『いじめは現に起きている』を基本認識に「いじめ防止条例改正」可決 男子児童いじめ問題受け 福島
テレビユー福島 2023/6/15(木) 17:38配信
発生から5年。福島市で起きたいじめの問題が、大きな節目を迎えました。市内で起きた児童のいじめ問題を受けて、市議会は調査の充実などを盛り込んだ条例を全会一致で可決しました。
福島市の小学校で、2018年から2020年にかけて当時の男子児童が同じクラスの児童からいじめを受けて不登校になりました。
この問題で、福島市は議会に、いじめ問題に関する条例の改正を提案していました。改正案では、有識者などでつくる重大事態調査委員会を新たに設けます。また、教育委員会と学校にも調査組織を設け、いずれかの機関がいじめの実態をさらに調査することを盛り込んでいます。
この問題をめぐっては、5月、有識者会議が、市や教育委員会に対応を改善するよう、答申していました。そして、15日。
「いずれも原案の通り可決することにご異議ございませんか」
「異議なし」
条例の改正は、全会一致で可決されました。
福島市・木幡浩市長「(いじめは)現に起きている認識に立つというのが関係者の意識を高めるうえで重要。教育委員会、学校現場、われわれ市長部局で共有して対応していきたい」
改正された条例は、6月下旬にも施行される予定です。
■「いじめは現に起きている」を基本認識に
改正されたいじめ防止等に関する条例について、詳しくみていきます。
主な改正内容は、3つです。
1つ目は、「いじめはどこでもどの児童等においても起こりうる」という従来の基本認識を「いじめは現に起きている」に改めたことです。福島市は、これによって危機意識を高めて、いじめの対応にあたることになります。
2つ目は、いじめによる重大事態の発生に対して教育委員会が「必要があると認めるとき」に調査するとしていた従来の条例について「必要があると認めるとき」というのは、調査しない場合もあると解釈する余地があることから今回、削除されました。
3つ目は、重大事態が発生した場合の調査組織の拡充です。有識者らでつくる「いじめ重大事態調査委員会」を新たに設置するほか、教育委員会や市立学校にも調査組織を設け、事案に応じて3つの調査主体が、いじめの迅速な実態把握に努めていくとしています。
今回の事案では、市や教育委員会の対応の遅れが目立ちました。被害を深刻にしないためにも、迅速かつ、毅然とした対応が今後も求められます。