酒田一中女子生徒自殺問題 生徒の父親 悲しみと真相解明望む胸の内語る 山形
さくらんぼテレビ 2021/11/23(火) 18:58配信
特集は、今年2月、山形県酒田市の酒田一中に通う女子生徒が自殺した問題です。現在は、市の第三者委員会が「自殺」と「いじめ」の因果関係の有無について詳しい調査を進めています。今回、亡くなった生徒の父親がさくらんぼテレビの取材に応じ、突然、娘を失った悲しみと真相解明を望む胸の内を語りました。
シャボン玉を飛ばしながら家族に向かって微笑む女の子。女の子は今年2月12日の朝、通っていた山形県酒田市の酒田一中の校舎から飛び降り自ら命を絶ちました。
まだ13歳でした。
病院に駆けつけた両親は、娘の死だけでなく初めて知る事実も突きつけられます。
(女子生徒の父親)
「『ダメでした』と。夫婦で娘と対面して死ぬほど泣いて。でもその後、刑事さんが来て初めてしゃべって知らされた。「学校でも、いじめ死ねうざいと紙入れられていたみたいです。そこで初めて聞いたんです。夫婦で「え?」となって。ショックだった」
これは去年11月、女子生徒が担任との面談で提出したアンケートです。「自分の下駄箱に『死ね』、『きもい』などと書かれた紙を3〜4回入れられ、いじめられている」と相談していました。このいじめは教員内では共有されましたが、両親には伝えられませんでした。学校側は、女子生徒が「3〜4回ぐらいで無くなった」と話したことから、経過観察で対応できると考え報告しなかったとしています。
しかし、この3カ月後、女子生徒は自殺しました。
酒田一中では直後の2月から、関係する教師や生徒に聞き取りをする「基本調査」を行いました。こちらがその「基本調査」を取りまとめて市教委に提出された報告書です。さくらんぼテレビが情報公開請求で入手しましたが、個人情報保護の目的で多くが黒塗りです。いじめがあったことは記されていますが「現時点では女子生徒が直接的ないじめを受けていた状況は認められなかった」として、市教委は、いじめと自殺の因果関係の結論を出さぬまま1カ月足らずで調査を終了。第三者委員会による「詳細調査も行わない」と決めました。
この決定について、市教委はあくまで「遺族の意向に沿った」としています。
(酒田市教育委員会 鈴木和仁教育長)
「第三者委員会による詳細調査を国のガイドラインでは可能な限り勧めるのが望ましいとなっている。市教委ではそれも視野に入れ(遺族に)話をして説明もしてきた」
しかし、この主張は、遺族の意見とは大きく食い違っています。
(女子生徒の父親)
Q、学校側から説明は?「ありません、一切。報告書を上げたとは聞きましたが、中身なんか一切言ってないし、前校長に中身見せてもらるのかと聞いたらそれは見せられないとこの家で言われている。それは見るとかの資料ではないと言われた。前校長から」
調査報告書は見せてもらえず、さらに学校側が約束したという追加調査も新年度以降は行われていないことがわかり、不信感を抱いた遺族は今年9月、情報公開請求を行って、基本調査の報告書を手に入れました。
(女子生徒の父親)
「誤算は私のこの気持ちでしょうね。ずっと、いや俺はそれでも納得いかない絶対許せない、後悔したくないと、ずっと言い続けていたんですよ。自分の娘に死ねだうざいだと紙を入れられたことに対しそのまま流されて気持ちが風化なんかするわけないだろうと。どうしても思うじゃないですか。親だもん。自分のかわいい娘だもん」
しかし、報告書を読んだ遺族は「2つの事実」に愕然としました。
1つ目は、いじめアンケートの「取り違え」問題です。
これは去年11月に行われた「いじめ保護者アンケート」。この頃、母親は女子生徒からLINEで悪口を書かれたりしていたことを聞いていたため、「いじめにあてはまる」に丸をつけて提出しました。しかし遺族が報告書を見ると、「いじめにあてはまる」と書いたはずが、「あてはまらない」に丸がついたアンケートが使われていました。
「いじめが無い」と答えたのは、去年6月の時点のアンケートで、報告書から「いじめにあてはまる」と書かれたアンケートが抜け落ちていたことになります。
市教委は「決して改ざんではなく作業ミスで、過去のアンケートと取り違えてしまった」と説明しています。
(女子生徒の父親)
Q「9月の開示請求を見て初めてわかった?」「はい。でなければいまだに(いじめが)無いことにされてる」
2つ目の食い違いは、女子生徒の自殺の主な原因が、両親のせいにされていると感じたことです。
(女子生徒の父親)
「誰が見ても親のせいにされているんですよ。何よりいじめの調査を全然していない報告書なんですよ。ただただ親が悪い」Q「虐待みたいな話になってる?」「俺が毎日暴力になってるんですよ。確かに叩いて怒ったことはある。小学校4年の時に片付けしろとか言っても、妻が言ってもしない時とかあったから叩いて怒ったことはありますよ。でも(叩くのを)肯定はしませんよ」「でもそれを自殺の原因にされてしまってるんですよ。小学4年の話なのについ最近までしていたと書いてあるんです」「だから、警察だって(自殺後、娘の)体を調べたじゃないですか。何も無いからその日(一緒に)家に帰れた。まあ当然だよね疑われるのも、最初はその線も捨ててはダメじゃないですか警察だから。だから、どうぞ調べて下さいと。調べ終わったら、きょう一緒に帰れます大丈夫です、と刑事さんからも言われた」
自殺から半年以上が経った先月、ようやく第三者委員会による「詳細調査」が始まり、これまで5回の会合が非公開で開かれました。今後は独自のアンケート調査も行うなどしていじめの有無や自殺との因果関係についてより詳しく調べる方針です。父親は今も、娘を亡くした悲しみと、守れなかった苦しさを心に抱えています。
(女子生徒の父親)
「生前はいじめんなよと言ってたんですよ。なんでかと言うと、自分の娘が他人をいじめちゃったら、パパはお前の味方できないと言ったんですよ。だからいじめちゃダメだよと。極端な言い方すればいじめるよりいじめられろと。そしたら、パパは全力でお前を守れるだろと言った。だからダメなんだよ、人に嫌なことを言ったり、嫌なことしちゃダメだからねと教えていたんですよ。この子はそれを守ったんですよ。ただ、いじめられたら親にちゃんと言うというのは守れなかったんだなと思うと、つらいですね」
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