東京女子医大男児死亡、医師6人書類送検へ 禁忌薬投与
朝日新聞デジタル 2020/10/21(水) 0:30配信
東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年2月、集中治療室(ICU)で人工呼吸中だった男児(当時2)が禁忌(きんき)の薬を投与された後に死亡した事件で、警視庁は、医師6人を業務上過失致死容疑で21日にも書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった。同庁は、専門家の意見などから、容体に異変があったのに適切な処置をせず、薬の投与を続けたために死亡したとみている。
事件後に設置された病院の外部調査委員会の報告書によると、14年2月にリンパ管腫で首の手術を受けた男児が、麻酔薬「プロポフォール」を70時間あまり投与された後に死亡した。薬には強い鎮静作用があり、全身麻酔や人工呼吸の際に使われる。ICUで人工呼吸中の子どもへの投与は、強い副作用が生じる可能性があるため原則禁じられている。男児については、術後管理を担当した元准教授の男性(60)らが不測の事態で人工呼吸の管が抜けるなどするのを防ぐために投与を決めたとしている。
病理解剖では、男児は「急性循環不全」になり死亡したことが判明。プロポフォールの投与量が成人の基準値の2・5倍を超えていたことがわかった。
男児の両親が15年2月に警視庁に告訴状を提出。同庁は病院関係者のほか、外部の専門家から話を聞いて当時の状況を調べてきた。
捜査関係者によると、警視庁は、男児へのプロポフォールの投与自体に理由はあるものの、投与中に心電図のほか、尿の量や色に異変があり、元准教授ら30〜60代の医師6人が投与の中止や別の鎮静薬への切り替えなどの処置をすべきだったのに、それを怠ったことで死亡させたと判断したという。
15年2月にまとめられた病院の外部調査委員会の報告書でも「禁忌薬の長時間・大量投与に対する危機感が希薄で、対応が不十分」と指摘。プロポフォールの長時間投与が「死因に直接関連した可能性が高い」とした。診療録(カルテ)への未記載も問題視した。また、医師らが調査に「記憶がない」として説明を避けたことなども盛り込み、遺族らに対して「弁解の余地のないはなはだ無責任な言動」と批判した。報告書について、当時の病院長は「指摘を受け止め、再発防止にあたる」との談話を出していた。
事件後の14年6月、病院は過去に人工呼吸中の0〜14歳の患者63人にプロポフォールを使っていたことなどを公表。厚生労働省は立ち入り検査などをへて、
——