看護学院側、パワハラは認めず 学生・保護者ら反発

看護学院側、パワハラは認めず 学生・保護者ら反発
朝日新聞デジタル 2021/4/7(水) 20:30配信

 北海道立江差高等看護学院(伊東則彦学院長)の学生たちが「複数の教師によるパワハラ」を告発した問題で、学院を所管する道は7日、学生と保護者を対象に説明会を開いた。学生との意思疎通を図るため教師を増やすなどの対応を示したが、現時点でパワハラは認定しない方針で、学生や保護者は「問題の本質のすり替えで、分かっていない」と反発を強めている。

 学院は道立の専修学校で、学生や卒業生らによると、教師の強圧的な言動で多くの学生が留年や休学、退学に追い込まれたという。道は学生らの訴えを受け、3月17、18日に学生や教師らに聞き取り調査を実施。学生は今年3月までの1年間の教師による言動を記録した文書を提出し、抜本的な改善を求めた。

 文書には日付や教師名とともに、「講義に出させてもらえず、単位が取れなかった」「執拗(しつよう)に休学を促された」「課題の提出物を床に投げ捨てられた」「指導してもらった用紙に『は?』とだけ書かれた」「あなたに指導する価値がないと言われた」「看護学実習で肩を強く引っ張られ、尻もちをついた」などの内容が詳細に記録されていた。

 聞き取りや文書などを踏まえ、道は対応策を検討。7日の保護者説明会には約20人が参加し、道からは田原良英・道医務薬務課長らが出席した。

 北海道江差町の道立江差高等看護学院(伊東則彦学院長)で、学生たちが「複数の教師によるパワーハラスメントで留年や休学、退学に追い込まれた」などと訴えている。保護者らは「父母の会」を結成し、学院を所管する北海道に実態解明と対応策を求めている。道は7日、在校生や保護者を対象に説明会を開く予定だ。
 学生や卒業生らによると、教師らのパワハラ行為は少なくとも10年ほど前から行われてきた。道立の専修学校で、修業年数は3年間だが、多くの学生が留年や休学、退学を余儀なくされているという。
 学生たちは「病院での実習で単位をもらえず、どこが悪かったのか改善点を尋ねても指導してもらえなかった」「リポートや反省文の書き直しを執拗(しつよう)に指示され、提出期限切れとして留年させられた」「看護師になることを夢見てがんばっているのに、強圧的な態度で休学を勧められた」などと証言している。
 また、教師たちから「あなたは指導する価値がない」「バカじゃないの」「顔もみたくない」などと面罵された学生も少なくないという。
 2年前には、留年して、その後自宅アパートで自殺した男子学生もいたという。同級生や保護者らは「教師は厳しく叱責(しっせき)するばかりで、悩みに傾聴するなど親身なフォローがなかった。そうした対応が男子学生を追い詰めたのではないか」として、自殺に至った経緯を明らかにするよう学院側に求めている。

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