学部の2学部を擁し、明浄学院高等学校は全日制の女子校で、SUPER特進コースなど3コースを設置。寄付金が増加した2017年3月期には年収入高約19億4000万円を計上していた。

 しかし、大阪府南部地区に立地し、都市部から離れていることや収容定員が少なく2学部に特化した大学であり、学生の知名度が低かったことから学生数は伸び悩んでいた。2016年4月に理事長に大橋美枝子氏が就任して以降は、教師の退職者が相次ぐなど、トラブルを抱えた学校法人としてイメージが定着。さらに2019年10月には大橋元理事長が高校の土地売却を巡り21億円の資金を着服した疑いが強まったとして大阪地検特捜部が業務上横領の疑いで関係先を家宅捜索し、12月には同氏を含めた関係者が逮捕されるなどコンプライアンス面でも問題が噴出していた。これらの不祥事により、2019年度の私学助成金が全額不交付となるなど資金繰りも悪化。今年3月には大阪地裁より新理事長と理事らの職務を停止する仮処分を受けていた。

 負債は申請時点で約7億6000万円だが、土地の売買代金約21億円を含めると、約28億6000万円まで膨れ上がる可能性がある。

 2000年以降近畿地区での学校法人の倒産は2017年4月の(学)森友学園以来6件目。

 なお、保全管理人は今後もこれまでどおりの校舎や設備において、従来通りの教職員や講師にて、通常通り講義を継続しているとしている。

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