「娘通うスイミングスクールで」4歳少女らにわいせつ行為の元インストラクターに懲役4年 記者の傍聴記

「娘通うスイミングスクールで」4歳少女らにわいせつ行為の元インストラクターに懲役4年 記者の傍聴記
メ〜テレ(名古屋テレビ) 2023/12/12(火) 19:54配信

12月、名古屋地裁で実刑判決を受けた49歳の男。4歳から7歳の少女3人に対し下半身を触るなどわいせつ行為をした上、その様子を撮影し動画を作った罪などに問われていた。男はスイミングスクールの元インストラクター。被害者は自分の“教え子”だった。

 保護者から子どもを預かり、指導する立場にありながら、なぜ欲望の矛先を向けたのか。

 子どもに関わる職業に就く際、過去に性犯罪歴がないことを確認する「日本版DBS」の導入に向けた議論が進む中、男が抱えていた“心の闇”を探るべく、記者は裁判の傍聴を続けた。

3人の少女にわいせつ行為…ストレッチや着替えの機会に

 被告の男(49)は、短期大学を卒業後、スイミングスクールのインストラクターになり、犯行時は兵庫県内のスイミングスクールに勤めていた。

 起訴状などによると、男は2021年から2022年にかけて、当時6歳の少女の水着を引っ張って下半身を露出させ、さらに当時4歳の少女に下半身を指で触り、また当時7歳の少女に対しては水着の上から下半身を触っていた。3人の少女はいずれもスクールに通う生徒で、男はストレッチや着替えの機会にわいせつな行為に及んでいた。

 男はいずれの際にも動画を撮影していて、男から児童ポルノ動画を受け取っていた別の男が愛知県警に逮捕されたことをきっかけに逮捕された。

「まさかうちの娘が」親からは驚きと怒りの声

 強制わいせつや児童ポルノ禁止法違反など4つの罪に問われた男。8月の初公判では、いずれも「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側は、「2021年6月ころ、4歳の少女の下半身を指で直接触り、製造した児童ポルノを30歳の男とテレグラム(匿名性の高い通信アプリ)を使い、交換を繰り返した」などと主張、続く証拠調べでは、被害に遭った少女たちの親の調書も読み上げられた。
 
「娘が楽しそうに通っていたスイミングスクールでこんなことが」
「まさかうちの娘がというのが信じられない。スイミングスクールのインストラクターがこんなことをするとは」

 安心して通わせていたはずの場所で起きた犯行に驚きを隠せない親の声。

「娘が被害に遭ったなんて、本当に気持ち悪いです。まだ小さいので、されたことが分からず、声を上げられなかったんだと思います」

「自分のゆがんだ性癖のためにやった被告の男には、一生刑務所から出てこないでほしい」など、男に対して厳しい判決を望む声も聞かれた。

犯行のきっかけは「なんとなく撮ってみようかなと」

 10月に行われた被告人質問。犯行に及んだ動機や現在の心境など、男の内面が垣間見えた。

弁護人:「犯行に及んだきっかけは?」
被告の男:「あまり覚えてないんですけど、なんとなく撮ってみようかなと思ったんだと思います」
弁護人:「なぜ少女たちの下半身を触った?」
被告の男:「形がキレイだとか、そういうのに惹かれたんだと思います」

検察官:「被害児童は知ったらどう思うと思いますか?」
被告の男:「怒りと悔しさだと思います」
検察官:「今後の人生に影響しませんか?」
被告の男:「そうですね、(心に傷が)残ります」

裁判長からの問いに「職場以外は孤独、ネットに求めた」

 男の返答を聞いていた坂本好司裁判長は、少し怒ったような口調で男に質問した。

坂本裁判長:「(スイミングスクールに子どもを通わせている)親御さんの成長させたいという気持ちは感じなかったか?」
被告の男:「ものすごく感じます」
坂本裁判長:「子どもたちはスクールでどんな様子?」
被告の男:「子どもたちは子どもたちで、楽しんで泳いでるなとか、今日はきつそうだな〜とか」
坂本裁判長:「子どもたちは被告に対してどんな感じでしたか?」
被告の男:「どうなんでしょうね。犯行を別としたら、そんなに嫌われてないと思うんですけど」
坂本裁判長:「なんで、今回のようなことをしようと思ったのかな?」
被告の男:「単純に興味があったんだろうなとそれが一番。かといって大人の女性が嫌いってわけではないんですけど、職場が職場だったんで」
坂本裁判長:「なぜ犯罪に踏み出したんですか?」
被告の男:「僕もそれをずっと聞かれ続けた。本当のところはどんな感じかなって、ずっと考えてきたんですけど、なんなんだろう…」「(今年)4月6日に(警察に)逮捕されて、誰1人もメールも電話も来てないし、職場以外で孤独だったっていうのもあって、ネットに求めてしまったっていうのはあるのかなと」
坂本裁判長:「これからもしっかり考えてください」
被告の男:「わかりました」

判決に男は無言でうなだれる

 そして12月7日。男に判決が言い渡された。検察側の懲役5年6カ月の求刑に対し、懲役4年の実刑判決だった。

 判決理由の中で坂本裁判長は、「被告の男の犯行は、インストラクターとしての立場を悪用し、被害児童が幼いことなどに乗じて、繰り返す中で行われた卑劣かつ常習性の高い悪質なものである。また、被害児童らは年齢が進み、何らかの機会に被害を知るなどして、今後の健全な成長に悪影響を及ぼすことも懸念される」と述べた。

 判決を言い渡され身柄の拘束を待つ間、男は無言でうなだれた様子で座っていた。12月11日現在、弁護人によると男は控訴はしない方針だという。

 筆者は、この裁判を通じて、幼い子どもたちは性犯罪をうまく認識できない年齢であるため、早急に被害を防ぐ仕組みが必要であると感じた。

過去の性犯罪歴照会する「日本版DBS」導入への議論

 子どもの性被害を減らすにはどうしたらよいか?イギリスで導入されているDBS(Disclosure and Barring Service=前歴開示および前歴者就業制限機構)を参考に、子どもに関する職種に「日本版DBS」を導入する議論が進んでいる。

 「日本版DBS」は、子どもに関わる仕事に就きたい人について、雇用者側が過去に性犯罪歴がないか調べることができる照会制度だ。児童や生徒に対するわいせつ行為で教育免許を失った元教員の氏名などを共有するデータベースは、21年に成立した法律に基づき、23年4月から文部科学省が運用を始めている。

 今後、教員以外の子どもに関わる職種をどこまで範囲を広げるか、などが議論されているが、9月に出された、こども家庭庁有識者会議の報告書では「子どもへの性犯罪は、子どもの性的知識の未熟さや立場の弱さに乗じて行われ、第三者が気付きにくいため、未然に防止すべし」と導入の必要性を上げながらも、「職業選択の自由・営業の自由を制約することになるため対象範囲を無限定に広げることは許されない」「犯罪歴は漏洩すれば本人に重大な影響を及ぼす恐れがある」との留意点も上げている。

 子ども家庭庁は、「日本版DBS」について、来年の通常国会以降、できるだけ早い時期に関連法案提出を目指しているとしている。

(メ〜テレ 警察・司法担当記者 皆谷こころ)

自身が勤務するスイミングスクールで当時6歳の女児にわいせつな行為をして、その様子を撮影するなどした罪に問われている男の初公判が開かれ、男は起訴内容を認めました。
起訴状などによりますと、兵庫県高砂市の元スイミングインストラクター吉井一磨被告48歳は去年4月、自身が勤務するスイミングスクールで、当時6歳の女児が着ていた水着を手で引っ張って、下半身を動画撮影した強制わいせつなどの罪や、去年11月から12月にかけて児童ポルノ画像3点を知人の男に送った児童ポルノ禁止法違反の罪などに問われています。
17日、名古屋地裁で開かれた初公判で、吉井被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。
続く冒頭陳述で検察側は、吉井被告がスイミングスクールで教えている女児に対し、ストレッチさせる際などに動画撮影を繰り返し、それを掲示板で知り合った男と匿名性の高い通信アプリ『テレグラム』で送り合っていたと指摘。
また、裁判では、被害に遭ったという児童5人の両親の調書が読み上げられ、「被害に遭っていたと知り、ショックで涙が出る。本当に気持ちが悪い」「何も分からない幼い娘に自身の性癖でこんなことをした被告には、一生刑務所にいてほしい」など悲痛な胸の内が明かされました。
次回の裁判は10月19日に開かれる予定です。

送信先はこいつかな

強制わいせつなどの疑いで逮捕・送検された大分市の無職、福島一輝容疑者(29)はおととし1月から6月にかけて、当時勤務していた保育園で昼寝中の女の子(当時5歳)にわいせつな行為をしてその様子を動画で撮影し、東京都江戸川区の会社員、小森邦彦容疑者(35)にメールで提供した疑いがもたれています。

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