わいせつ行為で懲戒免職の教員、免許再交付は都道府県教委が判断…新法が成立の見通し
読売新聞オンライン 2021/5/21(金) 23:58配信
教員らによる児童生徒へのわいせつ行為を防止する「わいせつ教員対策新法」について、衆院文部科学委員会は21日、委員長提案として衆院に提出することを全会一致で決めた。これにより、今国会で成立する見通しとなった。法案には、わいせつ行為で懲戒免職となった教員への免許の再交付について、都道府県教育委員会が可否を判断できるようにすることなどが盛り込まれた。
自民、公明両党の与党ワーキングチームが3月から新法の検討を始め、その後、立憲民主党などの野党も趣旨に賛同。超党派での議員立法として提案された。
現行の教員免許法では、わいせつ行為などで懲戒免職・解雇となり、免許を失効しても3年たてば再取得できる。法案では、性暴力による免許失効者への再交付について、各教委が専門家らによる「教員免許再授与審査会」の意見を聞くことを明記した。
本人の更生状況などを見極めて、教委に再交付を拒否できる「裁量権」を与え、再び教壇に立つことを防ぐことが可能な仕組みを取り入れた。児童生徒らへのわいせつ行為を「児童生徒性暴力」と定義し、生涯にわたって心身に重大な影響を与えることも盛り込まれた。
付則として、子供と接する職業に就く場合、過去に児童生徒らに性的な被害を与えたかどうかを照会できる制度を検討することも明記された。
また、衆院文科委員会では、嫌疑がかかった教員を依願退職させないことなど14項目を国に求めていくことも決議。同法案は、衆参両院の本会議で採決され、来週中にも可決、成立する見通しだ。
今後、文科省は性暴力防止のための基本指針を策定する。免許失効者についての全国共通のデータベースの整備も進める。
文科省によると、2019年度にわいせつ・セクハラ行為で処分された公立小中高校などの教員は過去2番目の多さとなる273人。読売新聞の調査では、19年度までの5年間に、自校の教員から被害を受けた子供は少なくとも945人に上ることが分かっている。