「日大理事長に5000万円」複数回提供も供述 理事長は否定
産経新聞 2021/10/24(日) 0:00配信
日本大学の付属病院の建て替え工事をめぐり背任容疑で逮捕された大阪市内の医療法人グループ「錦秀会(きんしゅうかい)」前理事長の籔本(やぶもと)雅巳容疑者(61)が東京地検特捜部の調べに対し、日大トップの田中英寿(ひでとし)理事長(74)に「現金5000万円を焼き肉店で渡した」という趣旨の供述をしていることが23日、関係者への取材で分かった。田中氏は授受を否定している。籔本容疑者は他にも複数回にわたり田中氏に資金提供したと供述しており、特捜部は授受の有無や趣旨などについて慎重に調べている。
関係者によると、医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建て替え工事の設計会社が決定した後の昨夏、籔本容疑者は都内の高級焼き肉店で田中氏、元日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)=背任容疑で逮捕=ら日大関係者と5〜6人で会食。その際に、田中氏に対して現金5千万円を渡したとしており、趣旨については「建て替え工事とは無関係」という内容の供述をしているという。
田中氏はこれまでの特捜部の複数回にわたる任意での事情聴取に対し、「金は受け取っていない」と否定。また、関係者によると、焼き肉店で同席したとされる複数の日大関係者も特捜部に対し、現金の授受を否定している。
特捜部の発表などによると、井ノ口容疑者と籔本容疑者は共謀し、板橋病院の建て替え工事の設計・監理業務を都内の設計会社に受注させた上で、昨年8月、この設計会社から籔本容疑者が保有する都内のコンサルタント会社に着手金の一部である約2億2千万円を送金させ、日大側に損害を与えたとされる。
背任罪は、外部に流出した資金を受け取ったとしても、受領者側が背任行為の内容について理解していなければ罪に問うことはできない。関係者によると、田中氏は、建て替え工事の設計業者の選定過程などについても一切の関与を否定しているという。
田中氏は昨年9月10日に理事長に再任され、現在5期目。籔本容疑者とは、ともに日本相撲連盟の副会長を務めるなど親交がある。