広島県教委、教育長と親交あるNPOパンゲアの受注は「教育長案件」 複数の職員証言 「報酬が際立って高額」との認識も
中国新聞デジタル 2023/11/2(木) 11:31配信
広島県教委によるNPO法人パンゲア(京都市)との契約が違法と指摘された問題で、複数の職員が外部専門家の調査に、パンゲア関連の事業を「教育長案件」と証言していたことが1日、中国新聞の情報公開請求で分かった。職員が極めて高額な事業費に疑問を感じながら、パンゲアに発注したケースも判明。平川理恵教育長と親交のあるパンゲアを特別扱いしていた組織の実態があらためて浮かび上がった。
県教委が情報公開請求に対し、150ページに及ぶ調査報告書の全体版を開示した。一部は黒塗りされ、非開示のままとなっている。県教委は昨年12月、外部専門家の弁護士が作った22ページの概要版だけを公表していた。
全体版によると、弁護士によるパンゲアとの契約に関するヒアリングに対し、複数の職員が「教育長案件」と呼び、特別な扱いが必要だったとの認識を示していた。
パンゲアが受注した2021年秋の教員向けの研修事業の報酬を巡っては、県の規定では数万〜10万円程度だったにもかかわらず、別基準で算定し91万円を支出。職員が「際立って高額」と感じながら、パンゲアの提案通りに契約していた。
別の事業では、パンゲアと費用の減額交渉をしようとした職員が「パンゲアから教育長に苦情が入る」と懸念し、交渉する旨を平川教育長へ事前に説明したという。
また平川教育長は22年6月、工業高のホームページ作成事業で「予算を付けてでもパンゲアに業務を依頼したい」などと職員に伝達。事業は実施されなかったが、特定業者の名前を挙げて発注を促していた。
さらに平川教育長が14年から、自身の子どもを「サマースクール」などパンゲア主催のイベントに複数回参加させていたことも明らかになった。
県教委は弁護士との調査の委任契約書で「報告書を受領した後、公表する」としていた。概要版しか公表しなかった理由について「ボリュームが多く、全体版では分かりやすく伝えるのが難しいため」と説明している。