【独自】日大元理事ら再逮捕へ…機器調達で不要な手数料2億円支出か
読売新聞オンライン 2021/10/25(月) 5:00配信
日本大学付属病院の建て替え計画を巡り、背任容疑で逮捕された元日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)が、日大が医療機器をメーカーから調達する際、大阪市の医療法人前理事長・籔本雅巳容疑者(61)側の会社を複数介在させ、日大に費用を過大に支払わせた疑いのあることが関係者の話でわかった。日大の損害は2億円前後に上るとみられ、東京地検特捜部は近く両容疑者を背任容疑で再逮捕する方針。
関係者によると、井ノ口容疑者は、日大の100%出資の関連会社「日本大学事業部」(東京都世田谷区)の取締役を務めていた2019年12月以降、日大が付属病院で使う画像診断機や電子カルテシステムといった医療機器を調達する際、メーカーなどの選定を主導するようになった。
メーカーが日大に医療機器を納入するまでには、納入業者などを経由することになったが、井ノ口容疑者はその過程で籔本容疑者側の複数のコンサルタント会社を介在させ、手数料を支払わせることにしたという。
しかし、籔本容疑者側のコンサル会社は医療機器の納入には事実上関与しておらず、日大に対して、本来は必要のない手数料計2億円前後を支払わせて損害を与えた疑いがもたれている。
日大は17年4月から医療機器のほか、医薬品や医療器具などの調達について、契約事務を日大事業部に集約。特捜部は、井ノ口容疑者が一連の調達を利用して、籔本容疑者側に日大資金を流出させる仕組みを作り上げたとみている。
両容疑者は、日大医学部付属板橋病院(板橋区)建て替えに伴う設計業務契約を巡り、昨年8月上旬、都内の設計会社を介して籔本容疑者側の医薬品関連会社に2億2000万円を送金し、日大に損害を与えたとする背任容疑で7日に逮捕された。特捜部は勾留満期の27日にも、この事件について2人を起訴する方針。
井ノ口容疑者は容疑を全面否認し、籔本容疑者は資金の流れを大筋で認める一方、「背任にはあたらない」などと容疑を否認しているとみられる。