【独自】教員の懲戒免職・解雇理由、官報に記載へ…再応募時にわいせつ処分歴などチェック
読売新聞オンライン 2021/3/29(月) 15:01配信
わいせつ教員問題の対策を強化するため、文部科学省は教員が懲戒免職・解雇された理由について、「子供へのわいせつ行為」など五つに分類し、官報に判別できるようにして記載する新制度を4月1日から始める。教育委員会などが教員を採用する際、応募者が過去にわいせつ行為で処分されていないかを把握できるようにするのが狙いだ。
懲戒免職されるなどして教員免許が失効した場合、教員免許法に基づき、官報に氏名や免許状の種類などが掲載される。免許が失効しても3年たてば再取得できるため、再度、教員に応募することが可能になる。
そのため、文科省では、官報に掲載された情報を基に免職歴を調べることができるツールを、教委や私立学校を運営する学校法人に配布している。
これまでは、応募者の免職歴が確認できた場合、処分した教委にその内容を尋ねるなどしてきた。ただ、「個人情報」などを理由に教えてもらえないケースもあり、処分理由を本人に尋ねても、虚偽の申告をされたらそれ以上追及するすべはなかった。
そこで、文科省は同法施行規則(省令)を改正し、処分理由について、〈1〉18歳未満や勤務する学校の幼児・児童生徒に対するわいせつ行為・セクハラ〈2〉それ以外のわいせつ行為・セクハラ〈3〉交通法規違反や交通事故〈4〉職務に関連した違法行為など〈5〉その他――の5類型に分けたうえで、これを識別できる形にして掲載することにした。
過去には、わいせつ行為で処分されても、それを隠す目的で改名して教員に採用された例もある。そのため、各教委に対しては、改名歴のある教員については官報掲載時に旧氏名の併記も求める。
文科省では2月末から、過去40年分の免職歴を調べることができるようにツールを大幅に拡充した。ただし、今回の処分理由の付記については、4月1日以降に懲戒免職・解雇された教員から適用される。
省令改正に先だって行われたパブリック・コメント(意見公募)では、「権利の侵害に当たる」との意見も寄せられたが、文科省は「懲戒免職は行政処分であり、犯罪歴を明記するわけではない」としている。萩生田文部科学相は「適切な採用選考が行われることが期待される。実効性のある対応を引き続き講じていきたい」と話している。