【#許すなわいせつ教員】懲戒処分受けた教員の半数、SNSで被害生徒と私的なやりとり
読売新聞オンライン 2020/10/11(日) 11:30配信
「事務連絡の手段」悪用
2019年度までの5年間に教え子へのわいせつ行為などで懲戒処分を受けた公立学校教員496人のうち、少なくとも241人が、被害生徒らとSNSなどで私的なやりとりをしていたことが読売新聞の全国調査でわかった。事務連絡の手段として学校現場で広く使われているSNSが、子どもたちへのわいせつ行為に悪用されている実態が浮き彫りになった。
都道府県と政令市の計67教委を調査
読売新聞は9月、全都道府県・政令市の計67教育委員会に対し、15〜19年度にわいせつ・セクハラ行為で懲戒処分となった公立小中高校などの教員について調査。現在、SNSやメールを電話に代わる「緊急連絡網」として利用する学校は多いが、5年間に自校の児童生徒や卒業生らへの行為で処分された教員496人の約半数が、そうした教え子たちとSNSなどで私的なやりとりをしていた。
富山、石川、広島、愛媛の各県と札幌市の5教委は、「被害者保護のため」といった理由でやりとりの有無などを公表せず、実際にはさらに多い可能性がある。
「音楽ダウンロードしてあげる」とLINEで誘い出す
大阪市では18年9月、が懲戒免職となった。男は教え子だった男児を、「LINE(ライン)」を使って「アニメの音楽をダウンロードしてあげる」などと誘い出し、わいせつな行為をしていた。ほかの地域でも、教員が女子生徒にSNSで好意を伝え、わいせつな行為をするなどの例があった。
7割の教委が内規などで禁止
一方、今回の調査では、全国67教委のうち7割にあたる48教委が、通知や内規などで教員と児童生徒らとの私的なやりとりを禁止していたことも判明した。
だが、こうした禁止ルールが守られていない実態もある。愛知県では県教委が私的なやりとりを禁じていたものの、県立高校の男性教員が女子生徒とSNSでやりとりを続け、生徒を自分の車に乗せて抱きつくなどの行為をしていたとして昨年2月に停職3か月の懲戒処分となった。
「内容チェックできる仕組みづくりを」
子どもとネットの問題に詳しい兵庫県立大学の竹内和雄准教授の話「SNSは部活動やクラスの連絡に広く使われている。私的な利用を防ぐには、業務専用のアカウントを設け、ほかの教員や保護者が内容をチェックできるようにするなどの仕組みが必要だろう。教員研修などで情報モラルやSNSの利用についてきちんと学ばせることも重要だ」