論文指導をラブホで…美術評論界トップの上智大教授が肉体関係をもった教え子から訴えられていた
日刊ゲンダイDIGITAL 2021/9/20(月) 9:06配信
美術批評家連盟会長の林道郎・上智大学国際教養学部教授(62歳)が、大学時代の教え子から性的関係を強いられたとして損害賠償請求訴訟を起こされていることがわかった。
林氏が会長を務める美術批評家連盟は世界美術批評家連盟の日本支部。国際芸術祭「2019あいちトリエンナーレ」など社会問題になった美術事件についても積極的に声明を発表するなど表現の自由を重んじてきた組織だ。あいちトリエンナーレに対する文化庁の補助金不交付決定に対して、林氏は文化庁事業の外部委員を抗議の辞任をするなどして注目された。
ある中堅美術評論家は「林さんは日本の美術評論ではトップの人物。ミスター美術史とも呼ばれている。数多くの大学で教鞭をとっているように業界ではとても信頼されているし、女性の権利を守るフェミニストとしても知られている。にわかには信じられない」と話す。
■ラブホテルでの論文指導は「たまたま」
林氏を訴えたのは、上智大学と大学院で林氏に指導を受けていたSさん。Sさんは帰国子女で日本語より英語のほうが得意なバイリンガル。2006年2月、Sさんが大学3年生のときのこと。林氏の講義を受講していたところ、林氏から研究室の引っ越しを頼みたいと声をかけられた。これを機に林氏は授業で使うパワーポイントなどの資料作成などの手伝いを日常的に頼むようになった。07年10月、大学を卒業したSさんは林氏が指導教員となる美術史を大学院で専攻することになった。
かつて大学院は大学とは違い、指導教官(教授)が気に入った学生を自身の研究室に入学させて数年間指導することもあった。大学院生の研究者人生は、指導教員によって左右される。同月、林氏の京都出張に同行することなり両者は初めて性的関係を持つことに。林氏は当時も今も妻帯者である。
以後、性的関係は新宿歌舞伎町のラブホテル(ラブホ)などでたびたび生じ、Sさんは修士論文についてもラブホテルで林氏から指導を受けた。これについて林氏側は「たまたまそのような場所でも指導をしたことがあるというに過ぎません」と、Sさん側の弁護士(本件訴訟とは別の代理人)に回答している。
大学院修了後も続いた2人の関係は、2018年に終わる。その後、事情を知った林氏の妻からSさんは「不貞行為」で損害賠償請求裁判を起こされて敗訴。2021年4月にはSさんが林氏に対し、約2200万円の損害賠償請求を求めて現在に至っている。
以上の事実について、両者の争いはない。裁判は2人の関係が「上下関係を利用した性的な隷属関係」(Sさんの主張)か「対等な自由恋愛」(林氏の主張)だったかで両者は真っ向から対立しており、10月初旬には4回目の期日が開かれる。
■原告側は「性行為をもつよう繰り返し働きかけた」と主張
原告(Sさん)訴状によれば、「被告は、原告の指導教官の立場にありながら、原告に対し被告と性的関係を持つように繰り返し働きかけ、原告に対し性交渉を含む交際を余儀なくさせた」と主張している。原告側代理人の小竹広子弁護士は「林教授は学部時代からSさんに忍び寄っています。Sさんを囲い込んで精神的にコントロールしてきた。性行為について教員が求めること、問題ないと言えてしまうこと自体がおかしい」と話す。
■林氏側は「作られたストーリー」と
林氏側の訴訟関係書類によれば、「原告と被告は指導教官と学生という立場ではあったが自立した成人同士の自由恋愛をしていたに過ぎない」「2人の関係が対等であった」「双方合意」などと主張している。
性的関係について両者の見解が割れるため、林氏には<妻帯者の教授の学生との自由恋愛は大学で成立するのか>という点についてだけ9月8日に見解を求めた。大学教授が学生をラブホで指導する行為は大学関係者に対しきわめて公正さを欠ける行為である。会社の社長がラブホで若い女性社員と肉体関係をもって仕事をしていたことが、バレれば一般的にはクビになるのではないか。
取材に対し林氏の代理人の野村まき子弁護士は当初、「係争中なので」と取材を断ってきた。しかし数日後、10月に入ったら取材に応じると方針を変更。取材日時について日刊ゲンダイ記者が再考を求めていたところ、林氏がメディア対策の弁護士をつけたと野村弁護士から説明があり、この間に林教授は自身のツイッターやフェイスブックのアカウントを突然、閉鎖している。
また野村弁護士からは<訴訟において相⼿⽅から出されている主張は、あまりにも事実とかけ離れた「作られたストーリー」であり、そうした点については到底認めることはできません。相⼿⽅が主張しているような、⼆⼈の関係がずっと「隷属」的な関係であったというようなことは>一切ないと、Sさんを批判するA4用紙2枚にわたるコメントが寄せられた。
繰り返すが日刊ゲンダイDIGITALは、林氏の大学における学生との性的関係という裁判で明らかになった事実についての見解だけを林氏に聞いているだけだ。この点についてはまたしても回答を得られなかった。ただし林氏は今後、弁護士同席のもとでなら取材を応じるとも回答している。
■上智大学は「個人間のこと」
林氏が勤務する上智大学にも妻帯者の教授と学生の自由恋愛を大学は認めうるのか質問したところ、「本件については個人間のことと認識しておりますので、大学としてコメントは控えさせていただきます」との回答があった。
林氏の美術批評家連盟会長職と大学教授職の進退については、明らかになっていない。
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