子どもの命 犠牲にしない指導を 担任の叱責後、自殺した男子中学生の母 不適切指導の根絶願い活動
南日本新聞 2022/2/7(月) 7:33配信
2018年9月、担任教諭の指導後に自殺した鹿児島市立中学3年生男子=当時(15)=の母親が、同様の経験をした全国の遺族らがつくる会で活動している。「教員の言動で子どもの命が犠牲になってはならない」と不適切指導の根絶を願う。
男子生徒は2学期の始業式の日、宿題を忘れたことで担任から集団指導と個別指導を受けた。その後、自宅で亡くなっているのが発見された。市教育委員会の第三者調査委員会が昨年6月に出した最終報告書は、信頼関係に乏しい担任から個別指導の際、大声で叱責(しっせき)されたことが自殺の引き金になったと結論づける。
母親は、奄美市で15年に教員の指導後に自殺した中学1年生(当時)の遺族の誘いで昨年10月、「安全な生徒指導を考える会」に加わった。「多くの人とつながりができたのは大きい。さまざまな感情を言葉にならない部分を含めて分かり合え、情報や知識も得られる」と話す。
会は昨秋以降、児童生徒の自殺や不登校の原因となる教員らの「不適切指導」について考えるシンポジウムを開いている。文部科学省の教員向け手引書「生徒指導提要」の21年度内改訂を控えて、不適切指導について具体例で解説するよう文科相宛ての要望書を12月に提出した。
母親は、今年1月22日まであった3回のシンポで毎回、自らの経験を紹介。要望書提出時は文科省に足を運んだ。「現行の提要も児童生徒一人一人を尊重することなどを求めている。事例を入れて不適切指導への認識を高め、現場に浸透させてほしい」
全国の事例を含めて、大きな問題を感じている点がある。「指導する側は自分が正しいと思い込み、一方的な決めつけで叱責している。相手を責めるのではなく、まずしっかり話を聞いてほしい。怒鳴り声は、周囲にも心理的な負担を与えることを分かってほしい」
第三者委の報告書は、当日のやりとりに「息子が追い詰められていく様が分かった」。担任への萎縮、周囲に対する恥ずかしさ、質問にどう答えていいかという戸惑い−。「たたみかけるように聞かれ、進路に言及されて希望校に行けないのではと思ったかもしれない」と推測する。
昨年12月には杉元羊一市教育長の訪問を受けた。息子の死去後、面談したのは初めて。母親によると、杉元教育長は再発防止に取り組むと約束したという。「今回の面談が教委との対話のスタートだと思っている。教育行政がこれからどう向き合うのかを知りたい」。事例から学び指導の在り方を考えることは、児童生徒と教員の双方を守ると考える。